パン屋のお仕事
ごろりんことはいったいなんなんでしょうか。魔導の一種かも……。ていうか魔王様が過労死しそうです……。パン屋とは聖剣かなにかの名前なのでは……。
パン屋をやりはじめて長いが最近五百とか千とか単位で買う人が増えてきた。地方の町や村で売ってるらしいのだが問屋みたいなことになっているらしい。正直普通の販売とイートインと問屋は分けたいのだが。忙しすぎるからね。
「サンドイッチ五百個とジャムパン五百個お願いします」
「それ本当に儲けでるの? 湿気たりはしないみたいだけど」
口に含んだら唾液で溶けるんだけどどんな仕組みだろう。
それにこれ謎のシンクロ能力がまだ解明されてないんであんまり広げるとヤバイかもしれない。ボクはヤバイブツを売ってる売人さ。言い方。
「僕一応貴族の末端なんですが貴族でも平民でもルーフィアパン店の商品は大ウケですよ。商売の邪魔にならないように遠くの町で売ってますし! ちなみにマダムと呼ばれてるの僕の母です」
「ああ、うん」
だから広がるのが怖いんだけどな。伝染が止まらない病気みたいになってて怖いんだ? マダムも度々来るよ?
まあ売るんだけど。
「売るんかい」
「こちら新商品になっております」
魔王が売り込みしてるんだけどどうなってるのかな?
「かあさまがここまで天然ボケだとは思わなかった!」
「なんのことだ? 立派に商売していると思うが」
「魔王の商売して?!」
「世界を支配して半分ルーフィアにあげたらいいか?」
「やっぱり魔王の商売しちゃ駄目だ?!」
「リンゴはわがままだな」
「我がボケてるみたいな扱いやめて?」
「まあまあ、クラリスさんも魔王業の息抜きは必要だよ」
結局ツッコミに回るリンゴだった。リンゴが魔王になる話はどうなったの?
「もっと力を身につけてルーフィアの負担を減らしてやりたいのだ」
「有り難いけど今はパンを売ろう。千個単位とか地味にキツいし」
「なんでパン屋してるかなあ……こやつ」
「コップや食器も売りに出したからもはやパン屋かどうかすら分からなくなってきたけどね」
「我も食器を作りまくってレベルアップしておる」
なんなんだろうね、食器を売ってレベルアップって。まあパンよりレベル上がりそうだけど。食器はパンより腐らないからたくさん買われている。なぜ問屋をしているのだろう。謎である。
「ルーフィア、チキンカツサンドちょうだい! あとコーラ!」
「こっちはホットドッグ。マヨネーズ増量」
アイリスとセレナは今日もお客さんしてる。魔王が働いてるのに!
「我はお金を持っていないからしかたない」
「貧乏な魔王って許されるのかな?」
「娘の方が儲けている甲斐性なしの魔王である」
「自慢気に言わない!」
クラリスさんは態度と実力は魔王なのに天然なんだよね。
「これは我が魔王の地位を手に入れるのも必然か」
「リンゴがなんか言ってる。食器売ってなれる魔王ってなに?」
「食器大魔王」
「それっぽく聞こえる?!」
じゃあボクはパン屋救世主で! 救いそう!
「現実に超強いパン屋と食器屋」
「セレナとアイリスもなにか売ったら?」
「火種くらいしか売れない」
「治癒師ならできるわよ」
意外とセレナが役に立たない! まあ発明とかはしてるみたいだけど。特許の権利とかを養父母から取り返して大儲けしてるらしいよ。
「毎日ゴリラ美容してるけど対価って必要かしら?」
「いいんだよ、ミドリちゃんはパンだけ食べれたら幸せなんだ」
「ルーフィアダンジョンってけっこうなブラック企業な気がするわ!」
アイリスたまに正論言うのなんなの。まあボクが一番働いてるけどね。ブラックと言えば真っ黒さ。
「ハンバーガー五百個お願いします!」
「問屋を別に作って定番のサンドイッチやハンバーガーだけ作りためておこうかなぁ……」
「これは本物のブラック企業」
「過労でルーフィアが倒れそうで心配だわ!」
なら手伝ってアイリス? ギルドから派遣された奥さんたちもなんかアンデッドのように仕事してるから。まあお給料は出してるけど。週三休みあげてるし。あ、リアルアンデッドのエリメータさんはなぜか町に溶け込んで仕事してくれてる。死の気配を遮断できるようになったらしい。まあ元は勇者だしねぇ。
ダンジョンの近くに、カエデ村の跡地に問屋を用意することにしよう。魔王様にさばいてもらおうね。一日一万個くらい。
「魔王なのにパンを売り疲れて倒されそうなのだが」
「パン屋死にする魔王なんぞ聞いたことがないぞかあさま」
「我は過労死する魔王」
「わりといそう!」
まあ魔王の歴史上過労死した人はいなかったと思うけど。
「我が第一号だな!」
「生きてかあさま!」
「あとは頼んだ、リンゴ。ぐふっ!」
パンを売り疲れて死んだ魔王とか後世の歴史から抹消されそうだから! 疲労回復ポーションどうぞ!
「なんか、このポーションで誤魔化されながら働いてる方がヤバくないか?」
「精神が死ぬね! でもボクも飲んでるからね!」
社長が一番ブラックな企業はむしろ健全なのでは。
ミーヤちゃんもごろりんこ疲れで目の下にクマができてるけど。ごろりんこ疲れってなに?!
実は一番労働してるのミーヤちゃんだったりする?
「ごろりんこ……」
「ハンバーガーください!」
「ホットドッグ!」
「タラコマヨサンド!」
ミーヤちゃんがごろりんこするたびに注文が殺到するからやめてとも言えない!
「幼女に優しくない店であるな!」
「リンゴも食器を作る合間にごろりんこして!」
「嫌だが?!」
セレナとアイリスもごろりんこすればいいんだ! ただ飯食らいは許しません!
「私、体硬いから難しい」
「私はいくらでもできるわよ! ごろりんこごろりんこ」
「アイリス、パンツ見えてる」
「ぎゃーーー!!」
「我もするべきか?」
「魔王様殉職しちゃうから無理しないで!!」
「わたくしもやりますわ!」
「スージー殿下も王女様なのに黙って仕事してた?! ごろりんこまではやめて?!」
なんかショーみたいになってるからかお客さんしっかり増えるんだよね。ただ前転してるだけなのに。
「はっ、ここはボクもやらなければ!」
「店長が過労死しそうだぞ! 魔王たる我がするか?!」
「かあさまも体調ヤバいからな?! 我が代わりにごろりんこするから!」
「リンゴが犠牲になったら駄目でしょ!」
「ごろりんこ」
「ミーヤちゃんが淡々とごろりんこする!」
お客が増えたからパンを売ろう。だから問屋はダンジョン前カエデ村に建てよう。一人でさばききれないから!
「そして我、魔王クラリスがパン屋死にするわけであるな」
「魔王様なら勇者と戦おうよ! パン屋と戦っちゃ駄目だよ!」
「でもお客がすごく多いな。何千人来てるんだ? 魔王国首都並みなのだが」
ほとんど町の人二万人がお客様だよ! 人口増えてるらしいし! 戦争より忙しいよ! ミーヤちゃんも無理にごろりんこしないで良いからね?!
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