ハスター王子様との出会い
コント:王族。
だからコントじゃないから!
ハイハイ今日も朝ゴリラからね。なんだよ朝ゴリラって。ヤバイこれツッコミ止まらない。
昨日の夜も女の子たちとイチャイチャしていたんだけどなんかボクに貫禄が出てきたとクラリスさんに言われた。魔王に認められる貫禄ってなによ。
それで今日も朝ゴリラで可愛くなって出かけることにした。ロバの非常食はセレナが引いてくれる。ボクは狼のウォルイに乗ってザクザクと進むだけだ。確かになんか貫禄出てきた?
もともと地方基地として立てられたランシンの町はどんどん拡大を進め、さらに地方の村とも協力して大きくなっている。ここを中心に地方が一つの国になってるみたいだな、とは思っていたんだけど。
そこに変わったお客様が来て、なにかが動き出そうとしているのを感じたんだ。
「こんにちは」
「いらっしゃいませ」
なんかやたら小綺麗な少年が来た。それを見てアイリスとセレナが目をむいて驚いたんだ。え、だれだれ?
「ハスター王子! 相変わらずちっさいですね!」
「なんでこんな辺境に?」
アイリス不敬じゃないのそれ。って王子様?! あ、スージー様も王女様だけど店員してるわ。
「僕は姉上が大好きなんだ。帰ってこないとなったら会いに来るさ」
「でた、重度のシスコン!」
アイリス、だから不敬。
「ハスターもランシンに住むのですか?」
「なんで姉上ここで住むことにしたの? 計画は進んだからいいけど」
「計画?」
「まだ秘密。まあ姉上になら話してもいいけどね」
王子様についておじさんが二人とメルフィーナ子爵も来ている。
「このおっさんがペリテー伯爵。こっちは知ってるだろう、モアリースト司教だ」
王子様に紹介されたけど「大物ばっかりだ?!」
「はっはっは! 僕がペリテーだよ! 君たち可愛いねえ! うぇーい!」
「伯爵軽すぎない?!」
「とりあえずお昼ご飯食べようかな。ハンバーガー? チーズバーガーの方がいいかな?」
「偏見だけど王子様ってチーズ好きそう!」
王子様と伯爵に洗脳の疑いがあるボクのパンを食べさせていいのかな? まあいいか。
「美味しい! コーラも美味しい!」
王子様にも気に入られたらしい。たくさん積んでおこう。メルフィーナ子爵がどうせ食べるし。
「残飯処理のスライムみたいな扱いされてる気がするのだが」
「いあ、いあ」
ライムがメルフィーナ子爵をライバル視し始めたよ? 大丈夫、メルフィーナ子爵は特別! ライムも特別!
そもそもライムってレベルだけはボクより高いしね。戦力としてはただ圧倒的な生命力で敵を食べるだけなんだけど。使いづらい。人間相手にはさすがにね。
「いやあ、いい暮らしができそうだね。ランシンはいい町だ。僕もここに拠点を移すことにしたよ、ペリテー伯爵」
「そうですねぇい! 僕もこっちに住もうかなあ!」
「メルフィーナ子爵を僕の権限で独立領主に認めてもいいかな?」
「税金スッゴい減りそう! でもメルフィーナ頑張ってるからいいと思います!」
軽いな伯爵。けっこうランシンって税金落としてくれると思うんだけど。職人さんも多いし。ボクもほとんど店舗になってるから税金三割にして商業ギルドに守りを固めてもらう話がでてるし。あと委託金とか言って二割は帰ってきたりする。ようするに、商業ギルドと商人の結び付きを強めるためのシステムなんだ。
原価かからないからそれで儲けがでるんだよね。もうお城でも買えそうなくらい貯蓄あるし。問屋業もやり始めたからバンバンお金入ってくる。ここに委託金が入ってる。この委託金って場合によっては税金より増えたりするらしい。地域の発展が重要ってことみたいだよ。委託金の使い方は商業ギルドが決めるしね。
まあメルフィーナ子爵の独立祝いだ。ハンバーガー積んでやろう。
「うむ、美味いな」
「独立ってけっこう大変な気がするんだけど余裕?」
「騎士団とか作らないとだな」
「まあソックセンとの戦いも終わってないし戦力は必要だね。英雄クラスの人がたくさんいるけど。魔王もいるわ!」
「ルーフィアも私の騎士にしていい?」
「いいよ? 別に身分いらないけど」
「ほとんど王様だしな。ダンジョンマスターは王様みたいなものか」
「女の子だからね? せめて女王様とお呼び?」
最近はゴブリンの取り込みも進んでいて五百匹のゴブリンとか狼も増えて百匹ほどのベッドができた……狼をベッドにするな。ボクか。
美容ゴリラは一匹だけだけど。あのゴリラどこから出てきたんだろうね?
オーガのダンロやアルラウネのトマサラちゃんもなぜか一匹ずつしかいないけど。
おっと、王子様の接客しないと。スージー様がしてくれてるわ。幸せそうにハンバーガー食べるショタ可愛いなあ。お姉ちゃんと一緒で幸せそうだ。こうしてみると普通の男の子だな。しゃべり方は威厳があるけど。
「我も一応王女なのだが?」
「リンゴはツッコミ役だからなあ」
「だから我、その仕事嫌なのだが? 血管切れたら死ぬのだが?」
「大丈夫だよ、若いから」
「若さが全てを解決するように言うでない!」
「若さがあればなんでもできるさー。ははは」
「そんな軽い調子で我の運命を決めるでない!」
「面白いね、ここに王族が四人もいるって」
ハスター王子はそう言うけど。
「魔王のかあさまがいるのはおかしくないかな?!」
「リンゴはおかあさん嫌いなの?」
「好きだが?」
リンゴはツンデレだからねえ。お母さんもボクも大好きなのにツンツンツッコミ役をやるんだ。
「だからその仕事嫌なのだが? コップとかお皿作っていたい」
「水飴のビンもよろしくね」
「やっぱりハードワーク!?」
いや、ボクのパン屋もかなりヤバめのハードワークなんだけどね?
「チーズバーガーもう少し食べたい」
「ハスター王子様もかなりな健啖家だねえ、小さいのに」
「大きくなるためにたくさん食べてるんだ」
「太るよ?」
「ルーフィアはもう少し王族を敬うのだ。我を特に!」
「しかたないなぁリンゴは。また帰ったらイチャイチャしてあげるから」
「旦那様が最近冷たいのだ。嫁が多すぎるし」
「焼く?」
「なにをセレナ?!」
「嫁……駄目だ、一人も焼ける気がしない!」
「アイリスとかおかあさまとか焼けないだろうな!」
「焼きもちを焼く」
「なぜ上手いこと言ったのだ?」
「きっとセレナの炎術は焼きもちを焼くために女神様が与えられたスキルなのね! たくさん焼きなさい!」
「嫌だそのスキルクーリングオフするわアイリス」
「セレナも?! なんでみんなスキルをクーリングオフしたがるかなあ?」
「僕も来年はスキルをもらえるんだけどやっぱりあらかじめクーリングオフ検討した方が」
「しないでね? ハスター様、王族までしないでね? オレンジお姉さんさすがに怒って出てきそうだからね?」
その頃、オレンジお姉さんはやはり笑い死にしかかっていたという。この人が神様で良かったよ。
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