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旅立ちの理由

 応援お願いします! なんでもしますから! アレス辺りが! 裸踊りとか!



 ボクにとってはこの町は悲しいことがたくさんあった。人が多い土地だから摩擦が多いのもわかる。


 たとえばボクは比較的小さいけどグラマラスなんだ。トランジスタグラマーなんだ。


「なぜ二回言った?」


 言い方を変えたから大丈夫。


 うちはけっこうな貧乏なのに。お母さんもお婆ちゃんも餓えた果てに風邪をひいて亡くなってる。……つまりボクに食べ物を回していたんだね。


 お母さんが亡くなった頃にはボクも薬草取りとか始めてて豊かになってきてたんだけど、お母さんは食べてくれなかったんだ。


 お父さんが帰ってこなくて、カエデ村が燃えて、厳しい旅をしてこの町に来たら仕事がなくて、お婆ちゃんが自分の食費とか切り詰めて亡くなって、お母さんもけっこう絶望してたのかな。


 ボクは、今は能天気だから、絶望はしない。不安も感じない。諦めもしない。


 それは一銭の価値もない行為だ。努力や研鑽の方がよっぽど価値がある。止まらないこと、それがボクの生きる方法だったんだ。


 だからきっと少しボクは薄情なんだと思う。二人の思い出よりもそれを失った辛さに耐えられないから、生きるために出ていく。


 それでなぜアイリスやセレナと行かないか。……お婆ちゃんやお母さんみたいにボクのために身を投げる友達なんか絶対に見たくないし、二人は絶対にそれをしてくれる。だからイヤなんだ。


 二人のためになにかするにも、ボクはまだなにもできない。せめて治癒師として強くなるとか、このパンと水のスキルを十分に習熟するかしなければ、ボクはまた誰かの犠牲の上に立ってしまう。


 それは、イヤなんだ。だから一人で旅立つの。


「気にしすぎ。私やアイリスも貴族のクセにおばさんたちになにもしてあげられなかった」


「二人も気にしてくれるのは知ってるけど、お母さんの性格だから完全に拒否したんでしょ?」


「烈火のごとく怒った。うちは乞食じゃないって」


「お母さん怒りすぎ?!」


「不敬にも私は二人を我が子のように愛してるとも言ってくれたけどね。でも、ルーもルーのお母さんもそっくりだね。誰かに甘えるだけなのはイヤ?」


「お母さん愛情深い人だったもんね。みんなが困るのに人に甘えるのは申し訳なさ過ぎていたたまれないよ」


「ふふ、似た者親子。……でも、ルー、私もアイリスも、困ったら全力で救援に行く。嫌がるルーに無理やり美味しいものを詰め込む」


「セレナもアイリス並みの危険思考だよ?! 窒息するからね?!」


 長く友達をしてくれた二人と離れるのは正直辛い。でも迷惑かけたくない、が、上回る。平民でも最下層から脱出できたかどうかのボクに貴族の二人が友達をしている理由なんて本当はないんだ。


 ボクが二人にしたことなんて魔法の失敗で怪我をしたセレナを神父様のところまで背負って行ったとか二人がアレスやバートにいじめられそうになっていたのを前にたってはねのけたとかそれくらいのものだ。命まで救ってもらうというのはもらいすぎだと思う。


 ほら、砂漠でもらった水は人生をかけて返す価値があるって言うじゃない? そこまで助けられるのは申し訳ないよね。


 それにまあ、少し旅をしてみたいのもある。カエデ村までなんて一週間くらいだけどね。最初に旅したのが春の始めだったからキツかったけど、途中で春なのに雪が積もって、お母さんと遊んだのはすごく楽しかった。寒かったけど。


 白銀の景色が本当に綺麗だと思ったんだ。雪国の人にしてみたら毎日一色でつまらないと言うかもしれないけど。


 雪の合間に綺麗な花も咲いてた。あれは梅かな、ボタンかな、お母さんがそう言ってたからボクは花や薬草をいっぱい調べたんだ。コノン町には無料の図書館もあったからね。


 ちょっと昔だと図書館はすごい高いお金を払わないと入れなかったらしい。それだけこの町は発展しているんだね。


 この町に来て初めて見た、錬金術の街灯による夜になお明るい町並みも感動したなあ。うん、やっぱりボクは旅が好きなんだよ。


「少しわかる気がする。私もアイリスと旅ができたらな」


「熱々だね~」


「ん、私もアイリスも一番はルーだけど」


「いや、え? そうね~、え、おう、いや、マジで?!」


「動揺しすぎ」


 二人ともモデル体型の美人さんなのに私のうちの嫁に永久就職はもったいないぜ!


「そこまで言ってない」


「がっかりだよ!?」


「高望みしすぎ! まあ私だけならいい。二人は高望み」


「ハーレム?! ボクもそこまで求めてないよ?!」


 そもそも女の子が女の子のハーレム作ってなにをするんだろう。ナニをする? しないよ?!


「セルフボケツッコミ禁止」


「ナチュラルに心を読むのも禁止だよ?!」


 付き合いが長いから二人はナチュラルにボクの心読んじゃうんだよね~。そういう魔法が貴族にはあったりするのかな?


 あ、衛兵さん来た。説明めんどいから買い出しに行こう。セレナも連れていかないと冤罪で捕まったらかわいそう。


 バートを捕まえないのかって言われるかもしれないけど賢者スキルをもらえた以上バートも王宮に囲われると思う。貴族とか王族は権力で犯罪を揉み消すとか平気でするからね。


 アイリスやセレナみたいな貴族はマレなんだ。平民は逃げるが勝ち。まあそのうち小説みたいなざまぁ展開が待ってるよ。きっと。おそらく。たぶん。メイビー。


「最初はトイレ用品? ねえ、パンと水のスキルで体を洗ったりできる?」


「あ、それできる。魔力いらないから大きい温泉にお湯を張ったりその温度を張ってからコントロールしたりできるみたい」


「なかなかにチート!」


 だからチートなんだって。レジェンドレアなんて名前をもらってるんだから伊達じゃないんだよ。このスキルものすごい欠点があってバランスは取れてるんだけどね。


「まあこのスキルはチート。間違いないんだね」


「応用力高そうでちょっと怖い」


 たとえば熱水を浴びせかけたらたぶんゴブリンとかなら倒せる。空中に水を出せるからワイバーンを溺れさせたりできるかも?


 このスキルの一番ヤバイとこは魔力いらないとこ。水を世界に満たすこともできるかも? やらないけど。


 たぶんそれはできない予感がある。たとえば水を光速で出したりはできないだろう。あくまで視認範囲、一定の物理効果、おそらく想像力基準の能力しか使えないんだと思う。鍛えたらかなりなことができそうだね。


「でも、それを言ったら炎術もたいがいヤバくない?」


「ヤバいと思う。魔力は必要だけど建物だけ灰にするとかできる」


「さすが神様がくれるスキルだよね」


 スキルはみんなすごい。弱っていた人族や魔族を、助けるための女神様の贈り物なのだから。


 でも、余裕のできてきた人類は新聖書を作ったり、よくないことを始めてるんだ。






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