6日目 夕方
8階に到着し、三人で並んで歩いてていると、敵などでてこず、リラックスムードで歩いていた。
「ほんと、だいぶ違うんだね」
「そうなんだよ」
「結構明るくて、歩きやすいわね」
「だよねぇ」
しばらく、ゆっくりと歩いていると遠くのほうで、火薬が爆発する音が聞こえてきた。
「すごい音がするんだね」
「みたいだね、
火薬を使って、爆砕するらしいよ。
ここを曲がって、後は、まっすぐ行くと、次のフロアだよ」
「楽でいいわね」
「だね」
三人でわいわいと観光気分で進んでいくと、階段が見えてきた。
「ほんと、何にもなかったわね」
「休憩みたいで、よかったよ」
「うんうん。
次は、一段強くなるから、気を引き締めていこう!
それに、冒険者も会えるようになるはず」
「へぇ。楽しみだね」
ヒビキが先頭で、階段を降りて、次の階に行くとさっそくゴブリンが二体現れた。
「ヒビキ、装備してるよ」
「ちゃんと、装備していないところを狙って攻撃するんだよ、
こんなふうに」
「ヒビキくん、なかなかやるわね」
ヒビキが、持っている杖の先端で、脇の装備の開いているところから、突き刺すとハヤテも同様にゴブリンに攻撃を開始した。
奈々が、ヒビキを褒めるとハヤテも褒めてもらいたいため、ゴブリンの頭を雑に狙って剣を袈裟斬りで切りに行った。
ゴブリンは、不器用に避けるとハヤテの攻撃は空をきり、ゴブリンの剣がハヤテの胸に突き刺さる直前だった。奈々が一歩前にでると、ハヤテの体の脇から、槍が伸びていき、鎧ごと突き刺し、光の粒子へとゴブリンは変わっていった。
「ハヤテ、大丈夫?」
「大丈夫、ありがとう。
油断したよ」
「いいのよ、怪我がなければ。
次は、気を付けてね♪」
二人が手を取り合って見つめ合うと、ヒビキは、やってらんねという気持ちになり、目の前にいた十匹以上のゴブリンを火玉でなぎ倒し、周りに敵は居なくなった。
「もう、ヒビキ君ったら、焼いちゃって。
直ぐに、リぃちゃんに会えるわよ」
「そうだよ、ヒビキ。
全部倒したら、強くなれないじゃないか。
全く、大人げない」
「ぐぅうう!」
ぐうの音もないほどに、二人に論破され、ヒビキがぐったりしていると、正面にオーガが一体やってきた。
「ほら、来たよ、
さっさと、やっつけて」
ヒビキが、無下にいうとラブラブな二人は、楽し気に別れ、ハヤテは対峙しに向かった。
「ハヤテ、落ち着いてコウゲキを避けるのよ。
こん棒の攻撃は、防いじゃだめよ!
躱すか、逸らすのよ」
「OK!
やってみる!!」
オーガは、2メートルくらいの大きさでオーガの中では小ぶりだったが、ハヤテやヒビキに比べれば、数周りも大きかった。それに持っている大きなこん棒は、剣で防ごうとすれば、膂力に耐え切れずに潰されるところだった。
ハヤテは、逸らすのも難しいと感じたのか、前足立ちに立つと、右へ、後ろへと除け、オーガの攻撃を綺麗に避けていった。
何度目かの攻撃で、縦の大きな振りかぶりに合わせて、二歩程前に出ると、オーガの手首に向けて上方になぎるように受けると、ミスリルの剣の切れ味で、オーガのこん棒ごと、腕は切れて飛んでいった。
右手が無くなりうろたえているオーガに向かって、踏み込むと、袈裟斬りで一撃入れ、オーガは、光の粒子へと消えてった。
「おみごと!」
「かっこよかったわ♪」
ヒビキと奈々が賛辞の言葉をハヤテに送ると、頭を描きながら
「結構、時間かかったけど、倒すことができたよ」
「やっぱり、ハヤテの戦闘は不安よね」
「あの様子だったら、どんどん強くなっていきますよ」
ヒビキの言う通り、ハヤテは戦うごとに受けや避け、剣筋がよくなっていき、二体目、三体目と時間を半分以上も短くなっていった。
「結構、狩ったね。
そろそろ、夕食の時間だから、10階に行って、魔法陣から、地上に帰ろう」
「そういえば、魔法陣は初めてだよ。
楽しみだ」
「ふふふ、面白いのかしら」
「そりゃ、初めての体験は楽しみだよ」
「10階では、冒険者でいっぱいだから、戦闘もなくて済むかもしれないよ」
「そうなんだ。
そういえば、9階では、少し冒険者がいたね」
「そうそう、これの10倍はいるよ」
「大人気なのね」
ヒビキと会話しながら、10階へ続く階段を歩いていくと、ヒビキが行っていたように、10階は冒険者で溢れていた。
「これだと、私たちが戦う敵がいなさそうね」
「そうでしょ。
それに、この奥にボスが沸く部屋があるんですが、
そこも、結構な人がいましたね」
「へぇ~」
「だから、この後は、戦わずにそのまま帰れるよ」
ヒビキの後に、ハヤテとナナが両手をつないで、らんらんとしながら歩いていたが、この後、最初で最後のボス戦を行うことになろうとは、思ってもいなかった。