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30歳童貞、魔法使いの弟子になる~チートなのは俺じゃないのか~  作者: 東野月子
30歳童貞、魔法使いの弟子になる~チートなのは俺じゃないのか~
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初めての城下町

「それじゃあ、行きましょうか。」


 そう言ってペンダントを下げたエリーの気配が突然縮んだ。

 バッ!と勢いよく横を見ると、そこには150cm程の三つ編みの女の子が居た。普段エリーは陽平を見下ろしており、高校時代の陽平の身長から換算すると170cm以上はあるだろう。質量保存の法則はどこに。


「いや、元々住んでたわけだからさ。そのままの姿で現れたらバレるでしょう、いくら成長していたって。」


 笑いを堪え切れずに肩を揺らしながら、エリーは説明する。相当間抜けな顔だったらしい。

 なるほど、ただ縮んだのではなく、髪は赤毛でそばかすがあり、鼻はツンと上を向き、目はまん丸。これはこれで可愛らしいが、普段のエリーとは似ても似つかない。赤毛のアンを彷彿とさせた。

 エリーが赤銅色のペンダントトップを開いて陽平に見せる。そこには今の姿と同じイラストが刻まれていた。赤毛なのは赤銅からなのだろうか。


「じゃあ、手を繋いで。」


「え?」


「繋がないと私落とす自信があるわ。」


 急いでエリーの手を取ると、体が重力を忘れてふわりと地面から離れる。

 そのまま木々の間を縫って、城下町へ直線で向かっていった。風を切る音が興奮を煽る。


「うおおー!うわー!」


 口からは感嘆しか出てこない。身一つで空を飛ぶなんて!

 流れていく景色は美しく、駆け抜けていく風が清々しい。やがてパッと視界が開け、小さな山の上にそびえ立つ城と、城下町を囲む石塀が目に飛び込んだ。

 異国情緒溢れる景色に胸が高鳴る。

 円錐形の屋根の棟がいくつもそびえる美しい白い城は、絵物語に出てくるこれぞ城!という外観で、川を背に山の頂から町を見下ろしている。

 城下町は無愛想なねずみ色の石垣に囲まれ、その上を張り巡らせた見張り廊下や門にいる兵士が物々しさを醸し出すが、それも含めて厨二心をくすぐってくる。


 門から数メートル離れて降り立つと、そこから歩いていく様だった。飛んだままあまり近づき過ぎると槍や矢を向けられるらしい。


「すっっっげーっすね!」


 あ、口調間違えた。エリーまた吹き出したよ。


「グフッ……喜んでいただけて何より。」


 門に近付くと、機会仕掛けのような動きで兵士がこちらを向く。

 体育で練習したなこれ、右向けー、右!


『証文はあるか。』


『ありません。商売目的で参りました。黒い森の魔女様から商品を預かっております。』


『名前は。』


『キルシュと申します。』


『キルシュ?』


『魔女様に頂いた名前です。こちらの男はヨーです。こちらも魔女様の使いです。』


『良かろう、入れ。』


 目を白黒させながら、陽平は突っ立っている事しか出来ない。何を話しているのやらさっぱりだ。入国?入町?入城?良く分からないが門を通るための問答をしているのだろう。やがて重く軋む音を立てながら門扉が開いた。


「お手数おかけしますが、帰ったらここの言葉を教えてください。」


「追々教えようと思ってたからそんなに落ち込まなくていいわよ。それより顔を上げてご覧なさいよ。」


「おっわ……うわー!」


 そこには、黄色や薄オレンジ、白や薄水色などカラフルな壁をした木組みの家々が整然と連なっていた。統一性の無い壁に反して屋根は一様にレンガ色で、色とりどりでも街全体に一体感がある。

 軒先には所々イラストが型抜きされたような金属製の飾りが下がっているが、ハサミや、ワイングラスと葡萄などのモチーフからすると飾り看板だろうか。杖に巻き付いた蛇のモチーフもある。

 メルヘンだ。ファンタジーだ。ゲームはあまり親しくないが、RPGなんかに出てくるんじゃないか。魔法物の漫画で出てきそうだ。胸が高鳴る。異世界転生ありがとう!


「えっと、あそこに売りに行くんですか。」


 ブッフー!


 杖と蛇の看板を指さすと、またエリーに笑われる。


「あれはね、薬局!まあ、薬草類だの薬だの、それから化粧品類も作って持って行ったりはするけど、毛皮を持ち込まれたら困るだろうね!今日はね、こっち。」


 顔を真っ赤にしてエリーに付いていく。もうあんまりはしゃぎたくない。専門時代男女比1:7で圧倒的劣勢だった陽平としては、いじられ慣れてはいるけれど、恥ずかしいものは恥ずかしい。


 そこには何の看板も出ていなかったが、トントン、と小気味よく響く木の音から、何かを作る工場であることが伺えた。無施錠の扉を開けると、そこには機織り機が並んでいた。女性らが手作業で取り組んでいる。

 ここでは何でも魔法で済ませるものと思っていたので、かなり意外だった。


『おかみさーん!毛皮持ってきたよー!』


 別室から、ふっくらとして背の高い、貫禄のある女性が出てきた。普段のエリーとさほど変わらない身長なのに、なんだろう、迫力がすごい。


『どれ、見てやるからおいで。』


『お願いしまーす。』


 ニコリともしないで手で招かれる。エリーはニコニコして付いて行くが、なんでこんなのと取引してるんだ。

 とりあえず陽平も後に続いた。

城の外観はノイシュバンシュタイン城をイメージしました。内観はラインシュタイン城の様な感じにしたい。

街並みはローテンブルク。

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