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Life of Another World Online  作者: 外山 孝
《始まりとスターターイベント》
4/8

4話

遅くなりました。


2/10 エアカッターのレベルを3→5に変更しました。

4話:《始まりのダンジョン》


「ハル!前から二体来る。」

「うん、任せて。『風神の息吹、刃をなして、敵を切さかん』エアカッター!」


ハルが【風魔法】のLv5で覚えられる魔法、エアカッターで前方の二体の敵に先制攻撃を放つ。


________________________

 アグレッシブスターターチキンA、B Lv4


攻撃的な《始まりの鶏スターターチキン》、


弱点属性:火、風、闇、

耐性属性:土、光

________________________


「今回は二体とも4レベだから、ハルは魔法を温存して後ろから杖でサポートしてくれ。」

「うん、分かった。」


俺は【鑑定】を使って敵のレベルを確認しながら攻撃をする。

現在、《始まりのダンジョン》1Fの最後の通路を進んでいる。

ダンジョンマップを見たところこのダンジョンは3フロアからなるダンジョンだ。

出現するモンスターは『アグレッシブスターターチキン』のみ、レベルは現在最高が6レベである。

ほとんどの『アグレッシブスターターチキン』から『始まりの鈴』がドロップするためイベント的にはかなりの稼ぎどころである。

俺は手前側にいる『アグレッシブスターターチキンA』を下から掬い上げるように切り飛ばす。


「エッジ!」


俺が叫ぶと刀の刃を黄色いエフェクトが包む。

俺は切り上げたまま振り上げられている刀をそのまま『スターターチキンB』に振り下ろす。

そして、後ろを向く反動を使って肩に担ぐように切り上げる。


「コケェー!!」


『アグレッシブスターターチキンB』は悲鳴をあげて倒れる。

その段階で、俺の刀からエフェクトが消えた。

アーツ成功だ。

これは【剣技】スキルのLv5で覚える上下二段攻撃のアーツだ。


「コケーー!!」


っと、後ろを向いている俺に最初に切り飛ばされた『アグレッシブスターターチキンA』の方がけりを放って来た。


「スマッシュ!!」


しかし、『アグレッシブスターターチキンA』の攻撃が届く前にハルの杖がアグレッシブスターターチキンA』の腹を捕え、そのまま『アグレッシブスターターチキンA』は空中で倒れた。


「うっし、この先に多分上とつながる階段がある。とりあえずそこで交代ログアウトで夕ご飯とお風呂を済ませるぞ。」

「うん、了解。」


ハルが頷くのを確認すると、俺たちはゆっくりとダンジョンの通路を進み始めた。

現在、このダンジョンに来てから1時間半が経過していた。

これは決して俺たちが弱いとか、敵モブが強すぎるとかではない。

ここまで時間のかかった最大の原因は、俺たちは現在一切の回復薬を使わず、自然回復を待ってから移動をするという時間のかかる行動をしてるからである。

こんなことになった経緯はさかのぼること数十分。

俺たちは行き止まりの大きなホールで、『攻撃的な始まりの鶏アグレッシブスターターチキンミドル』という中ボスを撃破していた。

この敵はLv8と、中ボスらしい高レベルモンスターで倒すのに二人とも少なくないダメージを負っていた。

そこで回復薬を使おうと緊急時や戦闘時ではないのでストレージを見たところ、回復薬は残っておらず、ポーチの中に5本、MP回復薬も残りポーチの中に3本。

二人合わせて回復薬8本、MP回復薬7本という後2フロアを攻略するには心もとない数しかなかった。

なので、二人で残り少ない回復薬を分け、最終ボス戦以外では薬品系アイテムを使用しないことにしたのだった。

ダンジョンに行く前にアイテムの補充をせず、攻略にかかる時間を読み誤ったのはやっぱり新しいゲームに浮かれていたんだろうと少し後悔したが、俺たち二人の中にだから攻略を諦めてリタイアするという選択肢は存在しない。

