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帝国内では

 寝てた。



「西が騒がしいようだな」


 皇帝、コレダ=ヤミーナ=クレモットは呟いた。見た目はまだ三十代の男だ。


「お察しの通りにございます。西を任せているハングリー伯爵が勝手に攻めいった模様。兵を引かせますかな?」


「あんな辺境に攻めとるべき物があるのか?」


 宰相、アンナ=スフレイン=バレット公爵はにやりと笑った。見た目は十代の女の子にしか見えないが中身は六十代らしい。スキルの恩恵のようだ。若々しい振るまいが却って痛々しいが、それをいうと斬首されるだろう。


「あそこに救世主が現れたようで、飯に困らぬ領地と話題のようですわ」


「ほう、飯に困らぬのか。救世主な。確かに手込めにしたいな」


「まあ好きにすれば良いでしょう。皇帝なのだから」


 まあ、皇帝に好きにさせるような宰相でもなかった。戦わないでなにが帝国か。火の手を広げる用意はしている。


「そのルーフィアという娘を篭絡できるなら戦争でも謀略でも構わんのだろう?」


「確かに。策がおありですか?」


「宰相ならいくらか考えておるのだろう?」


「もちろん」


 たかが小娘を一人篭絡するなら麻薬を使ったり強姦魔を使ったり、方法はいくらでもある。アンナ宰相はひそかに笑っていた。悪辣なことなど国政には存在しない、それが彼女の流儀だ。ただ、相手が分かっていない。




 ムバウばあちゃん本当に優秀。どうやら帝国でボクを捕まえる方策を練っているらしい。うーん、念のためにミーヤちゃんたちを守るシフトを四天王に組んでもらう。四天王もムバウばあちゃん以上に情報収集できるからね。変な話、四天王を顎で使えるのってすごい楽。なんでもできちゃうよ。お小遣いは奮発している。


 実際仕事量と儲けが爆発している。……そろそろボクは過労死だよ。ぐふう。


 売れるんだよ?売れるんだよパン。嬉しいよ? でも過労死だよ。無料で出せるっていったって作業は作業なんだから。


 人口が多いのはわかるんだけどなぜ百万くらい毎日パンが売れるの?!


 ボクのレベルもう五百こえたんだが?! ボクオレンジお姉さんと戦えそうだよ?!


 まあオレンジお姉さんは無敵だから倒せないんだけどね。オレンジお姉さんを倒すって世界を壊すことだから完全に無理なんだよなあ。ブレアはバカだから気づいてないけど。


 まあいいや。帝国がちょっと本気出して南下してきそうだけどソックセンってブレアたちに支配されてるからそうそう破れないと思う。敵がバリアになってくれるわけだ。逆に頼もしいわ。


 世の中って不思議だよね。嫌いな人が味方になったり、嫌いなはずの人が素敵に見えたりさ。……アレス。ごめんね……。



「どうしたのだルーフィア。パンの注文入っておるぞ」


「あわわ、ホットドッグ十個にクリームメロンパン五個ね!」


「まったく、しっかりするのだ。奴のことでも考えていたか。ルーフィアは発情期であるのだな」


「だ、だ、だ、誰のことかな?」


「メルフィーナ子爵?」


 大外れだが噂をしたら来そう。


「私はルーフィアの妻だろう?」


「来たよ。ホントこの人は謎の空気の読み方するな」


 メルフィーナ子爵来たわ。ちなみにうちのカエデ女王国の領地に入ってるので伯爵になってもいいんだよね。まだそこまで話が進んでない。ハスター王子たちもすごい忙しそうだからね。


「仕事するから帰って。ハンバーガー積むね」


「すまないな。最近は昼飯を食べないと落ち着かない」


「そういえば一日三食って馴染んじゃったね」


「ルーフィアパン店が昼しかやらないのもあるぞ」


「自業自得かあ。まあ売れるからいいけど。良くないわ。死ぬわ。過労死コース!」


 なんで平和が殺しに来るんだ。謎だ。戦争で死の予感は感じたことがないのに毎日の労働では死の予感感じまくってるんだけど?


「さすがに住民が増えすぎであるしパンの転売屋も王都まで足を伸ばしておるのだから百人以上はおるだろうし、暇になる方が難しいわ」


「レナリアさんが来なかったらアウトだった。彼女がボクの女神」


「我ともいちゃいちゃするのだ!」


「クラリスさんとリナレアさんがいれば良くない?」


「戦争が起こるわ!! ルーフィアお隣争奪戦は物理にこそなってないが毎夜大変なのであるぞ!!」


「おっかしーな、ボク女の子なんだけどなんでハーレムの取り合いになってんのかなぁ?」


 どう考えてもおかしいよね。どうしてボクの横で寝たがるの?


 アイリスとか相手がセレナでもハスター王子でも良いみたいだし。


「アイリスにそれ言うなよ、泣くぞ?」


「アイリスって泣く前に暴れるからなぁ……」


 アイリス怖い。あの聖女頭おかしいもん。可愛いのがまた困る。魔人やエルフよりアイリスの方が可愛い。


「お主も妻を作りすぎなのだ。三桁作る気か」


「もう今でも限界だよぉ」


 三桁ってルーティーン作れないよね。死ぬわ。今も忙しいのに。


「濃厚イチゴジャムパン五つとメロンソーダ五つください。イートインで」


「毎度有難う御座います。店長」


「はーい、できましたよ~」


「コップも用意したのだ」


「はい、メロンソーダでーす」


 ……なんかなにもないとこからパンやジュース出るのキモいな。今さらだけど。


 そうそう、そんな話じゃなくて帝国だよ。ついにボクらはにらまれてしまったよ。薬とかはボクには効かないんだけど強姦魔とか言ってたらしいんだよ。犯罪者はなにしてくるかわかんないからなぁ。戦争より怖いかも?


 まあ見つけたらその場でミンチ肉工場が建立されるだけだけど。ミンチ肉製造機械はボクね。ワンスイングさ。


「精霊には見張りをさせておりますじゃ」


「精霊術難しいよね~。ボクも少しは風の精霊がお話ししてくれるくらいにはなったけど」


「精霊とのよしみを築くには時間や経験が必要ですじゃ。まあ五年もあればマスターできますぞ」


 そもそも婆ちゃんの精霊術って神授スキルじゃなかったっけ? 普通の精霊術もあるんだっけ。マスターできたら絶対楽しいんだけどなぁ。


 ボクは風の魔術とか雷の魔術とかはそれなりに修めてるけど、メイス振る方がどうしても速いからなあ。


 殴ってカタがつく敵の方が商売や暗殺者より楽だよお。


「店長ボテサラトースト二十個でぇす!」


「もう帰って寝たい!」


 そういうわけにもいかないのでボクはパンを出し続けるのであった。ボクこれ間違いなく奴隷だろ! 女王どこにいった!!






 面白いな、って思ったら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願いします!


 評価は☆☆☆☆☆→★★★★★でお願いします!_(:3」 ∠)_


 皇帝陛下のごろりんこ! 側転です!


「フハハハハ! 我にできぬことなどないわあ!」


 かっこいい!



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