要塞
少年は息が詰まる思いだった。
見付かる訳にはいかない、その思いが彼の判断を狂わせようとする。
今はまだ出る場面ではない。
早まる鼓動を必死に抑えながら相手の動向を盗み見る。
大丈夫だ、まだ気付かれてない。しかし相手も最大限警戒している。
………やらなければ、やられるんだ。
すぐに動けるように攻撃態勢を整える。
反対側を見た隙に、音を立てず少しずつ忍び寄る少年。
しかし、それ以上先に進む事は出来そうにない。
相手の防禦壁が固く、下手に近付けばやられてしまうのは目に見えていた。
そんな中反対側から攻撃態勢に入っていたチームが、微かな物音を立ててしまい、一気に襲撃を受け壊滅してしまう。
囮にして襲撃をかければ良かったが、近くに行き過ぎたのが仇になってしまい、少数でものの1分もしない内に全滅されてしまった。
今の失態のおかげで相手は更に警戒心を上げることだろう。
意識が一瞬反対方向に向けられたものの既に定位置に戻っており、振り出しに戻る。いや、味方を失った分、後退したと言うべきだろう。
その時だ、全滅と思われたその方向から突如別働隊が現れる。
防衛陣は突如現れた別働隊に浮き足立つ。
混乱し、突如現れたアクシデントに全員が同じ用に動き出す。
それで勝負は決した。
高い音と共に、それははるか高くに飛ぶ。
鬼は負けを察すると、そのまま無言で項垂れるのだった。
正解は『缶蹴り』でした。
日常を盛大に見せるって結構難しいですね^^;
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