幸い二人とも明日には用事が入っておらず、夕食も自分の好きな時間に取れるので、その場で自然回復を待った後行軍を開始し、現在にいたる。

幸いにも、敵モブの攻撃は分かりやすいので二人で連携し、ほぼノーダメージで倒すので自然回復をまつのは回復しやすいMPのみである。


それからすぐに階段部屋に着いた。

中には幸いなことに敵影は見えない。


「よし、ハル、先にログアウトしていいぞ。」

「うん、分かった。じゃあ、護衛お願いね。」


このゲームのログアウトには2つの種類が存在する。

一つ目が、完全にゲームを中断するものだ。

街などの圏内フィールドやそこにある宿屋の場合はすぐにアバターごとログアウトができる。

ただし、宿屋以外の圏内フィールドだと、1000ギル無くなるうえに、極まれにだがストレージ内のアイテムが消失ロストすることもあるのだ。

また、圏外フィールドでログアウトすると、アバターが10分程度その場に残る。

その時そこに残ったアバターはモンスターを呼び寄せ、ノンアクティブモンスターからも攻撃を受けることになる。

さらに、その間にアバターのHPが全損した場合、デスペナルティーのうち、HP以外のステータス半減|(1時間)と取得経験値半減|(1時間半)が適応されない代わりに、所持金の10%を消失ロストするのが30%に上がり、ストレージ内のアイテムが一つ消失することが加わるのだ。

また、イベントダンジョンなどでログアウトすると再ログインの時はフィールドに放り出され、また新しいダンジョンに入る必要がある。


二つ目が、来客などのリアルの事情で一時ログアウトする場合である。

この場合、アバターがその場に残り、中断前の状況から再開できる。

ただし、普通のログアウトと同じくモンスター誘因現象とデスペナルティーが存在し、ログアウト中は自然回復も停止している。

また、このログアウトも無制限ではなく、約3時間放置されると強制的にログアウトされてしまうのだ。

閑話休題


俺はハルが食事などを済ませている間、自分も満腹ゲージを焼き鳥で回復させる。

満腹ゲージはレベルやステータスと共にその減少率が変化するので、まだ低レベルのためか結構減少するペースが速い。

焼き鳥を食べ終わった俺は自分のステータスを確認してみる。


____________________________________

Name:ヒカリ

性別:男

Lv7

種族:人間族ヒューマン

HP:47/47

MP:47/47

STR:30(14)

VIT:32《12》

INT:37(15)

DEX:35(18)

