聖女の治癒。
……コルネリアには、戦力になってもらいましょう。
うん。まずは防御膜を……。
精神を集中する。わたしの体から金色の粒子が溢れてそしてそれは魔力の膜を形づくり。
わたしとコルネリアを包むように囲みそして燃えるように湧き上がる。
まるで金色の炎に包まれたように。
「ねえコルネリア、よく聞いて。これからわたくしはリウィア様を助けにこの館の際奥の間に赴きます。途中賊の妨害が予想されますが、あなたはどうしますか? ここに残っても良いのですよ」
目を見開くコルネリア。
かぶりを振って答える。
「私は……、貴女の剣です。貴女の行くところには何処にでもお伴し、そして貴女をこの身にかえてもお守りします!」
ありがとう。コルネリア。
「ありがとう。では、あなたにわたくしの剣として共に戦うことを許します。そして、わたくしはあなたを守りますよ。このチカラで、必ず」
わたしは自分たちの纏うこの光の炎を指差して。
「このチカラを信じてください。あなたはこの光の膜より外には出ない、と、誓ってくださいね」
「わかりました。サーラ様。私はサーラ様を信じます」
「では、いきましょう」
ここの場所に詳しいサンドラに身体を託し、わたしたちは建物の中へと踏み込んだ。
扉を開け中に入る。
廊下には血の跡があり、ここで争いがあったことを示していた。
一気に先まで駆け抜ける。コルネリアは寸分たがわずついてくる。それも周りをちゃんと警戒しながら、だ。
流石に騎士だというだけの事はある。
曲がり角まで来て、一瞬止まり、その先の廊下を伺う。
人が、倒れてる。
ああ、わたしの瞳が赤く染まる。この人達もほかってはおけない。
まってサンドラ。ちょっとだけ。
……この人たちを助けてる暇は、たぶんないです、よ?
うん。でも。
デートリンネはあの時なんて言った?
わたしの想いがチカラにかわるって、そう、言ってなかった?
《貴女の想いはこの世界でチカラに変わります。よ。》
と、そう、確かにそう聞こえた筈。
なら。きっと。
わたしの願う心から滲み出す金色の粒子。
そして。
ヒール!
昔前世で読んだファンタジーにあった治癒呪文、それを、唱える。
聖女の治癒。
ほんと、おはなしで読んだ呪文、チカラ。
今まではそんなものが現実に出来ると思っていたわけではなかったけど。でも。
何かしないではいられなかったから。
辺りが金色の光で埋まり。そして。
倒れている人たちの顔に紅がさす。
うん。これで。
ごめん。待たせた。
……サーラ、あなた……。
……いえ。そうですよね。あなたなら、きっと……。
行こう。リウィアさまも助ける!
……ええ。急ぎましょう!
「本物の、聖女、だ。サーラ様……」
コルネリアのそんなつぶやきが聞こえた。
サーラ編もそろそろクライマックス。
この際奥の間の決着後、アリシアのその後のお話の予定です。