アーミング、ダブロド、ハゲーン、三領地の争い
ストックは常に六話用意。謎の安心感。
新書派と原典派の争いがかなり活発になっているらしい。ニターナ王国の貴族たちは完全に割れているようだ。テルナ女王を倒そうとしてる勢力もあるらしい。許さんが?
新書の伯爵、アーミングとダブロドが原典派のハゲーン公爵と戦いを始めているとか。ボクらにしてみると対岸の火事なんだけど、原典派として参加した方がいいかもしれない、と、ハスター王子は主張する。うーん、立ち位置を明確にする分には良いんだろうけど、わざわざ戦争したくないんだよねえ。ただ、ハスター王子の兵隊ってこの人たちのことの気がする。公爵を含めたら二十万は出せるだろうね。
まあハゲーン公爵さんが援軍要請してきてはいるらしい。名前がすごいよね、ハゲーンって。ハゲーンなのに禿げてるらしいよ。ハゲータって改名したらいい。なに言ってんのボク。
「まあ新書派を駆逐するって方針を示す程度に殴るのはやぶさかじゃないけどね」
「根切りまではする必要ないよ。所詮新書派なんて前王が無理矢理作った派閥なんだから、お義母様が鞍替えしたんだから自然に消えていくよ」
「そんなものかなあ?」
「そもそも戦争したいだけの貴族が多いんだよ。食いぶちを減らしつつ略奪できるから」
「最低だね」
「貴族なんてそんなものさ」
「ハスター王子は冷たいね、嫌い」
「なんで僕急に嫌われたの?!」
だって好きになりたくないんだもの。男の子。ちょっと気になりだしたけど。反発するよね。
でも現実は戦争から逃れられないか。かなり広域で内戦になってるらしい。うーん、そこにボクらが一歩も参戦しないのはそれはそれで不味いようだ。いくか。
ボクたちはまずはアーミング伯爵に顔を見せにきたよ。平原にポツンポツンといくつかのお城と町があるよ。
『ルーフィアでえす! 新書派はぶちのめしまあす!』
って意訳の文章を送りつけてから布陣したよ。……城門が開いて兵隊が雪崩だしてきた。野戦かな?
「助けてくださあい!」
「魔神様と戦う気はありませえん!」
おかしなこと言い出したよ。魔神なんてどこにもいないよね? 魔王はいるけども。
「魔神王ルーフィアさまあ! お救い下されえ!」
「誰が魔神王だ! ボクはパン屋だよお!!」
まったく、失礼しちゃうわ! やっぱり敵はボクの心を責めてきたんだね。
……なんで味方が痛々しいものを見る目なのか疑問だが?
「ルーの評価は魔神王じゃ安すぎるから?」
「あれ、セレナ? ボク幻聴が聞こえ始めたよ?」
「なにが幻聴よ! 魔神皇帝でも安すぎて評価ができないわ!」
「聖女が頭おかしい」
「まあ、人のくくりは外れている」
「魔王様はそれでいいのかな?!」
「ルーフィアは我が愛しき人なのだ」
「それ評価としてはどうなの魔王女様?!」
「不死身の私より不死身」
「ボクアンデッドになってたっけ?!」
「王子様ですぅ!」
「一定なスージー様の評価で一番安心するようになったんだけどお?!」
だめだ、この六人に喋らせたら会話が終わってしまう。と、とにかく逃げてきた人はうちの領地に送ろう。カエデ市がガンガン大きくなる気がするけど仕方あるまい。パンも出さなきゃな。
えーと、残った敵対勢力は殴って良いんだよね? 伯爵家のお城っていくつもあるんだよね。潰していかないと。ワンスイングで壁くらいは吹き飛ぶけどさ。
「助けて! 魔神王様!」
「亡命しまあす!!」
……流れが止まらないんだけどこれどうしよう。亡命するふりして攻撃されても困るしなあ。まあ仲間に任せるか。武器とかは取り上げて後方に送ろう。
とりあえず砦をいくつかセレナが焼いていく。ボクもメイスのスイングで壁を壊していく。レベルが上がっていく。どうしよう、どんどん人間から離れていく。パンとかジュースとかを味方の軍におごる。レベルさらに上がる。……もう人間じゃないんだな、って微笑む。邪悪な微笑みと好評価。
いやああああああああああっ?!
メイスの一振りでけっこう遠距離から城壁とか崩せるようになってしまった!
敵が大挙して泣きながら逃げてくる! カエデ女王国の人口密度がどんどん上がっていくんだけど?!
アーミング伯爵の首が配下から贈られた。……いらない。そもそもアーミング伯爵の顔を知らない。でもアーミング伯爵領は消滅したらしい。
次のダブロドに行こう、と思ったらダブロド伯爵の首も配下たちが持ってきた。速いね! そしてやはり顔は知らない!
ボクね、首は欲しくないんだ? 新書は焚書したいんだけどね。
そういったら山盛り新書が集められて焚書が始まった。暑い。何千冊あるんだよ……。まあ目的通りだから良いんだけどさ。
そしてなぜかハゲーン領地からも人が流入してきてハゲーン公爵がカエデ女王国に移籍するとか言い出した。あっれえええ? おかしくない? もともと味方だったよね? なんで敗戦したみたいになってるの?!
どうにもボクの軍の噂がニターナで広がりまくってるらしい。まあ魔王とか魔女は頭おかしいほど攻撃力というか殲滅力が高いからな。
ボクなんて普通でぇす!
『無理言うな!』
なんで全員に、兵士たちにまで言われたかなあ? すごいねキミたちそれだけ息があってたらさぞかし戦働きもすごそうだねえ!
『ごめんなさい!』
謝る必要はないねえ? 不思議だねえ?
とにかくニターナの領地を三つはがしてボクらのカエデ女王国に編入した形になった。
「またパンがたくさん売れるのだ」
「住民が四十万超えることになったな。戦力は五万くらいか」
「やべえ、殺しにきてる。そうか、ボクの殺し方はやはりブラック企業過労殺し!」
だめだ、もう死ぬしかない。
「ドリンクは手伝います」
「有り難う水の人!」
「リナレア」
「リナレアちゃん! 大好き!」
「……えへへ」
「可愛い!」
やべえ、未だかつてないくらい好きな奥さんができたよ! もう夫でもいいくらいさ!
「いや」
「ちょうしにのりましたしゃーせん!」
「でもルーは、可愛いから好きよ?」
「わたし、ません」
なんかリナレアとエリメータさんが冷たい肌同士で争い始めた。夜のルーティーン? 意味が分からないよ。
まあパンはたくさん出すことが決定なんだが。
「ずるいのだ! 我の方が付き合い長いしいちゃいちゃしてるし商売もしてるのだ!」
「うんうんリンゴは可愛いデザートさ!」
「メインにして!」
「意味がわからないよ?」
面白いな、って思ったら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願いします!
評価は☆☆☆☆☆→★★★★★でお願いします!_(:3」 ∠)_
リナレアちゃんがごろりんこしまーす!
……この時代の女の子だいたいドロワーズ!
ごろりんこ。




