アメリカ製のアイスクリーム拳銃
習作ですので短いです。アメリカンな雰囲気を感じ取ってくれれば幸いです。
ノースカロライナのダウンタウンは闇夜とともに暴力を呼び込む。血みどろの娼婦が棺桶の上にまたがってゾンビとファックして出来た子供の俺が言うんだから間違いない。挨拶代わりの銃声が町中に響き渡り、樽一杯のワインに浸かって体を清める幼なじみのギルバート・体毛ごわごわ・スミスはデカいあくびをしてからこう言った。
「糞ったれは生れ落ちた時から糞ったれだよ、判るだろ?グレアム」
黙れ全身陰毛野郎。俺の堕落はテメーほどじゃねえんだよと反論してやりたい所だが俺もギルもたいして変わらんボンボクラだ。俺とギルの住むアパートの窓からはピカピカに磨いたコインのような満月が見えて、余計にしみったれな気分になってくる。
ギルがワイン風呂から上がって巨大なショットガンをぶら下げたままソファへと向かう。「おいテメェ体くらい拭けよ」と俺が忠告してのろのろギルが起き上がったと同時に、ドアをノックする音が響いた。
「借金の取り立てか?それとも娼婦の来訪か?」
ギルが下品に笑いながら言う。糞毛玉の冗句は無視して俺はドアの覗き穴から外を窺う。目に入ったのは縮れたブロンドの髪を伸ばした美しい女だった。ブロンド女には巨乳かアバズレか巨乳でアバズレの三つしかいないことは世界の常識だがこいつはどのパターンだ?
「何か用か?」
「今、どこか隠れられる場所を探していて……どうか、中に入れていただけませんか?」
「駄目だね。かくれんぼなら公園でやりな」
「私、命を狙われているのです!本当に時間が無い状況なんです、助けてください!」
扉をひどく殴りつけながら金切り声をとばしてくる。巨乳かどうかのチェックはまだだがどうやらアバズレは確定したようだ。この街じゃ殺人なんて大した問題じゃない。誰が誰に殺されようが知ったことではない。無用に騒ぎ立てる意味も理由も必要も無いので、この女の行動は無視してしかるべきだな。
「せいぜい鬼に捕まらねーようにしろよ」
些細な応援を添えて俺は扉を離れる。
ギルと目を合わせずにベッドへ寝転がると、また闇夜の中で銃声が吠えた。
彼女はきっと生き残れないだろう。
しかし、条件は俺もギルも一緒だ。この街に抱えられる人間全て、溶けかけのアイスクリームみたいな危うさで死へと近づいていくのだ。
神様すらその速度を止められないし変えられない。
暗闇は俺らを静かに見放すのだ。