転生少女、と、お仕事改革。
まあ。
いくらサーラと友達でもお仕事はちゃんとやらなきゃお給料分は働かなきゃとかそう思ってるんだけど、 サーラが一緒に行動するようになってから
ちょっと調子が狂うようには、なった。
まず、魔道具への命令文を魔紙に書いて読み込ませる技術を使ってお仕事の効率化を図るんだって、サーラが言い出した。
帝都では結構当たり前にある技術らしいけど、ほら、魔紙ってちょっとお高いし。
それに。
ここって今でも思いっきりホワイトな職場なのだ。
人手はたんまりお仕事はそんなに、って状態なので、下手に効率化とか言っちゃうとお仕事にあぶれる人も出てきちゃうかもしれなくて。
でも働いてる人数を減らすとか、そういうのもちょっと……。
もともと公主様騎士様お側仕え様、これらの人のお世話とお屋敷の維持管理を行うのがわたしたちの仕事。
普段から二人一組で守備範囲をまかない、緊急事で一人休んでもどうとでもなるようシフトが組んである。
また、公主館にはそれなりに人数が詰めている、っていう状況が対外的にも重要で、経費節減だの人減らしだのはイメージダウンにしかならないのも確かな事で。
だから。
もしお仕事効率化とかしたところでわたしたちがお役御免になるわけでもないんだろうけど、それでもね。
結局、侍女長ファミール様が、
「サーラ様が仰るなら……」
と、効率化を推し進めることにokを出したので、それ以来サーラとリーザの二人でお仕事改革だ、と、盛り上がってる。
とりあえずお掃除ゴーレムのトロを群体で運用する方法とか、厨房の下ごしらえの自動化、とか、お洗濯の乾燥の自動化、取り込みたたみまでトロを使ってこなす迄になったのだけど……。
みんなのお仕事奪っちゃうとそれなりに問題が出るかとも思ってたんだけど、そこはそれ、まったくそんなこともなくって。
考えてみれば、すごい高倍率を突破してこの公主館に勤めている侍従侍女の人達は人間的にもちゃんとしてる人が多くって。
少々ひまな時間ができたからといってさぼろうとか働いたら負けとかそんな発想をする人は皆無だったのだ。
手が空けば空いたなりに繕い物とか刺繍とか織物とかに精を出すし、お掃除にしても魔道具じゃ目の届かないような違和感に気づき、いろんなところをチェックして作業したりしている。
あは。
完全にわたしの気にしすぎ、だったかも。
サーラやリーザは空いた時間で新開発のお菓子の研究にも忙しい。
美味しいお菓子は大歓迎だし綺麗な刺繍や綺麗な布で生活も潤うし。そういう意味でもほんとQOLの向上は嬉しい。
できたお菓子の試食も兼ねて、休憩時間にはお茶会になる事も多くなった。
ああ。幸せだ。