2話
誤字脱字がありましたら報告してくださると幸いです。では、2話をどうぞ。
「あれ?なんで意識があるの?」
横になっている僕の顔を覗き込んでいた目の前の少女が首を傾げて言う。
「生きて…る。なんで、斬られたはずのなに。そうだ!ゲイルは?父さんと母さんにも謝らないと。先ずはここが何処か把握しなきゃ」
「ここは王都アイゼルシュペインの教会だよ。それで私は怪我をした貴方を治療してたの。あと、貴方の家族はそこに」
そう言って少女が指差す方向を見ると僕の家族が心配そうにこちらを見ている。
「母さん、父さん!心配かけてごめんなさい!」
急いで駆け寄って謝ろうとするが2人は一向に微動だにしない。
「え…どうして?何で止まってるの?母さん、父さん!僕の怪我は治ったからさ、返事をしてよ!動いてよ!」
理解できない。いま、自分が置かれている状況が全く理解できず呆然と立ち尽くす。
「さてと、今度は私の質問に答えてくれるかな?君はどうしてこの空間で意識があるの?」
「知らないよ!一体どうなってるんだ?そうか…お前がやったんだな。父さんと母さんを元に戻せ!」
そう言って少女に掴みかかろうとするが、掴もうとした手は空を切った。
「酷いなぁ。私は君の事を助けてあげたのに。流石にそう言うのは怒るよ」
少女に諭され少し頭が冷静になる。
「か、勝手に決めつけてゴメン」
「うん。いいよ、許してあげる。誰にだって間違いはあるしね」
ふう、どうやらこの娘は心が広いようだ。
「でも、女の子に手を出そうとした罪は償ってもらうよ」
「え、今許してくれるって」
「それとこれは別。女の子を傷つけようとした罪は重いんだよ」
前言撤回。心が広いなんて嘘だった。
「あー、今失礼なこと考えたでしょ」
げっ、なんでバレるんだ…
「君の記憶を見たからだよ。そうだね、もう、言っちゃったしいいか。君にはさっきの償いとして私の話を聞いてもらおうかな」
記憶を…見た!?それに話ってどういうことだ?
「先ずは自己紹介から、私は王都の教会で聖女をやっているアリシア、姓はないよ。それで、君を魔法の力で直したんだけど普通の回復魔法じゃないんだ」
普通の回復魔法じゃない?
「うん。私の能力名は『時の囚人』。時間を撒き戻せるんだ」
それはひょっとして凄い事なんじゃないだろうか、僕だったらやり直したい事が沢山ある。
「例えば、ゲイル君との関係…とか?」
「そうそう、ゲイルとの関係ってなんで知ってんの!?」
「それは今から説明するね。私は他の人の時間を巻き戻して怪我を治してるの。そして、巻き戻す時にその人の記憶まで私は体験するの」
それって、つまりは僕が斬られた時の痛みも感じているっていう事なのか?
「その、嫌じゃないの?痛いのとか苦しいのとか」
「嫌に決まってるよ。でも、他の人が死ぬのはもっと嫌」
これがアリシアの生き方なのか…とても悲しい生き方だな。
「さてと、貴方の家族が動かないのは私が時間を止めているせい。たまに時間を止めて休んでるのよ、教会の他の人にバレないように。だからいつでも解除できる。ありがとね、私の愚痴につき合わせちゃって」
アリシアが下を見て俯きながら僕に礼を言う。
「じゃあ、さようなら。ここで話した事は忘れて」
ただの別れの言葉。でも、アリシアが下を向いている時に涙を少し流していたのが見えてしまった。だから、僕はアリシアを救いたかった。拒絶されても良い。臆病者で周りに合わせることしかできない人間だけど僕は、君を
「ねえ、アリシアさん。その肩に背負ってる物、僕に半分背負わせてよ」
救いたいと思った。
明日も投稿できると思いたい。