お祭りすっか
例のパン祭りとは関係ありません。
唐突だが、カエデ市でお祭りすることになった。季節は春になっている。戦争は雪で止まったんだよねえ。すげえな雪。まあ雪の中歩きたくないわ。三月でも降るもんなぁ……。
今回のお祭りはカエデ市春のパン祭りという若干ヤバそうな名前なんだけど。どっかで聞いたことあるきがするよ?
ボクをどれだけ働かせたいんだ。
幸いにも屋台とかは呼ぶらしい。まあパンって主食ではあるけどお祭りで振る舞うのも重いよね。いや、ホットドッグとかあるにはあるけどさ。今回はサンドイッチやハンバーガーもあらかじめ作っておいて振る舞う。
ボクとしては串焼き肉とかいかやきを食べたい。ボクの出す食料だけじゃ面白くないもんね。お酒は出すけど。なので、屋台はたくさん呼ぶことにした。お祭りまで働きたくないわ。みんなとデートする!
「やったのだ! ルーフィアとデート!」
「うむ、我もようやく夫とのんびり暮らせるな」
「デート。素敵」
「ルーフィアと一日中いちゃいちゃできるなら祭りの準備なんて屁でもないわ!」
「品が、ないですよ」
「楽しみですぅ!」
うん、この六人は安定してるねえ。妻じゃないって言いづらくなっちゃったよ。妻だよ。ほとんど妻だよ。六人妻だよ。ハーレムだ。
「私たちもデートしたいです!」
「当然デートしてくれるよねえ!」
「デート。嬉しい」
「でえととはいかにするものか。けいかくをねるのだ」
四天王混ざってくんな。どうしてそんなに惚れやすいの? まあするけど。
「ルーが鬼のようにたらす……」
「仕方ないわよ! 殺戮の宴を始めましょう?」
「怖いが?」
やっぱり聖女は頭おかしいなあ。お祭りはお祭りでも血祭りを所望する聖女って頭おかしいなあ。
「なぜかルーフィアから激しい拒絶の波動を感じるわ! 平和を愛するだけの聖女が好きなのね! ならそうするわ!」
「普通そうなんだけどね~」
やっぱりこの聖女頭おかしいんだよなあ。好きだけど。
「それでまあお祭りよ。平和になったわけじゃないけど町としてカエデ市を盛り上げたいなって。大概のことはモアリースト司教が一人でやってるけど。ハスター王子働かないもんねえ」
「いや、働いてるよ? でも『僕は働いてまあす』みたいな顔されたらいやじゃない?」
「いらんから出ていけって言いそう」
「だよね……働いてませえん!」
いや、ハスター王子がすごい働いてるのは知ってるんだけどね。彼の部屋書類で埋もれてるからね。元はゴブリンの部屋なんだけどさすがにゴブたちも空気を読んでハスター王子一人の部屋になってる。
「それで祭りの話なのだが」
「来ると思ったよメルフィーナ子爵、キスしてやろう」
「あん、もう、この夫はハレンチすぎないか? みんなは大丈夫なのか?」
「いつも襲われる」
「とっても愛情深くて大好きよ!」
「うむ、我とももっといちゃいちゃするべきである!」
「我も」
「私、も、お願い、します」
「もっとたくさん愛してくれていいですわ!」
「全員納得済み?!」
最近はここに四天王が乗ってくるから本当にハーレム要員のセリフだけでお話が終わりそうなんだ。祭りに入ろう。いろいろ支度があるからね!
ハーレム要員たちも積極的に祭りの準備に動き、市民たちも協力的、ゴブたちも意図を理解して作業員として動いたのであっさり祭りの準備は整った。
今日から一週間、カエデ市春のパン祭りが始まる。名前変えてくんないかなあ。ボク問屋に十万くらいのパンと各種お酒も数千樽も作って休む気満々なんだけど、足りなくなったら呼ばれそうなんだよなあ。
他の屋台も多いんだし休ませて欲しい。
「うわあ、すごくたくさんの人が集まってますわね!」
スージー殿下楽しそうで可愛い。楽しんでもらおう。
「お姉さま、僕と回ろうよ!」
「ええ、ハスター!」
二人で駆けていった。可愛い。まあ楽しんでおいで。
初日はボクらは三人で回ることにしよう。クラリスさんはリンゴと回るらしい。ほほえましいな。まあ一週間あるからみんなと入れ変わりで楽しめばいいや。四天王もいるしなぁ。
お祭りは良いなあ。すごい活気だ。どうしてこんなに人が増えたんだろう。王都や帝国からも人が流れてきてるらしいけど、魔物も呆れるくらい増えてるし、なぜか魔物が生活に馴染んでるんだよね。魔王国から流入してきてる魔族も多いらしい。うち魔族差別はないからなぁ。魔王いるし。
楽しい。楽しいねえ。平和だ。もしここに敵が来たらボク間違いなくキレる。本気で殺しにいくよ。……戦争しすぎで発想が凶悪になってるなぁ。
春のお祭りなので花もたくさん飾られている。小氷期とは言っても春には花が咲くんだよなぁ。梅とかはかなり寒い時期に咲くけど。
ふんわりいい香りが漂ってくる。幸せだなあ。こんな日もある。
アイリスとセレナが両腕に抱きついてるので拐われてるように見えるけどそれはおいとこう。本当に拐われてる?!
「あっちにたこ焼きの屋台があるわよ!」
「……なんでたこ焼きがあるの?」
「セレナも知らなかったの? 最近有名なのよ!」
(日本人転生者まあまあいるのね)
「またセレナがぶつぶつ言ってる。アイリス、あっちの屋台も見に行こう!」
「かき氷だって! 美味しそうよ!」
「わたあめもあるみたいだよ! りんご飴も!」
(ぜったい日本人いるでしょ?! 日本の祭りをわざとこの町に持ち込んでるでしょ!)
「ほっほっほっ、お嬢さんたちラムネはいかがですかな?」
「くださーい!」
「安いわね、商売成り立つの?」
「これはビンもラムネもスキルで作ってますのじゃ。原価はただも同然でしてな!」
「ボクのパンやお酒とおんなじだ」
陽気なお爺さんだ。しゃべり方がブレアみたいなのは気になるけど。そういえばブレアって顔も見たことないわ。本当に悪党は隠れたり逃げたりが上手くてムカつく。
……実はこのおじいさんがブレアだったりして。なんで屋台やってんだよ。資金難か。さすがに妄想が過ぎるな。
「ねえ、夜には花火も上がるらしいわよ!」
「ほんと? ボク見たことないんだ!」
(だから日本人侵食しすぎでしょ!!)
「セレナもぶつぶつ言ってないで楽しもうよ!」
「楽しんでる。ルーが可愛い」
「えへへ、そう?」
「なにを言ってるのよ、ルーフィアより可愛い生物なんて世界のどこにもいないのよ! 張り合えるのはミドリちゃんくらいよ!」
「ゴリラと張り合う可愛さってなに?! それほめてなくない?!」
どうやらボクの可愛さはゴリラ程度らしい。
まだまだお祭りは続く。
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花火がごろりんこしてもたぶん誰にも分からない。




