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I become a HERO  作者: kaninchen@うさぎ
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第12話 【 The result that nobody expects and restart】

遅れましてごめんなさい!

まさかの年明け初投稿ですw!


――暗い。


光なんてものはなく、ただひたすらにどこまでも広がっていそうな闇に囲まれた世界。


そんな闇の中でリアスは目覚めた。いや、正確には本当に自分がそこにいるのか、自分は目覚めているのか、それすら分からない。

必死に過去を思い出そうとするものの、獣を倒して召喚士らしき人物が逃げた、どれだけ思い出そうともそれ以降の記憶が無い。


俺、なんでこんな所にいるんだっけ?そもそもここはどこ?

――俺、死んだのか?


「正解!正解!だーいせーいかーい!」


不意に男の声がした。


その途端、リアスの頭に衝撃が走り目から火花が飛び散った。そしてオマケに背中を打った。

「ぶげ!びゃっ!」と、猫を2回踏んずけたような声を上げながら目をぱちくりさせる。


視界に飛び散る星の後ろ、イマイチ焦点の合わない目で見つめる先は先程と打って変わって光が広がっている。ただ、光の中一部分だけ切り取られたように黒で染まっている。


「いってぇ......」


頭を擦りながら起き上がると、黒い部分がだんだんと形を変化させ、アメーバみたいなのから楕円に、楕円から膨らみを持った棒に、そしてそれから人の形を成した「そいつ」に変わった。


「やぁ、お目覚めかい?」


全身真っ黒の衣服に身を包んだそいつは、中性的な声で呼びかけてくる。まるで子供に話しかけるみたいに。


「黒、フード!」


俺は忌々しげにそいつ――黒フードに向けて怒鳴る。目深に被ったフードから見える口がニッと吊り上がった。


「へぇ、君はそう呼ぶのか。それともまだ混乱してるのかな?これ、何本にみえるー?」


そう言って黒フードは俺にブイサインを向けてきた、挑発されてる気がしたし、乗らない。


「なんでお前がここにいる?というかここはどこだ?」


「失礼な日本人だなぁ、質問を質問で返すなよ。あっ!ちなみに答えは2本ね」


ニタニタと笑う口だけが見える、すごくウザイ。

今ならあの時怒り狂ってた人達の気持ちも分かる、これはウザイ。

ただ、さっき気づいたけど、銃がない。これじゃ撃ち殺そうにも撃ち殺せない。


「聞いてない、早く答えろ」


「勝手な日本人だなー、まぁ落ち着けよ。日本人はみんな焦りすぎ。シゴトノムシ、って言うんだっけ?日本人は働き過ぎなんだよ、だからいつでもどこでもビジネスの商談みたいに結論をいそ――」


「どうだっていい!ここはどこで!俺はどうしてここに居て!なんでお前はここにいる!」


相手の言葉を切って怒鳴る。「いー」と言いながら黒フードが耳を塞いだ。


「うるさいなぁ......悪かったよ、俺はお喋りが好きなんだ。で?なんで君がここにいるんだ、だったかな?」


「あぁ」

俺は大きく頷く、またフードの口がニッと吊り上がった。


「簡単な話だよ、君が死んでリスポーンするまでの間に俺がここに引っ張ってきた。ちなみにここは急ごしらえのトークスペースって感じかな、データの最後尾にくっつけたテクスチャもなんもないエリア。入ることはできないから僕と君のふたりきりだ」


そんな事ができるのか?と、聞こうとしたけど、さんざんマップをいじってるこいつの事だ、データの編集権を持っているならそれぐらいできるんだろう。

しかしデータの編集権とかチートにも程がある......もっとこう、なんかなかったのか?


