帝国との開戦
ルーフィアのフルスイングは魔力使いません。
とりあえずソックセンと帝国の怪しい戦争に、まずはニターナ王家が突っ込んでいる。ボクらは様子見ができるので助かるが正直に言ってテルナ女王陛下に死んでもらいたくはないのだ。可愛いし。頃合いを見てボクらも突撃、帝国との戦争に望むこととなる。なに言ってんだボク。
もっと正直に言えば今回の戦争は、ボクの武威でビビらせて引かせよう、みたいな脳筋作戦だ。でもこれが効くんだよねえ。ちなみにテルナ女王の周りの騎士たちにはエリクサーをたっぷり持たせてある。味方を死なせるほどボクの心には余裕はない。
もう、誰かの命の上に立つのは、嫌だ。でも、まだまだ殺さなければならない。殺されなければならない。
ボクは最低で、傲慢だ。味方の一人の命より敵の千の命を奪いたい。
「ルー、そんなこと言わないで。私たちはあなたが好きなのよ。犠牲にはならない、約束するから」
「でも戦争だもの、誰も死なないなんてあり得ない」
「うん、そうね。だからこそルーフィアは気を強くもって、エリクサーをバシャバシャ出していたらいいからね!」
「結局労働だよ?!」
セレナもアイリスもひどいよお!
まあ戦争は戦争だ。ボクらも協力、参加しないとダメだ。まあボクの戦力で敵を引かせろとも言われているけれど。エリクサーバシャバシャは構わないんだけどね、ボク何者?!
錬金術師の人に申し訳ないなぁ。でもそれを言ったら物価を下げてしまったパンと水スキル自体が世の中を乱してしまってるんだよねえ。食料は増えてるから悪いわけじゃないんだろうけど、経済はボクには難しいなぁ。
でも地獄のようなブラック労働と引き換えだからあんまり悪い気はしない。嫌なら働けばいいんだ。辛い。
ともかく、ボクらは帝国との開戦は決めた。さて、メイスを持ってでかけよう。何様だボク。救世主様とは呼ばれてるんだけど世界をまだ救ってないよねえ。
今回はゴブたちにも参加をしてもらうし、オーガやゴリラも群れを成している。正直人間で歯が立つのかな? エンシェントドラゴンまでいるんだけど。四天王揃ってる。
帝国の兵が気の毒になるよ。ボクはまっすぐ進むことにした。はーい、そこ退いて。
「あん? なんだあいつら」
「計画にないですが、ソックセンを攻め取りに来た?」
計画? なんだ? やっぱり帝国の攻めは計画か。
「……敵か?」
「恐らくは」
「お前ら、陣形を整えろ! 敵だあ!!」
無駄だ。
「おおおうっらあああああ!!」
「ぎゃあ……」
ボク、メイス振る。敵陣、砕け散る。さようなら。かんたん。
「ひいいいい?! なんだあれ、なんだあれ!」
「ば、ば、ば、化け物が来たああああああ!!」
「助けてくれえええええ!!」
「逃げろ! 一人でも逃げろ! 触っちゃいかん!」
いくらなんでも怯えすぎかとも思うけど、メイス一振りで千の味方が吹き飛んだらそうもなるか。死んではないと思うんだけど大木も吹き飛ぶからな。何百人か死んだよね。はあ、辛い。
「おおうっらあああ!!」
「逃げろ! 逃げろ! 逃げろ!」
「ぎゃあああああああ!!」
「あんまりだあ、魔王が攻めて来たあ!!」
ボクは魔王じゃないけどね。ぶっちゃけて言えばいまだにクラリスさんの方が強い。ボクのスキルは攻撃には向かなすぎるもの。クラリスさんあれで回復も使えるんだよねえ。光術は反則臭がするよ。でもアイリスの聖術は光術も含むんだから底が知れないよね。まあ育ちにくいって欠点はあるけど。アイリス天才なんだよねえ。クラリスさんには敵わないとは言ってるけど。いずれ追い抜きそう。まあクラリスさんもボクのパンで成長してるのがなあ。怖すぎるだろ。魔王成長させてるとか。
敵はものすごく多いなあ。帝国の一部しか攻めてきてないって話なのに何万いるのか見えない。ボク一人ではさすがに無理かなあ。疲労回復ポーションを直接胃に流し込みながらまっすぐ敵陣に歩いていく。ブラック過ぎるだろ。
「ル、ル、ル、ルーフィアがきたあ!!」
「あれ? 名前知られてる?」
「パンが降ってくるぞおおおお!!」
「逃げろおおおお!!」
うーん、……そりゃそうか。ボクジャイアント倒したりしてるし少し調べれば分かるよなあ。
ボクの前に立つと死ぬって。
「お望み通りに、スキル:パンと水:パンメテオ」
上空から落ちてくるパンは前の十倍くらい大きい。レベル上げすぎた。アイリスの防壁がないと味方まで吹き飛ぶ規模だ。ごめんねアイリス。
「余裕よ! いや、ちょっとヤバイ?!」
「ルー、味方に跳ね返るスキルは迂闊に使わない」
「ごめん」
「まあ残りは我らが片付けよう」
「かあさま、我もいくのだ」
「私もいく」
「我ら四天王もお供致しまあす!」
……敵に同情してもいいと思う。もし四天王一人にでも勝てるのなら魔王国はとっくに失くなっていただろう。人類では魔王どころか四天王にも勝てないのだ。それが魔王と魔王女と四天王にまともに攻められるとか、悲劇としか言えない。魔女と聖女と勇者のおまけ付きだ。
いやなんでそんな状況になったの?! ちなみに四天王のみんなは柔らかかった。なに言ってんだボク?!
まあね、まあね、不幸としか言えないよ。ボクらに喧嘩売ったんだ。嘆いてしぬがよい。
「ルーフィアって実は性格凶悪で魔王より魔王じみてるわよねえ! 大好きよ!」
「アイリスが変態過ぎて辛い」
「とにかく帝国を攻めるんでしょ? 私もやるわよ! 聖術:光術:大光球落星!!」
「うわあ……ボクよりひどい」
「私も、炎術:煉獄」
「うわあ……ボクよりひどい」
「我もいこう。光術:殲滅の光」
「うわあ……ボクよりひどい」
ちょま、みんなやりすぎだけどお?!
「我も、地雷散布」
逃げ道さえ塞がれた!? 魔王女様からは逃げられない!!
「戦争なのは戦争なんだけど虐殺しすぎじゃないのかなあ」
「撃っていいのは撃たれる覚悟がある者だけである」
「リンゴのセリフがヤバイよお。どこかで聞いたよお」
まあこんな調子なので無人の荒野を進むごとく進軍しているのだけど、なぜか四天王全員引いてる。はたらけ。
「わ、私ら必要なくないですかぁ?」
「つよすぎ! 全員強すぎよお!!」
「ん、私たち出てきた意味ある?」
「われもてきをくらいたいが、ぜんぶちりぢりだ」
うーん、敵が可哀想だねえ。
この後は四天王に任せてボクらはとぼとぼと歩いていく。ウォルイに乗ろっと。セレナはやっぱり非常食を引くのね。好きね、それ。
面白いな、って思ったら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願いします!
評価は☆☆☆☆☆→★★★★★でお願いします!_(:3」 ∠)_
千人の敵兵が後ろにごろりんこ!
ごろりんこからは逃げられない!