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幼馴染達

「母さん・・・。俺立派になるからさ・・・。見ててよ。」

「相馬。いくぞ。」

 道代の墓参りをやっと済ませた親子は馬に乗った。

「しかし、今回は珠利の働きたるや目覚しかったようだな。国王は珠利を師団長にするという約束をなさったというが・・・。」

「まだあの馬鹿には早いよ。」

「そうだな。もう少し、訓練をつんでから・・・。しかし、あの子もはじめは頑として騎士になると言い張っていたが、よき兵士になってくれた。最近は騎士にしか焦点が当たらないが・・・あれは軍の希望だな。」

「そんないいもんじゃないけどね・・・。」

「しかし、お前がいて、珠利がいて、珠以の率いる騎士がいて・・・。これからは楽しみだな。」

「俺も!俺もそれはすげえ楽しみ!」



「へえ、長閑な村だね。早く先生の子供とか奥さんとか会いたいなあ。」

「ああ、そこだ。」

 孝従は馬から飛び降りると一番下の子供と縁側に座って空を見上げている妻へと駆け出した。

その姿に気がつき、孝従を見つけた咲もまたすぐに走り出していた。

「お帰りなさい。あなた。」

 咲は大粒の涙を流しながら、夫をしっかり受け止めた。

そして何度も何度も夫の背中を撫でた。

孝従は目を閉じ、咲の細くなった体をただきつく抱きしめていた。

「咲・・・すまない。もう・・・どこにも行かないから・・・。咲。」

「もう嫌よ。こんな思いは二度と嫌よ。次またやったら、怨むから。」

 珠利はそんな二人を見て微笑んでいた。一方、珠以は近寄っていった。咲は自分に近づく珠以に視線を向けた。

「この度の我が騎士の非礼、申し訳ありませんでした。いえ、謝ってすむことではないことは分かっています。」

「あなたが・・・美珠様のおっしゃっていた国王騎士を束ねている方ですか?」

 咲は孝従の手を取り、珠以をただ見つめた。

「・・・私は騎士が嫌いです。」

「・・・はい。」

「でも・・・あなたは美珠様が信じておられる方なんでしょう?」

「そうだ。この男は美珠様を最も信じ、最も信じられている男だ。」

 そういったのは孝従だった。

「なら・・・私はあなたを責めはしません。美珠様はあんな大事なときにこんなところまで来てくださって謝って下さった。そして私の願いも聞き届けて下さった。子供達は帰ってこない。けれど、夫は帰ってきてくれた・・・。今はそれが嬉しい。だから・・・顔を上げてください。そして美珠様に伝えてください。ありがとうございましたと。」

 珠以はもう一度頭を下げた。

「わ、可愛いねえ。この子男の子?先生にそっくりじゃん!」

 後ろで珠利の声がした。孝従が振り返ると珠利が子供を抱えて笑っていた。

「あなた、あの子は?」

「あいつは教え子、ついでにこいつも・・・。俺もこいつにたくさんのものを失わせた。きっと、こいつには生き地獄だっただろう。」

 すると咲はそんな珠以の背中を押した。

「さあ、せかっく来てくださったんだからお茶でも飲んでいってください。」

「いえ。そんな。」

 珠以が断ろうとすると、珠利は咲と一緒に家の中へと入っていった。

「・・・すいませんでした。」

 珠以は孝従の背中にその言葉をかけた。すると孝従は珠以に向き直り、暫く目を見つめた。

「・・・俺こそ・・・すまなかった。二度もお前を殺そうとした。それに・・・美珠様にも色々迷惑をかけたな。お前からも謝っておいてくれ。」

「はい。」

「さ、お茶でも飲んで行け。咲の手製の茶は割りとうまいぞ。」

「ええ・・・では。」

 家の中では幸せそうに咲が孝従を見て微笑んでいた。


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