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二章 特異点のアイリス

中立の国「シュナイゼル」

その昔、英雄シュナイゼルが中心となって作った国で周囲はザウス王国、エルド帝国、そして魔王の国アズチなどに囲まれている。

中立を保っていられるのは、やはり防衛軍の存在だろう。元冒険者や傭兵団から抜擢された防衛軍はエリート揃いで、防衛戦なら世界最強とも言われているそうだ。


そのシュナイゼル国の端の町「ロンメル」へとやって来た。

木造家屋に石畳、まさにRPGの世界だ。街の周りは石垣のような壁で囲まれ、難攻不落の中立国といった感じだ。

中立国だからだろうか?町の人々の種族も様々。人間、ドワーフ、エルフ、猫耳の亜人・・・本当に様々だ。



アイリスに言われるがまま町に来たが、お金が無いので宿が借りれない。

スライムや鬼(オーガと呼ぶらしい)を倒してもお金は手に入らなかった。やはりゲームとは違うようだ。

「転生直後は皆が最初に直面する問題よね(苦笑)」

同じ転生者のアイリスには、この一文無しの心細さがよく分かるようだ。

アイリスは少し何かを考え、口を開く。

「私の家、空き部屋が有るけど・・・来る?」

ロリっ子から夢のような誘いが!?生きてて良かった。一度死んだ人間だと、この言葉の重みが違う。

他に行く所も無いので、お言葉に甘えて暫く厄介になることにする。

「なんなら・・・ずっと一緒に暮らしても・・・良いよ///」

耳まで真っ赤にしながら小声で強烈な告白。近くに居たエルフの女子グループから変な目で見られる。あれは完全に変質者を見る目だった・・・


アイリスの家に着いた。

二階建て一軒家。薬のマークの看板も付いているので店舗兼住居の様だ。

「どうぞ。入って」

中に入る。看板から予想していた通り、薬局の様だ。棚に並んでいる商品を見ると、商品名など文字そのものは読めないが、なんとなく「回復薬塗るタイプ」「毒消し薬錠剤タイプ」「冒険者向けバトルプロテイン」と書いてあるのが分かる。転生ボーナスだろうか?

「ここはクラウス薬局。私は薬草なんかを集めて、薬を作って売ってるの。ウチの薬は良く効くって評判なんだよ!」

アイリスは自慢げに説明してくれた。ドヤ顔、可愛い。

「・・・(ドヤ顔のまま褒めて欲しそうに此方を見ている)」

「偉い、偉い」

そう言いながら頭を撫でる。

「ふみゃ~///」

変な声を出しながら、可愛い顔になる。ロリコンキラーとかロリコンホイホイ的なスキルでも持っているのだろうか?強烈な破壊力が精神に襲い掛かるのを何とか耐える。


二階の空き部屋に案内された。

「へぇ、広いな。六畳位あるかな?」

案内された部屋は六畳ほどの部屋。ベッドとクローゼットが置いてある。空き部屋と言う割には埃一つない、綺麗すぎる部屋に違和感が湧く。

「かなり綺麗だけど、昨日掃除したばかりかい?」

アイリスに問いかける。何やら「良くぞ聞いてくれた」といった顔になる。

「私の得意な魔法は生活系。家事は魔法で直ぐに済むから家中いつでもピッカピカ。薬も魔法で作ってるから、手作業で作るよりも高純度で効果絶大!」

またしてもドヤ顔になる。

「凄い、凄い」

褒めながら頭を撫でる。

「にゃは~///」

何なんだこの可愛いロリっ子は!?危うく凶戦士バーサーカーにクラスチェンジしてしまうところだった。


住む場所を確保できたので、次は職探しだ。アイリスに聞いたら「戦闘に自信があるなら冒険者はどう?」と言われたので、冒険者ギルドへとやってきた。

ギルドは二つ隣の建物だった。この通りは「ソルジャーストリート」と呼ばれ、兵士達や冒険者達が使いやすいようにギルドや薬局、鍛冶屋や魔装屋などが集中的に立ち並んでいた。この世界の町では基本的にソルジャーストリート方式が採用されている。敵軍やモンスターの襲来時に逸早く準備が整えられるからだ。

