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ザグレートを倒せ!

 ルーフィアがとてつもない力を発揮します。今日は設定だけですがもう一話乗せます。



あ、五十話ですね! 皆さん有り難うございます!



 エリメータさんとザグレートの戦いは続く。走り込んで上段から飛びかかり袈裟に斬る一撃!


「ふん!」


「ぬぐっ、まだまだ!」


 エリメータさんは一撃で相手を仕留めるスタイルだ。溜めが必要なため一対一では苦しい。そうじゃなきゃトカゲに殺されたりしてない。


 ザグレートは確かに理不尽に硬いけど攻撃はトロい。なんか殴ってくれと言ってるようなものだ。大型の亀の魔物が人のサイズになったイメージをすれば当たっているだろうか。硬くて遅い。重戦士タイプ。


 エリメータさんは本来の戦法ではないが、華麗な身のこなしでどんどんザグレートの黒い鎧を削っていく。硬い甲の部分を避けて間接を狙ってはいる。しかし、鎧に自動修復の効果があるらしく回復していく。マジか。スキルの聖盾も発動しているのだろう。硬い!


 重い閃光のような斬り上げ、斬り払い、斬り落とし。全てが有効打になってはいる。しかし。本体にはダメージが入らない。攻撃がまだ軽いのだ。斬れる相手ならそれでも十分であるが。


 本体にダメージが通っていない以上、エリメータさんにこれ以上戦わせても駄目だとボクは判断した。風魔法による加速で一気に城壁の上からザグレートに飛び込み竜骨の入った特別製のメイスを叩きつけた。エネルギーは重さかける速度の二乗。


 ずがっしゃあ、とものすごい音が出たな。地面を削りながらザグレートは百メートルほど飛んだ。中身もミンチになりそうなものだが。


「エリメータさん、退いてくれる?」


「わかり、ました」


 エリメータさんは少し口惜しそうではあったが、さすがに勇者。閃光みたいに退いた。えー、少し協力してくれてもー。潔いいなあ。


 まあ、まあな。このザグレートを伸すにはエリメータさんの技は合っていない。ドラゴンをみじん切りにできそうなくらい今のエリメータさんは強いんだけどね。相性はある、悔しいが。硬い殻に閉じこもるタイプは苦しいだろう。こういうのは打撃系が有効なんだ。


 ボクは城壁を蹴って風を纏い一直線にザグレートにメイスを叩きつけたわけだが、効いていない。効いているがこらえているのかも。だが、それで終わりにするわけがない。


 殴る。殴る。殴る。


 どんな硬い殻に覆われていても中身はそのままだ。殴れば響く。ようするに、打撃系なら硬さなんか意味をなさないんだ。中身は人間にちょっぴり力を加えた精霊人。殺す。


 ザグレートはその斧槍で何度か反撃してくるが鈍重だ。パン屋の方が速い。パン屋の方が速いってなんだ。しかたないな、パン屋だし。超音速パン屋。こわい。


 一刻も速く、その不名誉にして不気味な拘束から、君を解き放つ。殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る!!


「ぐぼあふえはうふあはあっ!!」


「さっさと死ねおらあああッ!!」


「ごふっ、ごぷっ、ごああ」


 血は吐いてるが頑丈だ。この鎧云々じゃなく中身の方もかなり特殊な力を注がれているらしい。……だから?


「おっらあああああああああああああああッ!!」


 殴り続けるだけだが?


「がぶふううううう!!」


 がきん、と、ザグレートの持つ斧槍とボクのメイスが軋み合う。へえ、まあまあ力をつけてきたんだね。無駄だけど。おもいっきり殴り付けると、ボクのレベルだとSランク冒険者がハンバーグの具材になる。しないけど。


 ボクは斧槍ごと一振りでザグレートを二百メートルほど殴り飛ばした。


 子供のお相撲(レスリング)じゃないんだ。さっさとかかってこい。挑発して、向かってきたところでさらに殴り付ける。


「ごばっはああああああああああああッ!!」


「ストライク球打てなかったらヒーロー失格だわ!」


 カキーン、といい音を鳴らしてザグレートを空に飛ばす。満塁弾だろう。四百メートルは飛んだか?


 そろそろ死んでいいくらい殴ったはずなんだけどな。


「ごっ、ぶおおお」


 いやらしい。これ自動回復ついてやがる。……殺すのは簡単なんだよ、ザグレート、もう、アレスみたいに、失わせないでよ。


「きしゃあ、はあああああああッ!!」


 もう、無理なのだ。人間に戻れないところまで押し込まれたのだ。……救いは、ない。くそったれが。


 だったらボクが終わらせてあげるしかない。ボクが終わらせる。


「おっらあ!」


「ぎゃふっ!」


「おっらあ!」


「がががぶっ!?」


「おっらあ!」


 ボクの一振りはクレーターもできる、悠々10トン近い打撃だ。技前もクソもない。前に立てば死ぬ。


「ザグレート、ザグレート、昔こんなことがあったね。ボクがやっと手に入れたバターたっぷりのパンを君が欲しがって。君はアレスのグループだからといってそれをもらうのをことわった」


「がる、がうぶうふぅ……」


「ボクは無理やり君にパンをあげたんだ! 覚えてるか!」


「あぶぼあふ、ふぅ……おぼえてる……」


「君を、これ以上、苦しめてなるものか!」


『ザグレート君! 退きなさい!』


 水を差すように響く声。まだか、まだザグレートを苦しめると言うのか、ブレア。


「ごああああ!」


「行くな! ザグレート! 少しでも心が残ってるんなら!!」


「ず、ずまない、ルーブィア……」


 ザグレートはそれだけ言うと遠くに飛んで逃げた。


「行くなあーーーー!!!」


 ボクはまた、誰かの命の上に、立たなければならないのか。


 ボクは傲慢だ。全ては自分のためにある。なのに、なぜなにも思い通りにならないんだろうね?


 疲れきったボクは、そこで倒れてしまった。


 戦争は幸いにして、そこで終わったのだが。





「ほんとーに、世話の焼ける娘であるな」


 ごめんねリンゴ。


「これが私たちの夫なのだから仕方あるまい」


 魔王の夫になった記憶はない。


「早く目を覚ますのよルーフィア。愛人がいっぱい待ってるわよ? 本妻は私」


「面白いジョーク。本妻は私」


 アイリスとセレナも妻にしたことはない。


「お主たちより我の方が濃厚に繋がっているが?」


「くやぴー! こんなちんちくりんのちんくしゃロリ娘より私の方がぼいーんな美人なのに!」


「ちんくしゃってなんぞ?!」


「あまりさわいじゃ駄目」


 アイリスとリンゴとセレナでトリオの漫才師みたいだよね。


「ええ、ご主人様、少し、目を覚ましかけて、ます」


 エリメータさんは残念ながらテイムした記憶がある。


「愛しております我が王子」


 スージー殿下ボクは王子では絶対ないよ?


「うぉふ!」


「いあ、いあ!」


「うほっほっほっ!」


 なんかロバとスライムとゴリラの鳴き声が聞こえたのでボクは目を覚ました。一言言っていい? 感動のシーンが台無しだよ!!


 まあそれが優しさだったのかも知れないけどね。


『ルーフィア、おはよう!』


 みんなに迎えられるくらいボクは自分の城を築いていたらしい。あたたかいな。返事は大切だよね。


「おはよう」









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