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黒髪の男

 今日の投稿してなかったかも!



 結局始まってしまった運命なのだと思う。ボクのダンジョンに魔物を大量に連れた男が襲ってきたんだ。


 その日は定休日で良かった。籠城……もし開店を怠ったらランシンの町ぐるみで攻めてきそうだからやめてほしい。このスキルのなにがヤバいってこの洗脳とか魅了に近い効果なんだ。誰にも被害はないけど。


 みんなに愛されてると喜ぼう。それは置いといて。


「ねえ、なんでボクんちに攻めてきたの?」


「貴様が強いからだ」


「よく分かんないね? 殴って泣かせたら帰ってくれるかな?」


「俺の自由のために、己の強さを確かめる」


「それボケかな? そんなうすらぼんやりしたボケにまではツッコめないよ?」


「……」


 黙ったね。ボケではなさそうだ。どちらにしろゴブたちを苦しめてるようなので追い返すけど。例の変なキマイラを大量に引き連れてきた黒髪の男と戦う。君と同じで自由のために、ね。


 スローライフしたいのに戦闘ばっかりだよ。ホントやめてほしい。デンジャラス放水、今日はコーラです。


「水のスキル対策はしてきたつもりだ」


 ん、結界か。確かにそれが一番だけど、もし魔力不使用のスキルでなかったらボクのスキル無限に降り注ぐから耐えられやしないよ? キマイラはほとんど溺れて死んだ。


 スキルランクが上がったせいか0度から100度までの熱なら調整し放題になったし、本気で地獄を見せに行ったらこんなものじゃないんだよなぁ。ちなみに酸素のない水って魚も溺れるんだよ。知ってた?


 ボクは戦うつもりないんだけど、家族を襲われたら許さない。死ぬより辛い責め苦を味わわせるよ。さあおいで。ボクは優しいからね。マスタードまみれにするだけさ。


 上がりまくったレベルがあるから戦えるかも。全く出番のないメイスを構えて、走って、振る。やってみた。


 吹き飛んだ黒髪の男。


「がはあっ!?」


 ……ボクレベルだけならSランク冒険者が逃げ出すくらい高くなってるんだよね。実戦経験がほぼスキル頼みだから弱いと思ってたんだけど、普通に能力が暴力だわ。思い切りスイングしたら竜巻発生したもん。ヤバくない?


 ちょっと森の生木が吹き飛んで開拓しちゃった。こわっ。


「お主なにげに世界最強に差し掛かってないか?」


「リンゴには勝てないと思うけど?」


「レベルの上がり方がお主半端じゃないからな。パンを出すだけでレベル上がるのに魔力不使用とか、絶対スキルが平等とか嘘なのだ」


「まあ基本的には平等なんだと思うよ? リンゴに生き埋めにされたら即死だし」


「……突破されそうな気がするが?」


「あー、自分中心に放水したら行けるかも」


「俺を無視して話をするな」


「あ、いたの?」


 けっこう強めに吹き飛ばしたけど案外平気だね。スキルかな?


「やはり貴様は強いな。巨人を物ともせず殺しただけはある」


「基本的に生物には負けないと思うな。ゴーレムとか持ってきたらいいよ。削るけど」


「高圧の濁った水で鋼でも叩き斬るものな、さすがに魔力を使うが」


「制限が本当になかったら世界滅ぼせるからなぁ」


 威力や0~100からはみ出す熱量には魔力がかかる。それもスキルがSランクになったのでかなり軽減されている。


 ポーションどころかエリクサー出せるようになっちゃったよ。ボクの周りで死んだ人も死んだゴブもいないよ。ボクヤバくない?


 ぬるいゲームだよ。あんまり怒りも感じなくなってきた。だってみんな弱いんだもの。


 相性とかあるからセレナやアイリスには勝てない気がするけどね。これ戦闘スキルじゃないもの。リンゴにも勝てないと思うんだけどなあ。ボクから攻めても城塞を一瞬で作って防御されるだろうし。


 非常食に勝てなくなってる気がするんだけどそれは置いとこう。あの子突進しかできないし。


 まあつまりだ、ボクに勝つにはこの黒髪の男、戦力がまるで足りていない。


「泣きそうになるな。俺はこれほどに弱いのか」


「自由を獲得するならなにも戦争しなくていいんじゃないかな?」


「自由から遠い行為の気がするが実は戦争も自由なのかもな」


「自由じゃないよ、身勝手だ。他人の自由を制限する自由なんて無いよ」


 なのでボクは自分の自由を守るために戦うよ。


「さあおいで。もう一発殴ってあげる」


「く、くそ。なぜ俺はこれほどまでに弱い!」


「お主が弱いというかルーフィアが強すぎるというか」


「お三人様、お茶の準備が整いましたのじゃ。ルーフィア様ほどではありませんが一服なさってはどうですかな?」


「有り難うムバウ婆ちゃん」


「……敗者は大人しく従おう」


「お主の組織のことも聞くぞ」


 うーん、話を聞いたら味方をしたくなったりするから嫌なんだよねえ。ボクは愛に溢れてるからさ!


「今までで一番面白いボケだ」


「ボケてないが?」


「ホントだボケてない!」


「そのセリフがボケに聞こえるのはボクだけかなあ?!」


 とにかく、兵隊のキマイラが全部死んだ以上、戦争は終わった。三十分もかからなかったな。ゴリラのミドリちゃんが毛並みを整える時間もなかったね。


 ミドリちゃん今日もビューティフル!


「我々の組織は統一されたものではない。それぞれの目的が最終的にニターナ王国の破壊であったため結び付いている」


「ふんふん」


「あのキマイラはある錬金術師が作ったものだ。そやつとエルフの神官がこの計画の中心にある。エルフの神官の目的は原典への回帰だが錬金術師の目的は神への挑戦」


「……ねえリンゴ。なんかこの組織敵対することなくない?」


「うむ、原典派であるな」


「原典派でも神への挑戦は別に否定されてないか。女神カリン様は人と魔族を憐れんでスキルをくださったけれど、それは世界に抵抗する力をくれたってことだから解釈は分かれるけど神への挑戦も否定はしていない」


「お主原典やスキルの話になると学者並みに詳しいな!?」


「俺が望むものも自由のみ。しかし、力なく今囚われているように俺には力が足りない。力が必要だ」


「いいんじゃない? ボクの家族を殺してたら殺したけど、幸いみんな怪我だけだし、エリクサー使い放題だから意味ないし」


「スキルが平等という原典の記述が怪しく思えてきたのだが……」


「それは違うね。ボクがスキルを鍛えすぎてるんだ。毎日地獄のようにパンスキルを使ってるからね。町の人だけじゃなく魔物たちも毎日お腹一杯食べてる」


「戦闘スキルとは違うのに、だからこそ鍛えられる、つまりスキルは平等という線は超えていないと言うことか」


「そうだと思うよ? さて、お茶したくなったらまたおいで。ボクだけならいくらでも戦ってあげる」


「いいのか、敵対者を簡単に逃がして」


「ボクはそんなに弱くないから」


「……強い。強いな」


 こうして少しもめたけれど、クロカミと名乗った男は帰った。また戦闘になりそうだけれど、ボクには負けるつもりがない。それもまたいいと思ってしまったんだ。






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