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パン屋がつらい。

 80話超えました。皆さん有り難うございます。



 はーい、昨日もお風呂でみんなでわっしょいわっしょいして、ベッドの奪い合いでウォルイがついにくぉんって泣いて、朝になったらなんかみんな団子状態でボクに絡み付いてて暑いわっ! ってどなった。さすがに乱痴気騒ぎしすぎだろう。乱痴気騒ぎってなに?


 みんなと朝の挨拶を交わしていたら黒い巨体が数十人雪崩れ込んできてひえ、ってなったけどミドリちゃんたちで慣れないわ! ゴリラホント怖い! ごめんね? きゃるん!


 ゴリラ美容で整えたらウォルイに鞍を着けてのって、出かける。ウォルイ嬉しそうなんだよね、なぜか。脇には安定の非常食を引くセレナ。本当にそのポジション好きだね。なんか仲良くなってるし。非常食を食べる人なんてもういないと思う。ころされる。


 さて、カエデ市の問屋倉庫でボクは百万ものパンを出す。注文も入ってるから特殊なパンも出していく。ジャムパンやメロンパンも良く売れてるんだよね。最近はクリーム入りのが人気。クリームパンは逆にあんまり売れてないんだよねえ。美味しいのに。


 ボクからパンが出現するのちょっと怖い。


 問屋はクラリスさんに任せているので少し背伸びしてキスをして別れる。なんか物足りない顔をしてるけど。お休みに楽しもうね!


 はあ、疲れる。もう疲れた。パンいくつだしたんだよ。レベル五つも上がったわ。ここが地獄か。


 だが本当の戦場はランシンにある。……戦場じゃないはずなんだがなあ。でも一番死にかけるのがここだ。


「店長、チョココロネ十個お願いします」


「リンゴパン三個とスパークリングワイン三杯ね~」


「ベーコンレタスバーガー五つお願いします!」


「コーンポテトトースト五つ! コーラも五つ!」


「トマサラサンド二十個とサイダー二十で!」


「焼き鳥ドッグ五つととりあえず生ビールも五つ!」


 ……忙しいわ。ボクは生産機械か。泣いて良いだろう。泣こう。


 その後もパンを売り続けているんだけどイートインのお客様がたまに話しかけてくれるのは楽しいし嬉しいね。


「そういえばソックセンどうなってるの?」


「こちらからは攻め辛いですね。ニターナが主戦なので手出しがしづらいことがあって」


「ニターナ女王が主戦を務めてるのに横からかっさらったら相手の面目も潰れるし自分達もダメージ大きいもんなぁ。損だな」


 お客の中に政治や軍略がわかる人が多い。賢いんだよなあカエデ国民。モアリースト司教が教育関連の充実を計っているらしくて大人も学べる教会授業とかやってるらしい。夜にやってるんでなんか怪しい授業かとボクは勝手に思っていたんだけどなぜか戦争とか軍事とかについて詰め込んでるらしい。時勢にはあってるんだろうけどそれだけで良いの?


「店長! カレーチーズパン十個お願いします」


「焼き鳥ドッグ五本とビールも五杯です!」


 そしてボクはパン屋する。教育とか口出す暇無かったわ。


 リナレアさんがあらかじめタンクにいろいろな飲み物を積めてはいるんだけど、それを出して配るのはどうしても人力だ。余った時間でボクも倉庫に詰める予定のパンを出していたりする。辛い。パン屋がつらい。


 だが現実逃避していても注文は来るのである。うーん、ぶっちゃけイートインのお客さんは楽しいかも。よく話しかけてくれるし。仕事に勢いがつくよね。最終的には疲れ果てるけど。こういう時に甘いものを飲むと助かるよねえ。メロンソーダ飲もう。うまい。


 店員のみんなにも甘味をおごってやろう!


「救われるぅ!」


「このために仕事してる!」


「まかないだけが人生ですう!」


 その人生は寂しくないかな? まあ賄うよ。たっぷり賄うよ。うちの店員には無理させまくってるからね。一人もやめないのが不思議。賄い出しまくるよ。お給料は他の三倍超えてるけどね。


 仕事が終わったら店員だけで飲み会とかしようか? 楽しそうだ。まあ子育てしてる人はアルコールダメだし早く帰ることになるけどお土産はおごってやろう! 晩御飯の心配はいらない。ハンバーガーとかばっかりだけどね。おやつにクリームチーズケーキくらいは渡す。


 ああ、パン屋が辛すぎる。ボクだけならいいんだけどスタッフがもう六十人くらいいる。全員が奴隷のように働いている。まあ週三日休みがあるんだけどね、ボクは二日だけど。休めるだけましか。その休みに戦争してるけど。


 ボクそろそろ首をくくっていいと思うんだ? なんじゃこのブラックライフ。死ななくても死ぬわ。過労死待った無し!


 しかしやっぱり働く。うーん。パンを売るの別に嫌いじゃないんだよなあ。いろんなパン出せるしケーキとしてアイスクリームケーキとか出せたりするし、スキルは悪くないんだよなあ。お酒だって飲み放題だし。


 たださあ、このスキル戦闘に使うスキルじゃないと思うんだけど?


 なんでボクいっつも前線なの? いや、セレナたちを前に行かせたくないんだけど、


 なんでずっと戦争してるかなあ?! おかしくない?! ボクもう休んでもいいよね!


 さらにパン屋。パン屋だよお。パン屋がつらい。ボクもね、出してる分にはいいんだけど、たまに自分の出したパンなのにすごく食べたい奴とかあるわけ! 風の四天王のウィリーさんとかヨダレ垂れ流しながらパン運んでるのよ!


 イチゴクリームパンとかポテサラトーストとかさ! 食べたいんだよお!


 こっそり作って食べてるけど。まかないでも出してるけど。すごい喜ばれるんだ。まあボクほどパンの知識ある人いないからね。焼き方は知らないけど。


 だからつらい。パン屋がつらい。


「店長、五番テーブルでショートケーキワンホールです」


「誕生会? 顔出しした方がいい?」


「皮製品の工房のお坊っちゃんみたいなので顔を出してみてもいいのでは」


 最近こういうのよくあるんだよねえ。ボクもあちこちの工房で防具とか買い集めてるから顔見知りも増えてるんだよね。


 力があるのは事実だしお金も持ってるのも間違いないからなあ。人付き合いも逃げるわけには行かないよね。


 スペシャルなフルーツケーキを直接テーブルで出す。チョコプレートにハッピーバースデーとまで書いてあるよ。


「有り難う御座います女王陛下」


「……誰?」


 やばいわ、全然自分が女王とか思ってないわ。めちゃくちゃ感謝されたわ。仕方ないよね、でもボクパン屋だしね。


 パン屋なのに女王陛下ってなんなんだろう。すごいハートフルな王国だね。


 パンがないならケーキでもなんでもおごってやろう!






 面白いな、って思ったら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願いします!


 評価は☆☆☆☆☆→★★★★★でお願いします!_(:3」 ∠)_


 今日はウォルイにごろりんこしてもらいます。


「くぉん」


 砂浴びだ!



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