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ルーフィアに耐えるまで

 ルーフィアの一撃に耐えるのは並大抵のことではないですね。例えば電信柱とか吹き飛ばせますからね。



「むむむむ、さすがにまだルーフィアさんの打撃に耐える装甲は作れませんねぇ。あれなんなんですかあ?」


 さすがのブレアも焦っていた。ルーフィアの成長が明らかに速すぎる。グレーターデーモンを物の数ともしないとあっては、対策の打ちようがなかった。ドラゴンさえ潰される。防御力上位の亀の魔物なら耐えれるが重くて動けたものじゃない。ルーフィアは速い。勝てたものじゃない。


 精霊人を作れるのだから安易に悪魔とも合成できるのではと考えていた。悪魔の死体はいくつか持ち帰って実験に使ってはいる。あまり芳しい結果は出ていない。


「ふむむむむ、キレキャラならちっくしょう!とでも叫ぶのですがな。研究対象としては最高と言わざるを得ない」


 ブレアは意外と我慢強かった。まあさんざんルーフィアに研究結果や収集物を蹴散らされたのだ。萎えるのが普通だがブレアはだからこそ燃えていた。神に挑むような男だ。ジジイだが。


 性格は破綻しているのに前向きだった。一番迷惑な奴である。無能な働き者という奴だ。


「次は悪魔の血と精霊液をどの分量か足して、強化できるか確かめましょう。人間はたくさん集めていますからな。問題は食料なのですが」


「ルーフィアパン店で買ってくればいいのよぉ」


「敵地ですがな?」


「だからいいんじゃない。殺戮できないストレスをあの娘の平和ボケしたバカ顔を拝むことで相殺するのよぉ!」


「まあ問題ないでしょう、エリーシアさんの顔も名前も、向こうは知らないでしょうからな」




……………………(ルーフィア視点)




 ムバウばあちゃんが精霊を使ってブレアを特定した。これは会心の一撃と言っても間違いない。既にブレアは捉えている。なんとか精霊を遮断したが逆に精霊が遮断されているポイントを追ったのだ。最近仲間になった妖精たちが駆けつけてくれた。


 その結果奴らがボクに兵糧を求めていることがわかり、そのためにエリーシアという名の女が来ることが分かった。どうも前に冒険者を送ってきたのはこの女らしい。


 ムバウばあちゃんすげえ。普通に思うわ。でもあのばあちゃん今年で二十一才なんだよなあ……。若いのに……。一応進化したら若返るらしいし経験値もボクのパンでバリバリ貯めているらしいけど。バリバリ。中身がなんでおばあちゃんなの?


「いらっしゃいませ~」


 来たな。まあ普通に買って帰るといい。ムバウばあちゃんと妖精たちが追いかける。最近だとランシンの町中に魔物がいても誰も騒がない。カエデ市と完全に繋がっているのだ。カエデ市膨らみすぎ。まあ人口爆発しすぎてるからな。


「毎度有難う御座います、エリーシアさん(・・・・・・・)


「?!」


「ご注文は?」


「……ハムカツサンド三十個とネギトロドッグ十個、トマサラサンド二十個、コーラ一樽」


「まいどあり!」


 エリーシア女史は青い顔で去っていった。台車押して。髪も目も赤かったけどね。お客様だからしっかりお金もらってやった!


 これボクの商品の洗脳能力がないことの証明にならないかなあ? ブレアとコントしちゃうのは実はリンクしてるの? 完全に証明するには至らないか。




「……というわけでなぜか顔ばれしてたわ」


「ハムカツサンド美味しいですな」


「聞いてる?」


「いや、精霊術師に居場所を掴まれた時点で終了でしたな。わははは」


「笑い事じゃないだろう、ジジイ。ちょいちょいやらかすよな、あんたは」


 口を挟んできたのはアイリスに殺されかけたグリースだ。


「完全な人間など存在しませんぞ。なに、移動するのは日常茶飯事、ごまかしながら移動するのみですな。コーラ美味しいですな」


「まあな、ルーフィアは憎いが飯は美味い」


 どのみち敵に戦力は知られている。向こうは十人以上いるのにこっちは六人だ。どんな手を使っても、どんな実験をしても、勝たねばならない。幸いエリーシアの配下の冒険者はかなりいる。使えるものがいれば使えばいい。


 悪魔の血、魔族の血、人間、魔物、精霊、エトセトラ、まっこと原典は正しい。全ての存在はおしなべてくだらない。混ぜ合わせ、掛け合わせて本質を掴むのだ。


 神を超えるために。




「っていうのが敵さんの思惑らしい」


「くだらない」


「全くね! それじゃルーフィアどころかセレナも超えられないわ!」


 アイリスはバカじゃないんだよねえ。


「どんな位置付け?」


「セレナは上から四番目かな? オレンジお姉さん、クラリスさん、ルーフィア、セレナ、リンゴの次くらいが私ね!」


「自己評価高いのやら低いのやら」


「あ、でもさ、コヨリ姫とか絶対強いんじゃない?」


「まあまだ戦ってないから評価は難しいわねえ」


「われはつよいぞ」


「強そうだねえ。柔らかいけど」


「ふみゅん! だきつくでない」


 攻略完了! 弱い! ……戦ったら負けそうな気配がした。五十メートルあるらしいしなあ。さすがに倒せなそう。


 まったく、ボクに勝つくらいじゃ全然世界最強になんかなれないんだよなあ。まず魔王倒そうよ。無理だしさせないけど。そういえばエリメータさんもバンパイア勇者ってかなりおかしな存在なんだけどどれくらい強いんだろう? 斬撃無効気味のザグレートには苦戦したけど一方的に攻撃してたしなあ。


 スピード面だとセレナやアイリスよりは圧倒的に速い。クラリスさんは微妙か。あの人ほど欠点がない人いないからな。防御もパンメテオ跳ね返すくらい高い。魔力が半端ないんだよあの人。ボクでも五倍はあるかも。魔王だわ。


「ぐぬぬ、おかあさまの魔力を超えられる気がしないのだ!」


「リンゴでも二倍くらいあるもんねえ。化け物だわ」


「旦那が寂しいことを言うんだ、ハスター王子」


「ルーフィア、妻を大切にしてね!」


「おっかしーなあ。魔王やましてや王子を妻にした覚えないなあ」


 このコントいつまでもやる気だな。ボク理解した。落ちないからな? こんなことで落ちないからな? まあ二人とも好きだけど。落ちてる?!




「ルーフィアサイドにこちらの動きを読まれている感じがしますな」


「向こうだって無策じゃないだろうね。情報収集要員はいるさ。くそっ」


「そろそろ精霊化実験も一応の完成形を見ておりますぞ。行ってみますかな、エリーシアさん、グリースさん」


 二人は、ニヤリと笑う。問うまでもなかったか。二人ともかなり鬱憤が溜まっていたらしい。


「では始めましょうか、開拓のための一手を」


 できればルーフィアがこちらに来てくれたら楽でいいのだが。ラムネを売って小銭を稼ぐのはもうまっぴらなプレアだった。







 面白いな、って思ったら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願いします!


 評価は☆☆☆☆☆→★★★★★でお願いします!_(:3」 ∠)_


 エリーシアにごろりんこしてもらいましょう。


「なんで私がそんなことしなくちゃいけないのよぉ!? ごろりんこ」


 これがツンデレ?



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