転生少女、と、魔王のキオク。
夢の中に居た。
マイクロコスモスカッターの魔法陣を作動させた後、わたしの意識はそこから剥がされるように漂って。
世界が見える。
あきさんが言ってた。世界はほんといっぱいあるのだと。
そうか。人の意識が世界を産むのか。
そう、納得した。
この、瑠璃の世界のようなインナースペースの世界はいったいどれだけ生まれているのだろう?
なろうの、とんでもない数のおはなし、は、とてつもなく多くのおはなし世界を産んでいるのかもしれない。
最初の一歩を踏むのは難しいけれど、それができる可能だと識ることが次の成功を産むのです。
それは、とっても素敵なことだなって。
☆☆☆
目が醒めると、そこは見知らぬ天井だった。
ここは病院?
ナナコ、いる?
……反応はない、か。寂しい、な。
ここは……、そうか。
わたしは病院の待合室のソファーに寝かされていたらしい。
マイクロコスモスカッターは上手く動作したのだろうか?
うん。そう、信じたい。
今となってはもうそれを確かめる手段はないのだけれど。それでもあの世界が無事であろう、と、信じたい。
瑠璃は、起きたのだろうか?
わたしは……。彼女の気持ちに応える事ができるのか?
……そんなに気負わなくて、いいよ。
そう、ナナコの声が聞こえた気がした。
そっか。
誰かを好きになるって事は、すごく臆病になるって事かもしれないな。
自分をさらけ出すのと同じくらい恥ずかしい事だって。
わたしは瑠璃のこと、好きだよ。それが瑠璃がわたしを好きで居てくれるのと同じかどうか、なんて、考えるだけ無駄かも。
そんなこと、そんな尺度、どうせわからないんだもの。
ただ、今のわたしは瑠璃のことがすごく大事だし大切に思ってるって事だけで、それでいいのかも。
コンコン
ノックして扉を開ける。
そこにはベッドから起き上がり、笑顔で出迎えてくれた瑠璃がいた。
Fin
ここまでお付き合いくださいましてありがとうございます。
夢で見たお話を書き起こし、なんとか一ヶ月で完結出来ました。
この先このお話のまた別のお話を載せることはありますが、とりあえずここで終わりです。
ほんとうにありがとうございました。