AGI:33(10)《3》

LUK:28


《スキル》

【剣技Lv7】【鑑定Lv6】【識別Lv4】【狩人の眼Lv5】


《装備》

上半身:ただのシャツ 

手:指ぬきグローブ

下半身:ただのズボン

インナー:ただの下着

頭:なし

胴:革の胸当て

腕:なし

腰:なし

足:革のブーツ

アクセサリー:おまけポーチ

____________________________________

※( )内の数字はスキルによる、《 》内の数字は装備による加算分を表す。


自分より各上のモンスターを倒したこともあり、かなりの経験値を稼いだことでいつの間にかレベルは7になっていた。

しかもかなりの『スターターチキン』を倒したことで『始まりの鈴』だけでなくいろんなドロップアイテムもかなりの数になっていた。


_____________________________________

三角獣トリケロンの皮×5

三角獣トリケロンの角×3

・兎の毛皮×2

泥猪マッドボアの毛皮×4

泥猪マッドボアの牙×2

・白い羽×54

・兎の肉×2

・猪の肉×3

・鶏肉×49

・卵×21

・ニンジン×1

・カミレ草×10

・薬草×14

・泥×3

・石ころ×10

・始まりの鈴×32

_____________________________________


トリケロンは西側フィールドの草原エリアにいた古代の恐竜を思い出させるような姿をしたノンアクティブモンスターである。

白い羽はなぜか金色の『スターターチキン』からもドロップするのでとんでもない量になっている。

他に、ニンジンは兎型モンスターの『ラッキーラビット』から、泥は『マッドボア』から、石ころは『トリケロン』と『マッドボア』からドロップしたものだ。


俺はアイテムストレージの中をざっと眺める。

アイテムストレージは100種類99個ずつ入れることが可能なので、まだ整理したり、削除したりする必要はない。

そんな事をしながら時間をつぶすこと1時間、ハルが帰って来た。


「ヒカリ、お待たせ!、ログアウトしていいよ。」

「おう、ハル、リアルの次はこっちでも燃料補給だ。」


俺はそう言ってトレードに焼き鳥を両種類とも3本ずつのせてトレードを飛ばす。


「俺がログアウトすれば所有権が俺にあるアイテムは消失するから取っとけ。」

「うん、ありがとう。体の護衛は任せてね!」

「ああ、頼んだ。」


俺はハルが焼き鳥を受け取るのを確認するとメニューを操作してから一時切断を選択した。


目を開けると、部屋の中はすでに暗くなっていた。

流石に夏とはいえ午後9時半を過ぎているので当たり前だ。

俺が2階にある自室を出て1階のキッチンに向かうと、そこには地獄が待っていた。

ピンクの可愛いエプロンを来た女性が血の付いた包丁を持って立っていたのだ。


「っ!、」


俺は声にならない叫びをあげると、一目散にリビングに駆けだす。

そして、目当ての物を見つけると、それを持ってすぐにキッチン駆け戻り、女性と対峙した。


灯姉あかりねえ!、早く傷口を洗う!」

「ヒーちゃん、ごめんねー、」


俺は灯姉から包丁を取り上げるとそれを流し台に置き、すぐに灯姉の血が出ている指を取って傷口を洗い流した。

幸い傷は深くはなかったが、刃物傷だったので血が多めに出たようだ。

俺は傷口の消毒を済ませると絆創膏をはって応急処置を終えた。


「灯姉、包丁を使うときは俺か母さんがいるときにしてくれって言ったじゃないか。それに今日は母さんが早く帰って来れる日だから母さんが作るって言ってたのに。」

「うん、そうだったんだけど、さっき電話があって少し遅くなるからヒーちゃんに作ってもらえって言われたんだけど、ヒーちゃんゲームしてて邪魔しちゃ悪いなと思って。」

「いや、ゲームをずっとしてた俺も悪いんだけど、悪いけど灯姉やっぱり台所に立つの禁止で。ただし、

俺か母さんの許可及び監視のもとならいいよ。」


俺がそう告げると、灯姉はしょんぼりと肩を落とす。

灯姉には悪いがここは心を鬼にしないと、一番痛い思いをするのは灯姉になるんだから。


「はあ、灯姉、俺が夕ご飯作ってるから待ってて、それとお風呂はもう入った?」

「うん、ヒーちゃんが降りてくるかなって思って、先に入ったよ。」

「そうか、ならよかった。じゃあ、簡単に作るからテーブルの準備よろしく。」

「うん、そう言えばヒーちゃん、私この後VRゲームやるから軽めのものお願いできる?」

「ああ、分かった、俺もすぐに戻らないといけないしな。っと、もしかして灯姉も《LAWO》?」

「うん、そうだよ。ヒーちゃんをゲームの中で驚かそうと思って黙ってたんだけどばれちゃったね。」

「そうだったのか、でも、今回は一緒に買いに行かなかったから違うゲームにはまってるのかと思ってたよ。」

「ああ、それはね、大学のサークルの人と一緒に懸賞に出して当たったの。まあ、何人かは当たらなかったから並んで買いに行った人もいたけどね。」


俺は話しながら手早く夕食を作り上げる。

メニューは肉うどんだ。

灯姉が切っていたとしていた玉ねぎをそのまま使って作ったのだ。


「ふ~、よし、いただきます。」

「いただきます。」


二人で手を合わせ、そして食べる。


「てか、懸賞なんてあったの?」

「うん、なんか大学の近くにある電気屋さんが《LAWO》のソフトを販売するときに発売日より前から行列を作られて他の販売ブースのお客さんに迷惑かけないように懸賞形式にしたんだって。」

