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4日目

 迷宮都市に向かっていくと、汚らしい一団がゆっくりと歩いていた。

「あぁ、居たわね。

 簡単に見つかるものね。

 で、この後、どうするの?」

「う~ん、どうしよう。

 追い越したら、絡んでくると思うんだけど……」

 ヒビキの予想通り、一団を追い越し始めると、女好きの一人が、リイナに向けて声をかけてきた。

「ねぇちゃん、そんな優男より、おれらと相手しようぜ」

「リイナは、僕の婚約者だ!

 君たちの相手などしない!」

 ヒビキが、ちょっかいに絡むと周りの男たちが次々に馬鹿にし、挑発しだした。


 あまりにも思惑通りに進みすぎて笑いそうになったが、彼らの安挑発にのった。

「だったら、1対1で決闘だ!

 君たちが勝ったら、彼女を好きにしていい。

 僕が勝ったら、僕のいうことを聞いて貰う!!!」

「お前みたいなやつが、俺らに勝てるわけないだろ」

「こっちだ」


 リイナを引き連れて山奥のほうに、半時ほど進むと、30人ぐらいの野郎の団体が下卑た笑いをしながら付いてきた。


 リイナの手を握り、こっそりと耳打ちをした。

「僕が一撃で、相手を吹っ飛ばすから、

 リイナは、あの土魔法で、他の全員を首ぐらいまで埋めてほしい」

「判ったわ。

 でも、勝てるの?」

「魔王直伝の必殺魔法があるから、

 楽しみに、見てて」


「おい、まだ、歩くのか?

 どうせ、負けるんだから、この辺でいいんじゃないか?」

「判りました。

 では、その先の野原で、やりましょう」

 ヒビキが指さした場所は、開けており奥には山が広がっていて、リイナの魔法を放つにはちょうどよく開けていた。


「おじょうちゃん、逃げだしたら、

 婚約者がどうなるかわからないぜ」

「ヒビキは、あんたたちごときには、後れをとらないわ」

 鼻で馬鹿にされると、相手のつま先を踵で踏みつけて、苦悶の表情にさせた。


 ヒビキは、彼を人で囲み大きな円形を組むと、中心に立たせられた。

「じゃ、中央から10歩進んだら、開始だ」

「わかった」

 ヒビキの相手は、筋肉粒々で2メートルほどの巨体でハンさんによく似ていた。


 一歩、また、一歩で、周りを声をだしてカウントしていくと、リイナは、周りに気づかれないように

こっそりと隊から離れ、魔法本をとりだすと、呪文を唱え始めた。


 ヒビキも同様に、フェイクのため剣をバックから取り出し、相手の到着地点に魔法をイメージしながら、歩みを進んでいた。


「9歩目!次で、開始だ!!」

 ゴーラリオが合図を出すと、ヒビキは、剣を放し、手をぐるぐると回し始めた。

「「「なんだ、それ。ははは」」」

「あ、あれは!!!!」

 大半が馬鹿にしていたが、一部に驚愕の声も交じり聞こえていたが、相手の男は後者であり、顔が真っ青になっていった。

「ハン式流ぼうぎょ……」

 彼は、最後まで言うことはできず、呪文が完成すると、彼の足元に数メートルの魔法陣がゆっくりと描かれた。


「いくよ!

 必殺!正掌鳳凰拳(カオスハンド)!!――」

 ヒビキは、師匠の様に恰好と言葉を真似て放つと、魔法陣は光輝き、紫色の巨大な握りこぶしが勢いよく足元から現れ、相手を上空高々に吹っ飛ばした。

「や、やっぱり~~~~」

 彼は、絶叫しながら、飛んでいく先には、リイナが既に魔法を唱え終わった魔法陣ができており、盛り上がっていていた土の塊につき刺さった。


「――泥積縁土石流!!」

「な、なんだ、あれは!!!!」

 全員が驚愕し、足を震え怯え始めたが、そんなことはお構いなく、高々と土石流が彼らを飲み込んでいった。


 ヒビキは、後ろを確認せずに走ってリイナのそばに駆け寄ると、ぎりぎり土に飲み込まれずに済んだ。

「ヒビキ、かっこよかったわよ」

「そんなことないよ。

 リイナの魔法には、敵わないよ

 やっぱり!

 すごいね!!」

 そんなやり取りを二人でしていると、また一人、また一人と、土から顔をだし、手を出して抜け出そうとし始めた。


「はい、勝手に土から抜け出したら、殺すことになりますから、

 抜け出さないでくださいね」

「お、おまえ、あの技、バーン魔王様の技だろう。

 どうして、お前が使えるんだ」

「まぁ、いろいろありまして、教えてもらいました。

 その後、バーン師匠とハンさんが、争いを辞めなかったんで、水で埋めてあげました。

 死にかけたんで、直ぐに助けてあげましたけど


 あなたたちも、僕に無断で話をしたら、そのまま水で埋めます。

 いいですね?」

 彼らは、必死で、頭を前後に降り始め、許諾の印を示した。


「いいことです。


 では、本題にはいります。

 目的は、あなたたちの構成。平たく言えば、この団の解散が目的です。


 どんな仕事でも、仕事があれば、

 この暮らしをやめて、やりたいという人がいますか?」

 急に事務的な質問に、困惑する人間が多数だったが、意図が判ると、頷く人が一人また一人と現れた。


 「その仕事が、ダンジョンでの鉱石堀ですが、それでも、いい人はいますか?」

 20人くらいの男たちが、うなづくと、場所と責任者を教え、一人づつ掘り出し、路銀を持たせ、迷宮都市に旅出させた。


「次に、力作業ではなく、頭脳労働で、ギルド職員の仕事があれば、抜けたい人がいますか?

 女性も多くいます」

 最後の一声で、5人ほどの名乗りをあげ、同じように路銀を持たせハンさんのもとに旅出させた。


「あなたは、何がしたいんですか?」

 残った人間が少なくなったことから、一人づつ話をすると、冒険がしたいが、先立つものもなく装備もないといった内容だった。リイナから、使っていない、余った装備を彼らに渡すと、旅出させた。


 残った三人は、ゴーラリオと魔術師と決闘した相手だった。

 僕と決闘をした巨漢の男も、ハンさんのもとに行くように指示すると、いやいやながら従った。


 ゴーラリオは、バート師匠にゆだねることにし、話をして、脅すと、仕方なしにに、向かわせることに成功した。


 魔術師は、王宮に向かってペテに従わせることにし、今後、ペテさんからの了承や王室に連絡をとらないといけないかなと考えた。


 全員が旅立って、リイナと二人きりになると、質問をしてきた。

「本当に、あんなので、彼らが従うの?」

「きっかけが、欲しかっただけだと思う。

 機会があれば、苦しい生活からは、抜け出したいと思うんじゃないかな」

「そういうものなの。

 よく判んないわ。

 それに、送り出した先が、受け入れてくれるの?」

「ふふふ。

 それは、これから、なんとかするさ。

 さて、戻って、明日、それぞれのところに、魔馬車で先に向かおう」

 やれやれと思いながらも、一旦、リイナは、納得することにして、ヒビキと共に、交易都市に戻ることにした。


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