表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/1

タイトル未定2025/06/25 11:35

かつてこの世界には、あらゆる食があった。


肉、魚、野菜、米――

しかし、ある日、世界に**「最も美味なるパン」**が誕生した。


それは味覚を超え、脳を焼き、精神を発酵させるレベルのうまさだった。

それを食べた者は皆こう言った。


「もう……パンしか、食べたくない」


だが、それは呪いだった。


パンを食べた者は、やがて**“パンパイア”**と呼ばれる存在へと変貌した。

彼らは米を見ても吐き、肉をかじれば口が崩れ、最終的には――他者のパンエネルギー(=炭水魂)を吸うしか生きられなくなる。


そして今も世界は、パンパイアで満ちている。



【廃都グルテンベルク】


空には焦げたパン雲。

地にはトーストの灰。

誰もが口を閉ざし、麦の香りに怯えて生きていた。


そんな街角で、少女はパンを盗んだ。


「やめろぉぉぉぉ!!!」


周囲の住人が絶叫する。パンは、禁忌の食べ物だ。

だが少女は、空腹だった。ただ、それだけだった。


ごくり。


口に入れた瞬間、世界が弾けた。



脳内に響く、無数のイースト菌の囁き。

視界が焼け、世界が小麦色に染まる。


「――あ、あはっ……あはははははははッ!!!」


少女の名前は、穂乃花イースト。

パンを食べてしまった彼女は、新たなパンパイアとして覚醒してしまった。


腕に浮かび上がる、発酵の印。

胃袋から聞こえる、“パン以外拒否”のアラーム。


「やだ……もう白米が怖い……!

ミソスープって何!? カレーって何!?

パン以外、考えたくないっ!!」


彼女は逃げる。パンを追う。

いや、もはやパンを“信仰”する以外に、生きる道がなくなってしまった。



【地下・カビ教団】


逃げ込んだ先には、パンの匂いが満ちていた。

そこにいたのは、かつてトースト神殿の神父だった男――


「ようこそ、我らが教団へ。

我々は全員、かつての食卓を捨てた者たち。

パンパイア専用の“発酵シェルター”へようこそ」


「えっ、ここ……給食ないの?」


「あるさ。三食パンだ。

朝はバターパン。昼は蒸しパン。夜は……魂で焼いたパンだ」


「最高かよ」


パンパイアとなったイーストは、その日から人間をやめた。


だが――彼女の奥底では、まだ何かが燻っていた。


「……この呪い、ぶっ壊す」



【最後のセリフ】


「この世界、パンに喰われた。

だったら私は、パンを喰い返してやるわ。

血も涙も小麦もなにもかも焼き尽くして――

パンの神に、ぶん殴りの一発を入れてやるッ!!」



《To Be Continued…》



次回予告


第2話「バゲット刑務所、脱出不能のラスク壁」

パンしか食えぬ者たちが、パンで作られた牢獄から脱出を試みる!


お読みいただきありがとうございました!

当方は1話完結で楽しめるライトな小説を目指して作成しています。よろしければ評価よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