「そっか、まあテツのところはおじさんが並ばせるの好きなうえに並ぶ開始時間をきっちりしてるからな、っと、ごちそうさまでした。灯姉、洗い物は置いといて、お風呂あがってからまとめて洗うから。」

「うん、分かった。そう言えばヒーちゃん、ゲームの中でどこにいるの?」

「ん?今はイベントダンジョンの中、多分今日の遅くまで攻略にかかると思う。」

「そっか、じゃあ、今日一緒に遊ぶのは無理だね。」

「うん、ごめんね。」

「んーん。」


灯姉は少し寂しそうに首を振ると、また、うどんをすすりだした。

俺がお風呂を上がると台所にはすでに灯姉の姿は無かった。

俺はさっさと皿洗いを済ませると、部屋に飛んで戻って再ログインをした。


「お待たせ!」

「うん、じゃあ、すぐ進もっか。」

「ああ、」


俺がログインをすると、ハルはすぐに立ち上がった。

俺もそれに従い、登り階段に向かうのだった。



《始まりのダンジョン》2Fも1Fとほとんど造りの変わらないダンジョンだったが、全体的に敵モブのレベルが少し上がっていた。

しかし、1Fとは違い、階段の間には二体の中ボスが待っていた。

俺は、広間の入り口から隠れて中のボスを鑑定する。

________________________

『アグレッシブスターターチキン・ミドルA、B』

Lv6


少し大きめの攻撃的なスターターチキン。


弱点属性:火、風、闇

耐性属性:土、光


________________________


レベルは低めではあるが、二体いることは厄介であることには変わりない。


「ハル、今のレベルで一体にどのくらいなら戦える?」

「うーん、最高でも15分、ドジふんだら10分くらいかな?」

「それくらいならまあ、いけるかな、取り巻きもいないし、俺は右側の奴を先にやるから何とか耐えてくれ。」

「うん、分かった。」


俺はハルが頷くのを確認すると、刀を抜きながら中ボスに向かって走り出した。


「リープスラッシュ!」


俺は叫びながら刀を右わきから体の後ろに隠すように構える。


「コケー!?」


敵は走りこんで来る俺に警戒し、体勢を構えるがもう遅い。

俺は敵の5メートルくらい前から踏切、空中に身を躍らせる。

そして、スターターチキンに到達する直前に最高地点に到達し、そのまま体が重力に従って落ちるのに合わせながら刀を振りぬく。

これは【剣技】スキルLv8で習得する中距離からの急接近攻撃アーツである。


「コケェー!」


大ダメージをくらったようではあるが、そこは流石中ボス級モンスター。

まだ倒れえることはなかった。


「うらー!」


俺は、振り向きざまに再びスターターチキンの腹に刀を叩き込む。


ドッガーン


どうやら、ハルの方も戦闘を始めたらしい、広間の別の場所で爆発音が聞こえる。


「さっさと、終わらせないとな。」


俺はスターターチキンの攻撃をかすりながらもどんどんダメージを与えていく。


「グハッ!」


っと、スターターチキンのけりをもろにくらってしまい、俺は少し飛ばされてしまった。

このゲームでは痛みを感じることは無いが、衝撃波残っており反射的に痛いと感じてしまう。

HPはまだ6割方残っている、しかし、時間は無い。

俺の視界にこちらに飛び蹴りをかまそうとしているスターターチキンの影が映った。


「やるか、チャージスラッシュ!」


俺はすぐに体制を立て直すと、刀の刀身を肩に担ぎ力を溜めながらスターターチキンの到着を待った。


「コケーーーー!」


そんな威勢のいい鳴き声と共にスターターチキンが飛び蹴りを放って来た。


「うら!」


俺はスターターチキンのけりをかわしながら、刀を振りぬいた。


「コケェー!」


俺の振りぬいた刀がちょうどスターターチキンの心臓部を通った。

俺は相手にしていたスターターチキンが倒れるのを確認するや否や、ハルの方に全速力で駆けはじめた。


「リープスラッシュ!」


再び刀身にライトエフェクトが走る。

俺はまた、残り5メートルくらいで跳躍した。


「おら!」


刀はちょうど後ろを向いていたスターターチキンの背中にクリーンヒットした。


「コケェー!?」


そんな物が無しげな叫びと共にスターターチキンは倒れた。

どうやらハルが結構ダメージを与えていたようだ。


「お疲れー」

「ああ、お疲れ。って、ハル、HP1割切ってるじゃん。」

「うん、予想以上に攻撃裁くのが難しかった。」


ハルは何気ないようにいう。

俺の視界の右上の方にある俺の体力ゲージなどの下に、パーティーメンバーであるハルの体力ゲージが表示されているのだが、それは危険を表すレッドゾーンし突入していた。


「とりあえず、回復を待って上に行くか。多分マップを見た感じだと上るとすぐにボス部屋に着くと思うぞ。」

「うん、っと、ヒカリ、あそこ宝箱が出てる。」

ハルが指さす方を見ると、階段の前に一つの宝箱が出現していた。

「おお、ダンジョンといったら宝箱トレジャーボックスだよな。てか、なんで今までなかったかが疑問だよな。」

「うん、確かに、まあ、でもイベントアイテムの荒稼ぎ場所っていうのがこのダンジョンのコンセプトだと思うから、この宝箱もボス戦のための回復系アイテムの補充って役割だと思うな。」

