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僕と神童鳴海 上

「なあお前。俺の仲間になれよ」

 学ランを羽織った男は倒れている僕の背中を下駄で踏みつけながらそう言う。

「……意味が分かりません。」

 僕は正直に彼にそう言った。

「というか仲間になってもらいたいのならその足をどけてください。その下駄、めっちゃとがってて痛いんですよ。ただでさえさっきまで誰かさんにしこたま殴られていたというのに」

「やだよ」

 男は皮肉には耳もくれず即答した。

「そんなことしたらお前絶対逃げちゃうだろ」

「…そりゃ学ラン羽織って下駄をはいたポニーテールの男に絡まれたら逃げたくもなりますよ。それにこんなにぼこぼこにされたらなおさらです」

「お前名前は?」

 相変わらずガン無視である。虚しい気持ちをこらえ僕は答えた。

「赤谷月人ですけど」

「つきひと、か。変な名前だな」

「聞いといてひどいこと言いますね」

「ちなみに俺の名前は神童鳴海だ」

 聞かれてもいないのに彼はそう名乗った。…ん?と僕は考える。どこかでよく聞く名前だからだ。しかし僕が思い出す前に彼は続ける。

「神鳴団の団長やってる。よろしくな」

 その衝撃の告白に僕こと赤谷月人は「は?」と間抜けな反応しかとることができなかった。彼が、その存在がすぐ近くにいるといわれて納得できるものなど誰もいないだろう。「本当に」僕は再確認するためもう一度彼に話しかける。

「本当にあの神童鳴海なんですか?」

「そうだったらどうだ?仲間になる気になるだろ?」

 もし彼が本当に今世間を騒がせている神童鳴海なのだとしたら。もし彼が本当にあの神鳴団の団長なのだとしたら。もし彼が本当に



 あの『革命家』なのだとしたら。



 僕はーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「て嫌ですよ!!!!!」

 僕はは神童にあって初めて大きな声を出してそう答えた。下駄の下敷きになりながらも必死で嫌嫌アピールをする。

「えーなんでだよォー。魅力的だと思わねえのかぁー?革命だぞ革命。男のロマンだ!」

 神童鳴海は、あるいは今話題の『革命家』は熱い口調でそう語り、僕に初めて笑顔を見せた。



 これが僕と神童の出会いであり、僕自身と僕の人生を大きく変える出来事であり、そして始まりの出来事だった。

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