再会した
ボケという名の暴力!
はいはい、今日もウォルイベッドとリンゴ抱き枕で幸せな目覚めをして美容ゴリラのミドリちゃんに色々整えてもらって……ゴリラ?! とか寝ぼけて驚いて朝御飯を出してロバがミンチカレーパンを貪るのを眺めつつスライムに経験値パンを与えてアルラウネのトマサラちゃんにサラダパンをおごってゴブリンと狼たちにハンバーガーでエサを与えて…………。
ボクの生活ってひどくない?!
まあいいや。非常食とライムを連れて今日もパン屋をしに行こう。ウォルイに乗っていくよ。ボクってただの商人、パン屋さんだよねえ?
Sランク冒険者の任務をこなしたり巨人を倒したりキマイラの群に無双したりしたけどやってることはほぼパン屋だよねえ?
「諦めるのだ。お主が人類最強だ」
「あれえ?! なんでそうなっちゃったかなあ?!」
「スムージーの海で溺れたいという乙女の夢を叶えられるんだから素敵であろう」
「リアルにやると凍え死ぬからね?! できるけど! できるけど!」
非常に非情な状況になっちゃうからやらないけどね?! スムージーに溺れ死ぬとか辛そう!
「お肉もスムージーもたっぷり出せるお主のスキルを本当にパンと水と名付けて良かったのか女神に詰問したいのだが」
「無理だけど?! なんでみんな女神様にクーリングオフしたり詰問したりといじめたがるのかなあ?!」
ボクはわりと満足してるから女神様に文句なんかないんだけどなあ。まあ日常が悲惨すぎると神に恨み言を言いたくなるのも分かるんだけど、一日に何千万件も恨み言が届いたら発狂すると思わない? もう人類なんて滅べと思うよね。
神様が救ってくれないからと文句いう権利人間に本当にあるのかなあ?
「なぜ唐突に神学に走ったのだ?」
「日常に飽きてきたのさ」
「みんな日常に暮らしているからな?」
「こんな細かいボケにツッコめるようになったリンゴは間違いなくツッコミ役だよ」
「その職業すごく嫌なのだが?」
ツッコミ役を従えるパン屋という意味の分からない存在のボクは今日も商売するのさ。
午後はまたメルフィーナ子爵とお茶する。メルフィーナさんのスキルって勇者スキルなんだぜ……はぁはぁ……。
「スキルの話になると唐突に変態になるな!」
「失礼な! ボクはいつでも変態さ!」
「力一杯肯定するでない?!」
だって女の子なのに女の子好きだしハーレム目指してるし間違ってないと思うけど?
「非生産的なのだよなあ」
「生産なら毎日してるけど」
「死んだら終わりだがなあ」
「死んだあとのことなんか考えない!」
まあいろんなとこに抵触しそうなのでこの話は終わりね。……女の子を孕ませる水も作れたりするのかな。
「危ないからやめて?!」
「さすがにボクも怖いから!!」
女騎士さんがくっころって言うイメージしちゃったじゃんか!?
はあ、男性客が引いてるから本当にこの話NGね。
今日もサンドイッチ中心にバカバカ売れるなぁ。イートインスペースは家族連れも入ってスムージーとかコーラ飲んでるね。平和すぎる。
「この町下手したらお主ひとりで運営できるのではないか?」
「さすがに鍛冶とかはできないしね~。パンソード。できた」
「万能かっ!?」
その時、とても耳障りのいい声が聞こえてきた。心が暖かくなるのに震えるような不思議な、不思議じゃない声。素敵で大切な声。
「あ、ここ、ここ、噂のパン屋さん。絶対ルーフィアのお店よ!」
「なにその謎の勘。まあ私も調べるならここだと思った」
ここでモアリースト司教ともチェルシーさんともお別れかあ。
そんなことを言う二つの声。ボクが待っていた声。
「アイリス、セレナ……」
「「ルーフィア!」」
ボクの大切な人たち。やっとまた会えたね。
「なにこのホットドッグ美味しい!」
「もっとこのソルティドッグ飲みたい」
「うむ、いい店だな」
「ほほほ、これはこの町から離れられなくなりそうですなあ」
なんかピンク色の冒険者さんと司教とかいう高位の聖職者の人もついてきた。なんなの? まあいくらでもパンもお酒も出すけどセレナすごい飲んべえになったのね!?
「つまり四人で治癒師したり魔物倒したりして人気取りの旅をしていたんだね」
「言い方」
「ああ、すごく安心するセレナのツッコミ」
ちなみにこの四人と話しながらもボクはパンを出しまくっている。営業は孤児院のみんなと商業ギルドからの派遣組がせっせと切り盛りしている。お給料限界まで増やそうかな?
まあボクが儲けないと経済的にはおかしくなってしまうらしい。儲けるのを嫌う人は普通はいないけどね、ボクはスローライフしたいんだ?
「やっぱりルーが町の中心人物になってた」
「当たり前よ! 私たちのルーフィアは愛されるために生まれてきた愛の人よ!」
「いや、それはないから」
ほら、アイリスがいたらボクはツッコミになるんだ。延々ボケるアイリス。なぜボケるのか、セレナによるとこれが色ボケというものらしい。
「我がツッコんでも良いものか」
「むしろお願いします」
「なにこの可愛い子! 浮気ね! 私も混ぜるのよ!」
「本気だったことがあるように言うではないか!」
「私はいつでも本気よ! ああ、世界の始まりから繋がってる私の魂の恋人! その名はルーフィア!」
「変人だ?! しかも壮大だ?!」
ボクはひたすらにお客様のためにパンを出すだけだ。イートインスペースのお客様みんながこっちを興味津々に覗いてくる。
やめろ、修羅場とか言うな!?
二人と出会えて嬉しい気持ちとツッコミやボケに三倍くらい忙しくなって辛い気持ちがせめぎあってるよお?!
「燃やす?」
「なにを?!」
「小宇宙とか?」
「危ないよ?!」
「……お主がツッコミ体質に見えるだと?!」
「そういう二人なんだよお! 愛しい友達だけれども!!」
「愛が深いのだな~」
助けてくれよパートナー。ツッコミは最近君の仕事だったろう?
これ、いや、ヤバい、この四人連れて代官屋敷訪れたら……。
「ボケが一人増えるだけである。なにも恐れることはない!」
「嫌だああっ! ボクもボケるんだあ!」
「我の負担考えような?!」
リンゴひとりで四人のボケは受け止めきれないと思うのでついてきた司教さんとSランク冒険者さんもツッコミに回ってもらえませんかね?
「リンゴパイ美味いな」
「私はチーズミートパイが好きですな」
「すかされたー!!」
「血管切れるぞ。というか本当にツッコミ体質になったな?!」
「愛深き故にね!」
「アイリスだけに」
「ダメだこの二人ルーフィアを殺しに来てる」
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