表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/176

皇女サーラ、と、転生者。

 午前中の講義は政治経済、そして歴史だった。

 おとうさまが即位したあたりから始めて、そして過去に遡る形の講義になる。やっぱり一番知ってなくちゃいけないのは最近の出来事だろうし、ただただ学術的に習う訳ではないからだろう。


 この国の政治はほんと前世の日本に似てるなぁって思うのと、あと古代ローマの民主制とか帝政とかの時代の雰囲気だけ移植したみたいな感じもしてなんか変。執政官とか法務官とか、ほんとそう。意味は違うけどわたしが読んだローマの歴史書と名前もいろいろ被ってる。

 うん。そんな当時から転生者がいたのかなぁとか。そんな事も考えたりする。


 講義が終わりお昼ご飯の前におにいさまのお部屋へ向かう事に。

 当然のようにアスターニャに手を引かれて。


 ……ふふ。サーラさまの手、ちっちゃくてぷにぷにしてて、ほんとかわいいなぁ。

 そんなアスターニャの心の声が漏れてくる。

 これ、実は誰でもどんな時も見える訳でもないんだよね。

 おとうさまやおにいさまおかあさまの表層意識はあんまりはっきりとは見えない。ほとんどの場合ぼんやりとわかるくらい。わたしに対する好意は、それでも充分伝わってくるのだけど。

 やっぱり普段からの心の持ち方というか精神的な強さというか、そういうのもあるのかも。わたしに対する警戒感が強い人の心もあまり伝わってはこない、かな。感情は見えるけど。

 護衛騎士さまのうち、あまり皇家にいい感情を持ってない人のそんな感情は見える。だけど、そういった人の表層意識は見ようと意識しない限り見えてはこなかった。

 本気で観ようと思った時にどれだけ見えるのかは確かめたことはないけれど、それ、は、やっぱりあまりしたくない、事だったから。


 人から嫌われるのは怖い。

 悪意を向けられたくない。


 わたしは、臆病だ。


 ☆


 部屋に入るとそこにはおにいさまとおねえさま、そしておにいさまを少し大きくしたような人がいた。

 おにいさまは12歳だから、15歳くらい? この国の成人は15歳だというから、ちょうどそろそろ成人かといった感じの少年だった。

 ああ、前世でハイティーンだったわたしにとって、おにいさまもおねえさまも年下にしか思えなかったっていうのは秘密だ。

 そんな事をぼんやり考えて。


「初めまして。ラインハルト様。サーラ・トワイエル=アマテラスです。よろしくお願いします」


「ああ、よろしくな」


 ……お前、転生者、か?


 ああ、皮肉屋さんっぽい表情を浮かべているラインハルト様から、そんなダイレクトな意識が見えて。


 わたしは固まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