根切りにされたいの？
また寝てました。すみません。いつも有り難うございます。
なんかソックセン領主から、ボクが嫁に来ないとカエデ女王国を根絶やしにする、みたいな頭の悪い手紙が来たんだ。根切りにされたいの？
行くはずないだろが。さすがに頭が悪いな。
これに一番キレたのがハスター王子様だ。まあ日頃からボクを奥さんにしたいと言って憚らない彼からしたらこんな要求飲めるわけ無いもんね。根切りにしたいってボクが言ったら、僕がする、って言ってくれたんだ。もう好きになっても良いかもね。ハスター王子は不義理をするようなひとじゃないからなあ。
ちなみに今年度ハスター王子が手に入れた神授スキルは「情報操作」だ。これがとんでもないスキルで遠くの情報を得るばかりか物質の情報を操作して形を変えられる。つまり、知っている限りなんでも、物理量さえあれば作れると言う超チート。まあランクを上げないとダメなんだけど。
このスキルはレベルを上げれば本当に無敵なスキルだ。例えば相手の攻撃を無効にしたり、跳ね返してそのまま相手に当てたりが当たり前にできてしまう。ランクを上げたらね。この世界の全てのものは情報でできてる。ようするにスリーＳなら神のスキルになる。ボクとおんなじだ。
まあそのハスター王子がキレてくれたんだ。ボクのために。ボクの目が彼を暖かく見てしまうのも仕方ないことだよね。ボクも恋して良いのかな？ は、まさかね。また好きな人を殺すんだ、きっと、ボクは。
だからね、ハスター王子が怒ることないんだよ。
ボクが行くから。ソックセン、根切りにしてやろう。
戦争が再び始まった。百年戦争なんて言葉もあるしこの戦争もそう易々とは収まらない。ボクらの武力なら容易に潰せそうなのにいまだに終わっていないのが戦争の難しさを証明しているよね。今回だって秋までに納めなければ戦争は来年に持ち越しになるだろう。ボクらだけが戦えばいいという話でもない。
戦い勝ったなら相手の領地を治める人を出さないとダメだし、当然一人二人で領地は治まらない。先日潰したアーミングとダブロドはハゲーン公爵が人を出して治めてくれてるらしい。あの人面識無いけどものすごい好意的なんだよね。ボクのパン食べちゃったんだなあ。
そんな効果ないけどね？ なんで洗脳効果あることにされてるのかわからん。ないから。ないよねオレンジお姉さん。
『ないよ。ないよね？ あれ？ そんな効果つけてないはず』
オレンジお姉さんすら戸惑ってるよ！？
このスキルがヤバイのは間違いないね。ボクの出すパンは美味しいもの。
「るーが出すものはなんでも美味しいのよ」
「いやらしく言わないでセレナ！ アイリスが移ったの？！」
「私を病気みたいに言うんじゃないわルーフィア！ ルーフィアが美味しいのは当たり前じゃない！！」
「完全に頭がおかしい聖女がきたあ！！」
「ひどっ！？」
まあね、今回もこの三人に、今回はリンゴを加えて進軍してます。四人で進軍て。まあ無敵なんだよなあ。個人戦力って本当に戦争を決めてしまうレベルなんだ。ちなみにクラリスさんはテレポートで送り迎えしてもらうので前線には出てないよ。魔力使いすぎて帰れないとか困るし。ハスター王子も控えてもらってる。さすがに行政滞るからね。
何度目になるか、ソックセンの城砦が見えてきたよ。ソックセンも伯爵領だから砦がいくつもあるんだよねえ。めんどくさい。それで敵方は新型精霊兵だよ。デーモンと精霊の良いとこ取りをした兵隊らしい。うーん。
「おっらあ！」
「げはあ！？」
遠距離からメイス一振で粉微塵なんだけど、これ本当に強化したの？
今回は本当に根切りまで行くかもね。一族郎党皆殺しだよ？ スッゲー凶悪なこと言ってるな、ボク。
「まあ敵対し続けてるんだから根絶やしにされても当たり前じゃないの？ 下げる頭を持っていたら良いけど、アーミングやダブロドみたいに下げる前に切り落とされるかもね？」
「アイリスって賢いのに凶悪でバカっぽいのなんなの。本当に意味わかんない」
「変なことは言ってないけどね」
ボクそろそろ眠くなってきた。
「かあさまに迎えに来てもらうか？」
「もう一当てはしようかな？」
根切りにすると言って出てきたのに砦一個も落とさないで帰るのはね。それにしても戦争って大変だよ。アーミングやダブロドは自分から負けに来たけど、ソックセンはしぶとい。勝てなくはないんだけどなあ。やっぱり裏にブレアたちがいるのが地味にプレッシャーになってるんだろうか。精霊人も大して強くないとは言え、一般兵とは比べ物にならない。それがうじゃうじゃと出てくるんだ。確かに簡単な相手じゃないよ。シンクロもしてるっぽいしね。
ゴブたちに前線を抑えさせて、ボクらはクラリスさんに送ってもらう。……せっかくだからコヨリ姫タクシーも試したかったかも。
そして二日攻めたけどソックセンは落とせなかったので、パン屋をする。
「はーい、ハンバーガー二十個ですねぇ、毎度有り難う御座いま～す！」
セトラさんの元気な声が響く。休み明けはみんな元気なんだよね。五日もするとゾンビになるけど。
それにしてもソックセンしぶといな。精霊兵たちもレベルが上がってきてる気がするし。四天王ぶっ込もうかな？
暇してるから攻めさせるかな？ リナレアちゃんはお水要員だから出せないけど。ビビちゃんもゴーレムが建設関係で労働力になってるし。地味にコヨリ姫も接客してたりする。ウィリーさんはいないと問屋に商品を送れないから困る。運送要員。問屋の商品さすがに毎時間百万近くはけるのおかしくない？ 商人が増えすぎている。パン商人。
なんで四天王全員でパン屋してるんだ！！ 人口が多すぎんだろ！！ ええい、注文を持ってこい！
コヨリ姫はリンゴと一緒に働いてる。可愛い！
ちなみにハスター王子も新スキルでボクのパンを複製してるよ！ 働くのか王子！ スージー王女ずっと店員してるわ！！ いいの王女！！
いいらしい。楽しいそうだ。まあな、接客楽しいよな。ボクが辞めたいって言いづらいよお！
人口が多すぎるのは事実だよね。でもさ、人口を減らすための戦争なんかボクはしたくないよ？ 普通に昔から領地の争いが多いのって口減らしの意味があったんだなあ。
確かに口減らしのための戦争をする人たちはいるんだろうけど、労働力も減るじゃん。ボクの国が豊かなのって労働力が多いからだと思う。またお祭りしたいじゃん。減ってほしくない。
だからボクは一人でも戦うから。ボクは傲慢なんだ。楽しい毎日のためなら、ボクは一人だって戦うから！
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四天王全員で行きまーす！
『ごろりんこ！』
