死んでくれなど言ってない
冗談は通じんぞワシには。。
「君のためなら死ねる」
恐ろしい言葉である。だって急に目の前で「お前のせいで死ぬんです」ともとれる発言をされるのである。言われた女性はぜひ戦々恐々と生活を営んでもらいたいものです。
「僕は君のためなら死ねるよ?君は?君は僕のために死ねる?」
もはやホラーである。ヤンデレというのかこういうのを。彼女には振り返らずに逃げることをオススメする。
別に命を捧げる事を愛の形として提示しなくても良いではないか。「浮気したらチンコ噛みちぎり」ぐらいでもいいじゃないか。いや俺はそれも充分嫌だが。
もし彼女が死んだらどうするつもりなのだろう。「ずっといっしょにいたい」と火葬場で駄駄をこねたりするのだろうか。はたまた彼女が死んで自らの約束から解放されるのか。なにも言わずに崖の下のポニョになるのか。
はたまた彼女に殺されたらどうなるのか。「本望だ」と全身を血に濡らしらがら喜び、笑うのであろうか。このドM野郎が。
小学生の時に、約束をして、「針千本のーます」と言われたときの絶望。
喧嘩したときの「じゃあお前命懸けんのかぁ?!」といわれたときの「懸けねぇよ」の冷淡。
軽い。あまりに軽すぎる。教育委員会ではないけれど、あまりに命が軽すぎる。針千本に至っては虐殺である。ああ怖い。
ある男は「僕は死にまっしぇぇん!」と言いながらトラックの前で仁王立ちという不死身さを披露した。「俺はここまでしたんだ。付き合ってくれるよな?」という半恐喝の臭いがする話である。ある日彼女が家から出ると男の死体とかが転がってそうでただただ南無妙法蓮華経と唱えるだけである。
なぜ、なぜだ。なぜ愛や約束の為に死ねるのだ。やすやす命を差し出せるのだ。さながら僕は魔王の心境である。
ーと、いうわけでだ。私を愛してくれる人を募集する。愛のために、僕のために死ねとまでは言わないから。
頼む。頼むよ。
なにとぞよろしくお願いします。