「確かにな。じゃあ、開けてみるか。」


俺たちは宝箱に近づくと俺の【鑑定】と【識別】を使ってトラップが無いことを確認して宝箱を開けた。


「ほらね、」


ハルの言った通り、宝箱の中には回復薬とMP回復薬が十個ずつ入っていた。

回復薬は俺たちが今使っている初心者回復薬ではなく、それの効果も値段も二倍する回復薬だった。


「まあ、次のボス戦の時に取っとくか、時間が無いわけでは無いし。」

「うん、そうしとこう。私の回復に時間が掛かるかもしれないけど、ボス前の休憩という事で。」

「ああ、とりあえずポーチの中身を入れ替えたりしとこう。」


それから数十分間、二人で自然回復を待ちながら他愛もないことを話すのだった。



「よし、私も準備できたよ。」

「そうか、じゃあ、出発するか。」


俺たちは立ち上がるとポーチの中身や装備を点検して出発する。

階段を登り切ると、その先には大きな両開きの扉があった。


「一気に行くけどいいか?」

「うん、どうせ二人用のダンジョンなんだからボス一体だけだと思うけど、一応、取り巻きがいたら私が受け持つから。」

「ああ、そん時は任せた。」

「うん、任された。」

「じゃあ、行くぞ。」


ハルに確認を取ると一気に扉を開けた。


「「わぁ!!」」


俺たちからそんな驚嘆の声が漏れる。

なんと中には大きさ十メートルになるような大きな『スターターチキン』が鎮座していた。


「コケーーーーーーー!」


大きな『スターターチキン』は小さな侵入者を見つけると、その巨体に似合わない声をあげた。

俺は素早くボスを鑑定する。


________________________

『アグレッシブスターターチキン・ラージ』Lv20


巨大な攻撃的な『スターターチキン』。


弱点属性:火、風、闇

耐性属性:土、光


________________________


なんとレベルは10以上も離れていた。


「ハル、あいつはやばい。死に戻り覚悟で行くぞ。」

「うん、分かった。」

「弱点属性は変わらないから、ハルは近寄らずに魔法で攻めてくれ。」

「了解。」


俺はハルと簡単に打ち合わせると、その場を駆けだした。


「スラッシュ!」


俺はまず、ボスのタゲ取りのために『スターターチキン・大』の顔面にスラッシュを叩き込む。


「コケー」


『スターターチキン・大』は声をあげるもののそこまでダメージをくらった様子はない。

俺はボスの攻撃を避けながら、隙を見つけては『スラッシュ』を単発で打ち込んでいく。

ハルも『ファイヤーボール』や『エアカッター』、『ファイヤーアロー』などを叩き込んでいるが一向に動きが悪くなる様子はない。

俺はボスの体力ゲージが見えないことにやきもきしながらも攻撃しつづけた。


ピロリン♪


不意に俺の耳にスキル関係の情報を告げるアラームが鳴った。

今、新しいスキル取得する可能性は低いので、おそらく新しいアーツだろう。

俺はこの絶望的な状況をそのアーツに託してみることにした。


「ハル!30秒でいい。時間を稼いでくれないか?」

「了解!、大技で行くからちょっと待って!」

「了解!」


俺はハルの準備が整うまでボスの攻撃をさばき続けた。


「ヒカリ!スイッチ!『ファイヤーストーム』!」


俺がハルの言葉に後ろに飛び退くと、目の前のボスが炎の渦に包まれた。

俺はすぐにメニューからスキルを開き、新しいアーツを確認する。

そこにある文字を確認するや否や、俺は回復薬とMP回復薬を一気飲みする。

そして、まだ炎の渦に包まれている『スターターチキン・大』に向かって走りこんだ。

すると、俺の接近に合わせたように炎の渦が消える。


「コケェェェェ!!」


『スターターチキン・大』は怒った声上げるが俺は無視して切りかかった。


