砂漠にて
国明は眠ることが出来なかった。
体は恐ろしく疲れ果てているはずなのに、目がさえる。
体を起こし部屋の外に出たみた。
人々はもう眠りについているのだろうか、誰一人として歩いておらず、暗闇の中何かがまばゆい光をそこら中から出していた。
国明は近づいてその何かに触れてみた。水晶だった。
「ここは、水晶の産地だ。・・・眠れないのか?」
未宇が立っていた。
「国王騎士になったのだな・・・。一時の史上最年少団長か。お前は子供のころから騎士気取りだったからな。」
「あなたこそ、何処に消えていたのかと思えば。」
「あの女に付けねらわれていた。孝従と共にいた魔女だ。」
「それが、桐という女と関係があるのか?」
暗守の低い声が響いた。未宇は頷く。
「大ありだ。」
「まさかその時の女が桐なのか?」
国明の独り言のような質問に未宇は何も返すことはなかった。
「では竜桧はたぶらかされているのか。その女の狙いは何だ?」
「女の肉体だ。桐は美しい女を喰らい、永遠に生き続ける。今のあの肉体は娘のものだ。」
国明と暗守は驚きのあまり声を詰まらせた。
「私の娘の体を喰らいしばらく過ごしていたが、王宮に行った。更なる美しい体を求めてな。」
「まさか次は美珠様を?」
「現れたと言うことはそういうことだろう。」
「なら早くお助けしないと!でもどうすれば。」
国明はすがるように未宇に尋ねた。未宇はそんな国明に来るように命じた。
国明と暗守が顔を見合わせ、大人しくついていくと、洞窟の奥に大きな虹色の水晶の壁があった。
そしてその下には七色の光を放つ剣が何本も置かれていた。
「これをもってけ、あの魔女はこれでないと斬れないからな。あの魔女の部族の討伐の際にもこの剣は使用されたそうだ。あいつはかなり特殊な種族らしいからな。」
国明はその剣を一本手に取った。すると更に光が増した。
「ところで、お前たちはどういう知り合いなんだ?さっきの会話では、もとからの知り合いのようだったが・・・。」
「それほどの知り合いではないがな、まあ子供の頃に少し世話をしてやったのさ。」
自嘲気味に笑う未宇は暗守に更に話をぶつけた。
「あと、お前・・・目が青いが・・・先々代の暗黒騎士団長の孫だろ?」
「・・・何故知っている?」
「まあ、ある一部の人間はお前のその姿の理由を知っているさ。きっと、いまじゃあ、それを知る人間もごくわずかだろうが・・・。」
その言葉を聞いた途端暗守の顔色が変わった。
「教えてくれ・・・。俺の髪と肌がこの色をしているわけを!」
「・・・そうだな。お前が知る権利はあるな・・・。」
未宇は手ごろな岩に腰かけ息を吐いた。