ギルドの中に入る。受け付けは金髪ポニーテールのエルフだ。

「職を探してここに来たのですが・・・」

「あ!はい、冒険者希望の方ですね。先ずは適性検査からになります。こちらの検査機の魔法陣に手の平をかざして下さい」

魔法陣に手をかざすと検査機から紙が出てくる。どうやら結果が印刷されたらしい。

「あら?転生者の方だったんですね。ふむふむ・・・あ~、残念ですが・・・」

受付エルフが結果を見せてくれた


ーステータスー

名前:シーゲル・クラウス(転生者)

レベル:20(上限)

クラス:一般人

スキル:戦闘技術上級(前世から所持)、サバイバル技術上級(前世から所持)

備考欄:前世にて自殺によるバッドステータス。レベル上限解放不可。


受付エルフによると、レベル20というのは兵士の一般的なレベル。そして冒険者になるにはバッドステータスが無い事が条件らしい。



ギルドを出ると、外は夕方になっていた。時計が無いので時間は分からないが、17時位だろうか?

「ただいま~」

家に帰る。アイリスは夕飯の準備が有るからと言ってギルドには付いて来なかった。

「お帰りなさい。お風呂にします?ご飯にします?」

奥からエプロン姿のアイリスが出てくる。髪もポニーテールになってる。そして新婚みたいな出迎え。可愛い。

「あ~、お風呂からにするよ」

そう言って上着を脱ぐ。すると上着の内側に前世の名前が書いてあった。

アイリスもどうしたの?といった表情で覗き込む。

「え・・・佐藤 茂?」

アイリスの目が丸くなる。

「顔も声も・・・仕草も・・・似すぎてて本人なんじゃないかって思ってたけど・・・やっぱり・・・茂さんだったんだ・・・」

アイリスの目に涙が浮かぶ。そして

「うわ~~~ん、会いたかったよ~(´;ω;`)」

抱き着いてきて大泣き。どうやら前世からの知り合いらしい。

「あー、よしよし」

抱きしめて頭を撫でる。


~5分後~

泣き止んだアイリスから話を聞く。

「私は前世で交通事故に合って死んで転生したの。死んだら前世の記憶は抹消されるらしいけど、稀に特異点って言って前世の記憶を持ったまま転生する人が居るの」

「つまり、アイリスは特異点で前世の私の事を知っている?」

「うん。茂・・・シーゲルさんは私の前世の夫。暴漢に襲われそうになってるところを助けてくれたのを切っ掛けに知り合って結婚して・・・藍が困ってるなら何処へだって駆けつけるって口癖みたいに言ってたけど、まさか異世界にまで・・・来てくれるなんて・・・」

あ、ヤバい。また泣き出しそう。

アイリスが嘘を言ってるようには見えない。次の瞬間、自分でもびっくりするような事を言い出した。

「前世の記憶は無いが、君に会うために転生した気がする。こっちの世界でも私と結婚してくれるかい?」

異世界に転生して、その日のうちにプロポーズ。

「良いの?シーゲルさんからしてみたら、私は初対面の・・・」

言い終わる前に口を挿む

「前世の記憶の名残か知らないが、初めて会った時から君のことが好きだ。茂としても、シーゲルとしても君に結婚を申し込む」

アイリスは嬉しそうだが、まだ踏ん切りが付かないようだ。

「・・・早くOKしないとエルフの姉ちゃんや猫耳亜人のロリっ子に盗られっちまうぞ?」

「フフッ」

アイリスがほほ笑む

「前世のプロポーズでも、迷ってると他の女の子に盗られっちまうぞって言ってたっけ」

前世でも同じようなプロポーズだったらしい。

「不束者ですが・・・よろしくお願いします・・・うえ~ん(´;ω;`)」

我慢していたようだが、結局泣き出した。


こうして泣き虫ロリっ子嫁と奇跡的に再会した。

夜、アイリスと今後の生活について話し合った。結果、夫婦で薬局を経営することとなった。

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