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セレナ:アイリスについていく

 深夜ですみません。

 私はアイリスについていくことを選んだが、本当はルーについていきたかった。アイリスが嫌いなわけではないし、心配なのも本当だ。ルーが大好きなのも本当だけど、私がこっちを選んだ最大の理由は、アレス、バート。あいつらが悪さをするのが目に見えているからだ。アイリスに任せたらたぶん殺してしまう。それはルーも悲しむだろう。


「かくかくしかじか、ルーは旅に出た」


「よし、バート殺そう」


 アイリスに合流し最初に火事の話をしたら瞬間に彼女はジェノサイドモードになった。怖い。ルーの方に行けばよかった。それはそれでアイリスが脱走してくるだろうけど。


 なんとかジェノサイドアイリスを抑え込んで、私をアイリスの従者とするように頼んだ。


「友達を従者になんてできないわよ!」


「でもそうしないと私がアイリスについていけない。貴族とはいえ男爵の子女では資格がない。従者になるには十分な身分だけど」


 アイリスもバカじゃない。それくらいは分かってる。貴族だし教育も受けている。昔より本が安くなって図書館も無料で使えるし貴族なら書庫を持っている。内容も宗教関連しかなかったような時代とは違う。地球(・・)の田舎程度には発展しているのだ。


 前世の記憶、と言っても大したことは知らない。中学生だったし、だけど科学の偉大さは知っている。だから色々と作ったが、私を預かっていた叔父叔母に全て搾取された。私の小遣いは多くない。私の両親は伯爵だったそうだが、私が物心つく頃にはスタンピードで亡くなっていた。私だけは生き残り叔父に拾われたが、小間使い扱いだった。もはや義理はないのでさっさとどこかの貴族に仕えて縁を切りたかった。幸いなことにアイリスが聖女スキルを手に入れた。


 聖女の従者から搾取していた家、なんて不名誉極まりない。力の構図が逆転すればたかが男爵家、潰すことだってできる。もう興味もないが。


「アイリス、これ」


「ん? なにこれ。指輪?」


 アイリスを利用するみたいで申し訳ないので、この金の指輪を渡しておく。なんの指輪か説明してあげればそこには狂喜乱舞するアイリスが……? 目と鼻から洪水のように水を垂れ流して白目で気絶してる?! 刺激が強すぎたようだ。


「こ、こんにゃくゆびあ……」


「蒟蒻ではない」


「わたしを幸せ殺す気か?」


「幸せ殺すってなに?!」


 私にツッコミを入れさせるのはアイリスとルーくらいのものだ。頭がぶっ飛んでる。二人は私を天才とほめるけれど前世の知識を流用しているだけなのだ。二人の方が本物の天才である。方向が少しおかしいが。


「とにかくあいつらが悪さしないように目をつけるのね?」


「んー、国がなんとかしてくれそうなら二人でルーを追いかけよう」


「今すぐ行こう!」


「無理かな?」


 それができるなら最初からやってる。聖女として連れてこられたのだからアイリスの立ち位置をなんとかするべきなのだ。ただ逃げ出しても連れ戻される。なので、旅をする理由を作るのだ。衆生を救う旅をするとでも言えば監視はつくかもしれないが自由に動けるだろう。ルーの村の名前は本人に聞いて知っている。カエデ村と言っていた。ますはそこまでの道を調べておかなければ。


 私たちは馬車に揺られ、王都に向かう。衝撃を吸収する仕組みを詳しくは思い出せなかったからバネで衝撃を吸収してはどうかと提案したのだが、幸いなことにこの世界の鍛冶屋は優秀だったようだ。多少揺れるのは仕方ないが酔うことはなかった。お尻とか痛くなると聞いていたがクッションもついていて快適だった。


「セレナはホントに色々と作ったわね」


「私には1グリンも入らなかったけど」


「それも告発するべきね」


「叔父さんも子爵になれそうだって話していたから早めに潰したい。まあ関わりたくないけど」


「聖女様の出番ね!」


 聖女と言っても有用な人物であることをまずは示さなければなるまい。スキルオタクのルーが言うには聖術は治癒と防御とバフと光術を使えるようになるそうだが、前述通りこんななんでもできる系統のスキルは成長が遅い。やれることが十個しかないならその戦術の組み立ても簡単だが百個になると考えることも山ほど増えるだろう。極めればすごいスキルなのだ。


 おそらくアレスやバートやザグレートは修練なんかしないだろう。アイリスも地道なトレーニングはしなさそうなので私が側でささやかなければならない。ルーに会いたければやれ、と。アイリスのコントロールは簡単である。


 一週間ほどの旅の果て、ようやく王都に着いた。アイリスはずっとルーの話ばかりしていたが私だって会いたいのだからあまり話さないでほしい。私が言うと薄情な感じがするから言わないが。


 私もこのとても便利な炎術スキルを極めなければならない。



名前 セレナ=フランベルジュ 種族 人族 性別 女 年齢 15


レベル 20


HP 148/148

MP 252/256


職業傾向 魔導師


現職 中級魔導師


神授スキル 炎術 ランク C


一般スキル 中級魔術 魔力探知 高速思考 種族スキル(人族)


称号 爆炎の支配者 発明家 前世記憶保持者 転生者 口下手 ロリコン




 ……称号、人聞きが悪い。私はロリコンではなくルーコンである。


 とにかくこのステータスがあれば町のゴロツキ程度では全く相手にならないし山賊でもひとりで五十人くらいなら潰せる。これをさらに鍛えればきっと国ですら障害にはならない。


 そこまで鍛え上げ、アイリスを聖女として鍛え上げれば必ずルーを追えるようになる。私は疑っていない。


 問題はアレスたち。調子に乗って早々に自滅してくれたら良いのだが。


 城に着き、王との謁見を行う。……この国は病んでいる。ろくな王ではない。戦争ばかりしているし。


 例えばルーの村はお昼時にゴブリンに襲撃を受けたせいで火災が広がり燃え尽きたのだそうだが、国では魔族が襲撃したことになっている。あんな辺鄙な土地を魔族が襲う意味ないから、と、ルーが憤慨していた。要するにゴブリンを定期的に狩るはずの騎士団がどういう理由か知らないが仕事を怠っていたのだ。


 この国が腐っているのはよく分かるだろう。


 謁見の間、アイリスをスケベそうな目で見る王と王太子。焼いてしまいたいがまだ早い。というか私もエロい目で見られている。ヤバくないかな?


 この城を早く出なければアイリスはともかく私がヤバいかもしれない。


 幸いにも謁見に来ていた城付きの司教様が良識的な方らしい。早々に彼に協力してもらわなければなるまい。


 ああ、やっぱりルーと行けばよかった。でもアイリスも大事な友達。捨てるなんてあり得ない。


 ルーに再会することを夢見ていても、私は今は、アイリスについていく。






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