転生少女、と、公主さま。
「あなたがアリシアですね。わたくし、貴女にお願いしたいことが御座いましたの」
そうコロコロと響くようなお声。
公主様は数人の側仕えを伴いそのままゲートから出てくると、スタスタと歩き出した。
「一般来客用の応接室を使いましょう」
そう、笑顔を振りまくとそのまま先頭で歩く。
わたしたちはその後ろをついて行くこととなった。
普段、一般の来客は奥の間まで通す必要はない。
公主様がこちらまでおいでになり、そこでの謁見となる。当然調度品もそれなりにすごい。
わたしはまだこのエリアのお掃除もさせてもらっていなかった。
☆
目の前に公主様。
わたしはフカフカのソファーに座らされていた。
何故か人払いされ、侍女長様も、だ。
侍女長さまは最初渋っていたが、公主様がにこやかに、おはなしをするだけですよ、というのに納得して席をはずして。
うーん。
公主様はニコニコして、わたしのことを見てる。
うきゅう。どうしよう。
困惑して黙り込んでいると、
ガチャ
扉が突然開くと、あの時の騎士様がズカズカ入ってきた。
「まぁ。ラインハルト様。いくら貴方でもいきなりの入室はお行儀がわるいのですよ」
ん?
「ま、そう言うな。サーラがあれと此処に居ると聞いてな」
あれって、わたし? いや、つっこみはそこではなく……
「で、何があったのだ?」
ん、ってこの人がこういう言い方をするって事は……あの異変と公主さまの呼び出しは関係、ないの?
わたしは、たぶん、ものすごいビックリ目でこのシーンを見ていたのだろう。
呆けた顔になっている自信がある。ダメダメだけど。
お仕事前にもう少しだけ。