ツシジノ50ドーコ ←
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私は目を覚ました。
どうやらパソコンの前で突っ伏して寝てしまったらしい。
ああ、イベントの最終日だったのに……もったいない。
私はカチカチとマウスを操作して自分のアバターを動かした。
とりあえず今回のイベント報酬を受け取り、満足してからログアウトする。
机から離れて、そのまま床に寝転がった。
「眠い……眠い……」
右に左にごろごろと転がる。
それぐらいしても余裕がある広さ。
ここは私が隠れて暮らす為の部屋である。
おっと、こんな事はしていられない。
私は服を脱ぎ捨てて大きな鏡の前に立った。
右半身だけ、真っ黒く淀んだ肌をしている。
右腕には3か所のクレーターがあり、見るのも痛々しい。
私は頭を左腕で掻いた。
もちろん、今は肌が黒いものの形としては人間の体そのものだ。
見慣れれば平気なのだが、流石にこの姿のまま外を出歩くわけにはいかない。
隠れて暮らす理由のひとつは人の目に触れない為である。
「コーヒー……飲むかな……」
もうひとつは、私の死神になる前の( )という存在を殺した事が原因である。
流石にこの姿で「あなたの娘です」なんて言ったら、元家族は全員卒倒するだろう。
そんな面倒くさい事をするぐらいだったら、いっそのこと死んだ方がマシだ。
という事で死んだ事にした。
その日からこの部屋は私の実家である。
テレビにゲーム機にパソコンだけがたくさんある部屋。
私の至福である。
「あ……コーヒー……切れてる……」
じゃあいいや。
別のものでも飲むし、なんなら水が飲みたい気分だ。
私はコップを取り出した。
そして透明な液体をコップに注ぐ。
私の姿が反射して、見せつけられる。
ああ、醜いな。
私はそれを殺すように水を飲み干した。