「なんで俺なんだ?それとも全員ここに連れて来てるのか?」


「いやいやまさか。君は――リアスは少し気になる存在だからね」


「......どういう意味だそれ?」


俺がそう言うと、黒フードは腕を組んでうーんと唸り始める。


「少し、少し語弊があったかな」


「うん!訂正しよう!どちらかというと、リアスよりはライアンの方が気になるかな!」


黒フードはニタニタ笑いながらそんな事を言った、腕を組んだままで何故か満足そうに頷いている。


「なんでライアンの名前が出てくる。まさか全プレーヤーを同時に見てるわけじゃねぇだろ?」


「ははっ!それができたら一番いいけどね!まぁ無理だ。だから、現時点で俺がどこにいるか予想して動いているプレーヤーは監視してる」


「へぇ、つまり自分にとって脅威になる存在とその仲間は全員見てるわけか。とんだチキン野郎だなおい」


「んー、最後の言葉がなければ会話としては100点だったんだけどなー」


黒フードは残念そうにうなだれる。リアクションがいちいち大きくてピエロを見てるみたいだ、生憎笑えないけど。


「ただ、リアスの想像通りだ。誰だって死ぬのは怖いからね」


ニタニタと笑いながら、黒フードがそう言った......死ぬのは怖い、と。


「お前が、それをいうか?」


耐えてきたものをぶちまけるように、俺は吠える。


「数億に上るプレイヤーを!くっだらないゲームの中に閉じ込めて!その上、「最悪死ぬかもしれないね」とか何とか言って!不安!混乱を!死の恐怖を植え付けたお前が言うか!?」


「クソ外道が!俺らはいつ元の世界に戻れるかも分からないこんな状況で!お前の言った戦争とかいうテーマに沿って殺しあってんだぞ!気楽なのは隔離された場所でのんびりしてるお前だけだ!」


「ひとつ聞いてやるよ、何でこんな事をした?なんでこの環境を作った!」


黒フードが気だるそうに首を左右に振る、面倒くさい以外の感情がその仕草から見れない。


「きっと、適当な答えを言ったらリアスは起こるんだろうね......」


「あんまり言いたくはないんだけどな、仕方ない。リアス、君はこのゲームが楽しいか?」


「......は?」


「僕は楽しくない、ランキングシステム?PvP?どれも旧世代のシステムだ、画期的じゃない。革新的なのはハードそのものの技術だけ、ソフトがそれに依存してるだけのクソゲーだ」


「酷いもんだろ?それこそプレーヤーのランクによって難易度は変わるさ、モブに限ればな。プレーヤー同士だとそうはいかない、より高ランクのやつが強い、当然だ」


「だからこそ、新規プレーヤーは上を目指せない、目指さないんじゃなくな。だってそうだろ?ランキングを上げる手っ取り早い手段がPvP、低ランクからコツコツ上げようにもより強いスキルを持ったやつが勝つ」


「さて、元新規プレーヤーが一位になれたとしよう。なぜだ?理由は簡単、上のやつがゲームをやめたからだ。同ランクと戦ってもつまらない、しかし上がいない。そして去っていく......悪循環を生むクソゲーだ」


......不覚にも、一理ある、と思ってしまった。

でもこいつはやっぱり間違ってる、俺が上を目指さない派のプレーヤーだからかもしれないが、このゲームは他にパーティーを組んだりとかダンジョン攻略とか楽しむことがある。

PvPに置いてもそうだ、勝てないランクに戦略や武器を調達してこそのPvPじゃないのか?


「だから、1度壊してやった。全員足並みを揃えてのリスタートだ」


「でも、積み上げてきたものが崩れるのはやる気をなくすだろう?だから閉じ込めた、より楽しめるように。だから死の恐怖を与えた、より楽しめるように。そう、僕はみんなが楽しめるようにしてやっただけだ......」


「不満かよ、リアス、プレーヤー。俺は楽しめるように頑張ったんだ、よりハードそのものを楽しめるようにしただけだ......なぜ咎められる、不満なのか?」


「......あぁ、不満だよ。ゲームは気楽にやるための娯楽だ、死ぬ気でやるもんじゃない」


「そうか、そうなのか......」


「なぁ、そろそろ解放してくれないか?俺にはやらなきゃいけない事がある」


「そうだね、僕も話がすぎた。これを返しておくよ」


そう言って、黒フードが俺のベレッタを差し出す。受け取ると、視界の右隅に、所持品が追加されたとログが入った。


「さて、さよならだリアス」


黒フードはそう言いながら、どこからか出てきた淡く光り輝く両刃剣で、リアスを真っ二つに切り裂いた。



黒フードの足元に転がる肉塊や血溜まりが、蒸発しデータとなって流れていく。


「君は本当に、分かってくれなかったのか?」


彼は、消えゆく肉塊に言葉を投げかけた。

もちろん、返事なんか帰ってこない。

あっ、2年最後のテスト終わりました。

結果は最高ですが最悪です。


勉強したのにな......

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