ベルクマール大公国。
暗闇の中に一点の光。
それは段々と大きくなり、スクリーンのように目の前に広がった。
そしてそこに映る爆炎。
爆炎がリウィアさまを包む。
ここまではいつもの光景。
そして、サンドラがぎゅっと手を伸ばし、その光景を掴む。
身体の周りの空間の肌触りが変わる。ぐねん、と歪んだ。
「サーラ様!」
コルネリアの声がしたと思ったら、思いっきり抱きつかれ。
そのまま、空気が変わった。
「ここは……」
緑の芝生。周りには建物があるけれど、ここは……、何処かの中庭?
ベンチがあり人工的に植えられた植物、木。
……結界に阻まれましたか。際奥の間には直接入れない、と、言う事はまだセキュリティは生きているということですね。
んんー?
どういうことどうなったのサンドラ。
中庭に突っ立ってるわたし。コルネリアが抱きついたまま軽く目を回している。
……ごめんなさいねサーラ。
……ちょっと緊急だったから、転移したの。
転移? って……。
……空間転移。ここはベルクマールの公主館の敷地内よ。
あううあ。それはちょっと驚いた。さっきの空間の歪みみたいのがそう?
……そう。ほんとごめんなさい。勝手に……。
ううん。ありがとうサンドラ。うん。リウィアさま助けよう。
……うん。ありがとうサーラ。
「え、と、あの……。サーラ様……。これはいったい……」
ようやくコルネリアの意識が戻ったっぽい。でも、すごく混乱してる、ね。
「ここはベルクマール大公国よ。わたくしたちはここまで空間転移してきたの」
ああ、コルネリアがまた固まった。目を見開いて停止してるよ。
まぁしょうがないか。わたしでもびっくりだもん。