転生少女、と、魔獣グリフォン。
レヴィアさんはまっすぐ飛んでいるけど、そんなにはっきりわかるの?
……魔王のカケラの匂い、と言っていたよね。あたしにもよくわからないけど同族だからわかるのかな?
うーん。
わたしも近くならわかるような気がしてたけど、これだけ離れてるとちょっと何も感じないかな。
「闇雲に探すのは大変でしたから。レヴィアさまに手伝って貰えて助かりました」
《はは。それは何よりだ》
「うん。わたしたちだけじゃ探しきれなかったかもだから。ほんとありがとう」
《我は魔王の僕だから、な。貴女の助けになったのなら僥倖だ》
青い空、白い雲。空気の流れが見えるよう。
わたしたちの居る場所はフードでも被っているように全然風が当たらないので助かってる。このスピードの風圧まともに当たったらそれだけで身体がどうにかなっちゃうかもだし。
前方に見える山。灰色の岸壁が剥き出しになっているちょっと不気味な山だった。でも。
ああ、あそこだよね。
そう感じていた。
……あそこだねぇ。
「間違い無いですね……」
リーザだけキョトンとしてる。
「あそこにカケラの魔獣が居る。間違いないよ」
わたしはそう、聞こえるように喋った。
《さぁ、そろそろ到着するがどうするか。いきなり奴の目の前に降り立つこともできるのだがな》
どうしよっか。
そもそも魔力を隠蔽できるってどういう事? 知性があるのなら話し合いでなんとかならないかな。
……ほんとノープランだよねアリシアは。あたって砕けろじゃないけど少しは作戦とか考えないとみんなが危険な目に会うかもなんだよ?
うう、でも……。
「目の前に降りて下さい。どうせこちらの事は把握されているでしょう。コルネリアの無事を確認するのが大事ですしね」
「レヴィアさんも居るんだし、問答無用でって感じにはならないような気がするよね。こちらにはサーラ様も居るし。最初から防御壁全開でいけばそうそう後れもとらないでしょうし」
ほら、みんなだって。
……みんなのはもっと色々考えた結果だと思うよ? アリシアと違って。
うきゅう。わたしだって、考えてるもん……。
……あはは。いじめてごめん。でも、アリシアのは考える前に感じてる方が多いからさ。
うう、それは否定しないけどー……。
《では、降りるぞ。グリフォンもこちらを見ているしな》
ばさっと羽をひとはばたきしてレヴィアさん地面に降り立った。
わたしたちもそのまま背中から飛び降りる。
目の前に、魔獣グリフォン。その足元に気絶しているらしいコルネリアが居た。