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竜桧

「騎士が謀反を起こした。なら団長が責任を取るというのが筋じゃないのか!なのにのうのうと・・・。神経を疑う。しかし、誰が敵を倒してくれたんだろうな。」 

 竜桧はよほど腹に据えかねたのか怒鳴りだした。その怒鳴り声に聖斗も怒鳴り返した。

「敵ではない!」

 一方、魔央の顔には明らかに焦りが出ていた。

 美珠のことだけではない。

 どこを探しても恋人の姿はなくなっていた。

「敵だろ?美珠様を襲ったんだから。」

「やめろ!美珠様が眠っておられるんだ、静かにしろ。」

「お前はいいよな、どんなときも美珠様とべったり側にいれるんだ。」

 竜桧は同じ国王側の国明までも挑発しはじめた。

「何だと!」

 国明か動こうとして、よろけると暗守が腕を持って支えた。国明は暗守に支えられたことに少し驚き相手の顔を見ていた。

 暗守はそんな国明に椅子に座るように薦め国明が椅子に座ったのを見届けると、自分は美珠の側に座りただ見つめた。

 竜桧はその光景をまるでおかしいもののように眺めた後、いつも自分を無視する天敵に矛先を向けた。

「お前まさか、美珠様に惚れているのか?」

「お前は惚れていないのに夫の候補になろうとしているのか?まさか、ただの興味本位で結婚しようなんて考えてはいまいな・・・。」

暗 守の気迫に押され竜桧は他の者に訊く。

「魔央、お前だって愛していないだろ?お前噂では男囲ってるんだろ?」

 魔央は軽蔑したような目を向けた。

「美珠様に全てお話しし候補からはずして頂いた、しかし私は美珠様に忠誠を誓っている。」

「聖斗は、お前だって帰ってきてないだろ?」

「私も候補からははずされている。」

 竜桧は驚いたようにキョロキョロ周りを見た。全員が竜桧に冷たい視線を送っているような気がした。

 竜桧はその視線に居心地が悪くなり出て行った。


「何だよ!畜生!」

 竜桧が廊下に出て壁を殴りつけると後ろから女が抱きついた。女は侍女の服装をし、美しい髪を結いあげていた。

「ねえ、どうしたの?そんなに怒って。」

 優しくそして包むように女は微笑む。

 竜桧は無意識に女の瞳に口付けていた。

「?どうしたの?怖い顔して。」

「皆俺が年下だからなめやがって・・・。俺は最年少騎士団長だぞ!くそ!俺がどれだけ優秀でも押しつぶされる。」

「天才はどの時代にも疎まれてしまうものよ。もう候補者も絞られてきているんでしょ?大丈夫なの?早く力を手に入れて!私もう限界なの。」

「どうしたんだよ?何があったんだ?」

「・・・あのね・・・黙っていたけど王は毎日私を寝室に呼ぶの。本当は嫌なのよ!信じて!私そんな軽い女じゃないの!」

(きり)、それ本当なのか?お前は俺の女だぞ!」

「なら早く力を手に入れて!私を守って見せて!貴方ならこの国を変える力がある。だから貴方のそばにいてそれを見届けたいの。それなのにあんな男に。お願い早く力を手に入れて、あの王よりも強い力を、そして私を守って。」

「桐・・・。分かった。」


「大きな亀裂だな・・・。」

 光東が呟く。その言葉に魔央が少し笑った。

「あいつは一番若いから・・・。」

「・・・しかし、もう二人も候補からはずれていたとはな・・・。」

 国明が魔央と聖斗を見ながら言うと二人とも苦笑いを浮かべた。

「多分、俺も候補からはずれる・・・。」

 光東がぽつり言う。

「お前も?」

「ああ、俺も守りたい奴がいるから。だからといって仕事はおろそかにしないぞ。」

 光東は気合いを入れ直し、暗守が本題へと戻した。

「館を襲った騎士は皆昨日武闘大会にて負傷し、魔法治療室に運ばれたものたちだった。その傷の方は完治したらしいが・・・。」

「じゃあ、そこで意気投合して襲ったというのか?」

 聖斗に続き魔央が書類を手に持ち話し始めた。

「いや、その場で治療に当たったものは誰も戦闘に加わってはいない・・・。同じ時間、同じ場所にいたのにだ・・・。襲った魔法騎士は皆負傷したものたちばかりだ。そして数人姿が見えない・・・捜さないと・・・。」

「陛下は優勝者を懸念しておられた。その線も少し調べないとな。」




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