セレナ:忙しくない?
体調最悪で遅れました。すみません。
最近忙しくなってきている。北方、ソックセンとの争いも激化しているし帝国は絡んでくるしそもそもニターナとの関係が落ち着かない。南方は魔王国と接するまでにも魔物の群があり、困難を極めている。ダンジョンもあるし、カエデ女王国は敵だらけよ!
はっきりと敵対してるのはソックセンだけど、うーん、いくつも領域を落としてるのよ、それなのに簡単に始末は着いてないわ。三領地落としたのだから簡単なわけがない。そもそもルーフィアを嫁に? 死にたいのか?
で、ルーフィア=カエデ女王本人に言ったら泣かれた。ごめんね、ルー。可愛いと思ってしまった。私の、私たちの愛しい人。
もう、こんな可愛いカエデ女王泣かせてるんじゃないわ! モアリースト、ハスター、四天王、働け!
『ごめんなさい』
素直ね。まあ使ってやるわ。ルーのために。
((さすが破壊神の末裔!!))
なんか変なメッセージ聞こえた。さっさと働け。
とにかく忙しい。パン屋も手伝ってるし戦争も関与してるのよ。
北方は本当にややこしい。ニターナ、ソックセン、クレモット帝国と、三軍が絡まりあっている。順番に倒していくしかないのが実情。
うちも実はゴブ吉たちが攻めてるからね。大混戦になってる。まあうちは主戦じゃないからボチボチだけどね。ニターナ女王国が弱いわけじゃないんだよね。むしろ強いから。
ゴブ吉たちは相手の要点を攻めるだけにとどまらせてるけど強いんだよね、ゴブ吉たち。どうとでも敵陣を破壊せしめてる。
でもこの戦いはニターナ王家の主戦だからうちの軍隊はあんまり使えない。さっさと片付ける話でもないんだよね。どうしたってニターナ王家を立てる戦いになる。すでに敵対してないからね。
言葉が悪いけどニターナも口減らしのために戦争してる部分がある。そもそも戦働きで出世したいと多くの人が思ってる。それは現実だ。
前世の日本人の知識を持ってる私にしてみればあり得ないほどの残酷な景色。でも、これが現実よ。ルーがいなかったら自殺してる。
今回もゴブ吉たちに一当てしてもらうわ。ごめんね、ゴブ吉。
『大丈夫です!』
「ゴブ吉がしゃべった?!」
『クイーンになれましたので、念話ですが!』
「進化したのね。それは良かったわ。……苦しい思いをさせて、命をかけさせて、ごめんなさい」
『我らはこの国を守りたいのです。セレナ様はその思いを否定されますか?』
まさか、そんなことはない。でも、この子達の命を、私も散らせたくないのだ。私が命じることなどひとつだ。
「全軍に命じる。命を、大事に!」
『ラジャー!!』
………………(ゴブ吉視点)
我らはゴブリン、欲のままに生きるケダモノ。だけれど理性有るゴブリンはシャーマンとなることもある。オババは素敵な天才だ。
我らはゴブリン、欲のままに生きるケダモノ。なのにある日ワレはとてもかぐわしい食べ物を手に取った。
毎日毎日とそれは置かれていた。必然それが意図して置かれていたと気づいた。
ワレは思ったのだ。これを置いたものはとても優しいのだなと。ケダモノのワレさえそう思ったのだ。相当に優しい方なのだろう。
その方にパンを直接もらった。テイムというのは初めてだが、こんなに心が休まるものなのだな。
その方、ルーフィア様にはゴブ吉と名前を頂いた。なぜか男性名らしいが、初めてもらった名前だ。とても嬉しかった。
ある日ルーフィア様が戦場で倒した敵の将の前で泣いた。大好きなオスの命を、戦ゆえ奪ったらしい。
我らはゴブリン、欲のままに生きるケダモノ。だけれど、愛しいという気持ちは持っている。その気持ちを無視して大切な家族を守る、それがどんな大きな功績か、ワレにだって分かるわ!
そして我らはルーフィア様のために戦うと決めたのだ。
この世界でもっともおぞましい『飢え』から我らを救ってくれた愛おしき主のために!
戦え、戦え、主のために!
人間と混戦となるのでなるべく側面から攻撃するしかできなかったのだが人間の方たちも我らと協力してくださるようになった。すごく頼もしい。ケダモノに過ぎない我らが人のように扱われる。涙が溢れた。
そんな戦いを繰り返すのが日常でも、ワレは文句などないのだが、ルーフィア様は我らに人間の王族のような暮らしをさせてくださる。冗談ではない。毎夜羽毛の布団にくるまって眠れるのだ。どれだけ優遇されているのやら、さすがにワレでも分かるわ。
もし未熟なゴブの一匹が奥様方に襲いかかったなら我らが殲滅してやるだろう。それくらい我らはルーフィア様の加護を得ている。戦いとなれば我らの命、一つ二つなど安いもの!
ゴブリンは命が安い。もし元の村でいたなら簡単に飢え死にしただろうな。それが想像できる程度には、ワレは進化したのだろう。まだまだ未熟を感じるが。それも才能とセレナ様はおっしゃった。
セレナ様の命を受け我らは敵地を攻める。
最大の命は「命を大事に」であるが。
我らの安い命もルーフィア様は大事にしてくださるのだ。愛しいと思っても当然である。
………………(セレナ視点)
地獄のような戦争を繰り返し、私たちはいまだに生きている。どうして私は生きてるんだろう。正直に言ってルーフィアがいなかったら自殺してる。何度も思ってる。不思議なことにゴブリンたちやゴリラたちですら、ルーフィアがいるから生きているらしい。
さあ、ここを防いだらまたパン屋さんのお手伝いをしなきゃね!
地獄のような労働だとあの子は言うけども、わりと周りの従業員は楽に仕事してる。週に三日も休めるんだからね。楽しくて儲けもいい。やめたくならないわね。
とても楽な仕事なのよ。だから私は忍者隊を作ってフリーターを全員情報収集要員に作り替えていたりするんだけどね。さすがに二時までしか働けないシフトはあんまり彼女たちも物足りなかったのよ。
いやねえ、私だって分かるよ? ブラック労働だってね?
でもお給料しっかり払ってるからねえ。なんか社畜根性と言うのか、もっと働きたいとかいう人が出てきた。これ逆に困るよね。
働いてくれるのは有りがたいんだけど労働はそんなにないんだよね、これが。
最終的には戦争に放り込むことになるんだけど、私たちの女王陛下はそれは望んでいない。別に戦争なんて彼女は望んでないし。
それでも戦うんだよ、あの子は。私たちの絶望の先に立って。だから、私だって退くわけにはいかないわ。
女王陛下、破壊神の末裔が貴女の先陣を切るわ。
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久しぶりにセレナがごろりんこ!