「ラッシュ!」


俺のボイスコマンドに合わせて刀を紅いライトエフェクトが包み込んだ。

俺は『スターターチキン・大』の反応も気にせず斬りつけまくる。

『スターターチキン・大』の攻撃も当たるが、スキルの効果で吹っ飛ばされることもなくノックバックもない。

俺はかなりのスピードで減っていくMPとHPゲージを横目にただ『スターターチキン・大』を斬りまくった。


「頼む!間に合えーーーーーーーーーーーー!!」


俺の最後の一突きは運よく『スターターチキン・大』の心臓部に突き刺さる。

そして、俺が刀を突きささると同時に刀からライトエフェクトが消えた。


「コケェェェーーーーーーーーー!!」


そして、そんな叫びと共に『スターターチキン・大』もまた地に倒れた。


パッパラパーン♪


________________________

     《YOU WIN》

 おめでとうございます。

《始まりのダンジョン》が攻略されました。

初の攻略プレーヤーになりました。

特別報酬が授与されます。


メニューから帰還が選択可能になりました。

________________________


そんな効果音と共に目の前にダンジョン攻略を知らせるウイングが現れる。

俺はそのウインドウを消すと、視界の右上にある自分のステータスを確認する。

MPは完全にゼロ、HPに関しては1である。

そう、これが【剣技】スキルLv10で習得する連撃アーツ、『ラッシュ』だ。

このスキルは攻撃力1.5倍、一時無敵の状態になり、その間MP、HPの順に減少していき、HPが1になるまでその効果が続くというかなり荒業なアーツである。

正直、このアーツが無ければこのダンジョンの攻略は難しかっただろう。


「お疲れ、ってか、最後の攻撃はすごかったね。」

「ああ、アニメ的展開で戦闘中に取得したアーツなんだ。」

「あはは、逆境からの大逆転って感じだったね。まあ、とりあえずHPとか回復してから帰ろっか。」

「ああ、でもその前に宝箱を開けようぜ。」

「そうだった。ふふふ、楽しみだね~、初ダンジョンに初ダンジョン報酬だよ。」


俺たちは回復薬類を服用しながら、部屋の中心に現れた宝箱に近づいた。


「じゃあ、開けるぞ。」

「うん」


俺は一気に宝箱のふたを開けた。

すると、中にはイヤリングと指輪が入っていた。


________________________

《始まりのイヤリング》

分類:アクセサリー

グレード:レア

品質:B

金色の羽を模した飾りのついたイヤリング

MP+10

INT+10

________________________

________________________

《始まりのリング》

分類:アクセサリー

グレード:レア

品質:B

金色の羽の形を模した指輪

HP+10

VIT+10

________________________


配分は言わずもがな、俺が指輪を取り、ハルがイヤリングを取った。


「結構いい報酬だったね。」

「ああ、っと、とりあえず元のフィールドに帰るまでにステータス確認とかして準備を整えとこう。」

「うん、了解。」


俺は自分のステータスを確認する。


_____________________________________

Name:ヒカリ

性別:男  

Lv9

種族;人間族ヒューマン

HP:50/79  《10》〈5〉

MP:66/69      〈5〉

STR:49(16)    〈5〉

VIT:50    《22》〈5〉

INT:49(18)    〈5〉

DEX:41(23)    〈5〉

AGI:49(14)《3》 〈5〉

LUK:40        〈5〉


《スキル》

