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30歳童貞、魔法使いの弟子になる~チートなのは俺じゃないのか~  作者: 東野月子
30歳童貞、魔法使いの弟子になる~チートなのは俺じゃないのか~
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初めての城下町2

 別室では、女性らが裁断や縫製の作業をしていた。一角の大きなテーブルに招かれる。


 エリーは斜めがけにしていた布鞄に両腕を突っ込むと、次々大狼の毛皮を出して卓上に広げる。

 テッテレテッテッテー↑ッテッテー

 効果音が頭に流れる。どうなってんだあれ、四次○ポケットか。直入れか。未来道具か。魔法かそうか。なんで皆気にしてないんだ。そう言えば俺荷物とかすっかり頭に無かった。

 陽平の脳内が忙しくなる。


『さすが魔女様、今回も美品だねぇ。処理が美しいのはもちろん、毛質も一級品だよ。この辺りの狼だと茶色味がかっているのに、黒い森はやっぱり不思議だね。なんて美しい銀色だろう。』


『光栄です。そう伝えますね。いくらになります?』


『そうさね、3枚まとめて1,500ファルケでどうだい。』


『太っ腹!』


『これだけ大きけりゃ、男3人分のコートにはなるからね。魔女様のお陰で見慣れたけどさ、本当に規格外の大きさだよ。今ちょうどお貴族様の依頼を請けてるから、持って行って売り込むさ。』


 エリーの表情がきらきらと輝いて、陽平はつい見とれてしまう。恰幅の良い女性の方はあまり表情が動かないが、声は弾んで聞こえる。良い商談になったようだ。なるほど、無駄な愛想が無いだけだったのか。

 恰幅の良い女性が徐に離れていく。


「1,500ファルケで売れましたぁ!」


「1,500ファルケ?」


「1か月暮らせる金額でございます。」


「いぇっ!?」


「ブフッ!いぇっ!?」


 エリーの笑い上戸はそろそろ落ち着いてもいいのではと思う。


 商談成立してここを離れたということは、女性は1か月分の生活費を今用意して持ってくるという事だろう。自分たちはそれを持ち歩いて買い物するのか。

 元々あまり気が大きくない陽平としてはひったくりや強盗を懸念してしまうのだが、なるほど、四次○ポケットのお陰で商品を持ち込んだ様には見えないし、お金もそこに入れれば大金を持っているとは思われないのだろう。


 やがて女性が重そうな木箱を持ってきた。


『悪いね、今大きい硬貨が足りなくて。確認して貰えるかい。』


 女性に何か声を掛けられたかと思うと、エリーは下から上へ空気を持ち上げる様に、ふわりと手を動かす。

 と、木箱の蓋がひとりでに開き、中から硬貨が浮き上がった。

 そして、金貨、銀貨、銅貨と種類分けされて空中に積まれる。


『確かに受け取りました。』


『さすが長年お弟子さんをやってるだけあるね。じゃたまた良い取引を。』


 エリーは、銀貨数枚、銅貨数枚を革袋に分け入れ、残りを木箱に納め、二つとも四次○ポケット布鞄にしまう。


 挨拶して、ホクホク顔のエリーとともに陽平は工場を後にした。

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