【剣技Lv10】【鑑定Lv7】【識別Lv4】【狩人の眼Lv7】


《称号》

『初のダンジョン攻略者』:全ステータス+5


《装備》

上半身:ただのシャツ 

手:指ぬきグローブ

下半身:ただのズボン

インナー:ただの下着

頭:なし

胴:革の胸当て

腕:なし

腰:なし

足:革のブーツ

アクセサリー:おまけポーチ

       始まりのリング


《所持金》

15350ギル

_____________________________________

※( )内の数字はスキルによる、《 》内の数字は装備による、

 〈 〉内の数字は称号による加算分を表す。


やはり各上の相手を倒していたのでレベルが2も上がっていた。

俺は、1レベ上がるごとに5ずつもらえるステータスポイントをVITに3、DEXに2、AGIに5振り分けた。

今までの俺のステータスの上がり方を見るに、HPとMPは毎回レベルの数だけ増加しており、おそらくそれぞれVITとINTが20をこした時にさらに5増えている。

また、レベルが1上がるごとにSTR+1、INT+2、AGI+1されているようだ。

今後はこの結果と持っているスキルを見ながらステータスを割り振って行かないといけない。

俺はステータスの確認と振り分けを終えると、次はアイテムを確認した。

ボスからのドロップ品は2つあった。

一つ目が、15000ギルである。

二つ目が、イベントアイテム『始まりの大鈴』である。

_________________________

《始まりの大鈴》


イベント用アイテム、

使用することでイベントアイテム『始まりの鈴』×50に変わる。


使用しますか?

        YES/NO

_________________________


俺は迷いなくYESのボタンを押した。

そして、アイテムストレージを確認する。

変化があったものだけを取り上げる。

_________________________

・白い羽×99

・白い羽×12

・鶏肉×93

・卵×57

・始まりの鈴×99

・始まりの鈴×5

_________________________

となっていた。

俺がアイテムストレージを眺めている、ハルが近づいてくる。


「ヒカリ、私は終わったよ。」

「おう、俺も終わったところだ。」

「そっか、じゃあ、出ようか。」

「ああ、っと、もう1時じゃん。さっさと出て宿屋行くか。」

「うん、私もう疲れたよ。」


俺たちはメニューを操作して、ダンジョンから帰還する。


次に視界に入ったのはダンジョンに入る前の中央都市の西門に近い草原エリアだった。


「はあ、やっと帰って来たね~」

「ああ、さっさとログアウトして寝るか。」

「賛成。」


俺たちは草原エリアにいるのがノンアクティブモンスターなのをいいことに、その場にいるモンスターを全無視して速攻で街の中に入る。

そして、マップを見ながら中央都市南西区にある大型の宿屋に直行した。


「あの、部屋を借りたいんですが。」

「おう、高級クラスの部屋が1500G、普通が800G、足りないなら500Gで馬小屋を貸してやる。」

「いえ、普通二部屋で。」

「おう、タッチしな・・・、オッケーだ、ほら、これがカギだ。階段を上った先の扉で使えば自分の部屋に行けるぞ。」

「ありがとうございます。」


俺は鍵を受け取るとお礼もそこそこ、そそくさと二階へ上がる。


「じゃあ、お休み、ハル。」

「うん、お休み、ヒカリ。」


俺たちは挨拶をかわすとそれぞれ別ね部屋に入り内から鍵を閉めると、すぐにログアウトして眠りにつくのだった。











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