ロバがヤバすぎる
魔物の群が押し寄せる恐怖のスタンピード!
なんでボケに聞こえるかなぁ……。
スタンピードが始まった。この辺りの土地柄なのか現れたのはコボルトやウェアウルフなどの亜人系の魔物である。
「つまらぬ。芸がないことだな」
「なにキャラだお主は」
ボクのセリフはだいたい無軌道だ。門扉は閉められすでに帰ることはままならぬ。我らは城壁より敵を見下ろしていた。その表情はこれから起こる凄惨な戦いを憂いてかひたすらに悲しげである。決してプレイではない。
「しまらんやつだなー」
「いや、さすがにボクのキャラじゃなかった」
冒険者たちは城壁の上から投石を始めた。バリスタだの投石機だのそんな洒落たものは置いてない。絶望が押し寄せようとしていた。なんか芋虫の魔物とかもいてキモい。
「危機感な? 持とうな?」
「うーん、案外なんとかなりそうじゃない?」
まずは熱湯辛子漬けにしてやろう。辛子の臭いえげつないな。味方も全員泣いている。目に来るよね。
「もうちょっとこう、味方にダメージ少ない技ないか? そもそも輜重役がなんで前線に立っておるのだ?」
「いや、ボクらってこういう上からいろいろ浴びせて戦うの得意じゃん? 弓矢とか揃ってないんだからスキルでできることをしないとじゃない?」
「正論なのになんでそこはかとないボケ臭がするんだろうな?」
「辛子の臭いじゃなくて?」
「ああ、戦いすらボケになってきた」
「二人とも、良い戦果だな」
「メルフィーナ子爵、前線に来ちゃったよ」
「まあ代官でしかないから前線で指揮を取る必要はあるしな」
「くそ、正論か」
「私のスキルは勇者スキルの神雷術だったりする」
「凄い良いスキルだなメルフィーナ子爵!」
リンゴのツッコミが激しくてなんも言えなくなっていたがメルフィーナ子爵本当に凄いスキルだ?!
スキル愛を拗らせたボクに聞かせてはならないくらい一級品のスキルだよ?!
「まあだから子爵位維持だし前線に配置されたわけなのだが」
「子爵って結構な身分だとは思ったがそんな事情があったのか」
「ドラゴンを倒したこともあるしな」
「代官なのにドラゴンキラーって凄いな?!」
ドラゴンを倒せる兵がいるわけないとか言ってたけどいたよ!
「なのでハンバーガーをおくれ」
「テーブルを我が作ってやろう」
「ハンバーガーとシェイクを盛ってやろう!」
ハンバーガーが山盛りに。いや、ハンバーガー作りすぎじゃない?!
ジャムパンも作ろう。
「ジャムパンも美味いな」
「なんでのんびり食ってんのメルフィーナ子爵?!」
焦っても戦況は覆らないしね。神雷術威力すごすぎてすでに千匹くらい魔物焼いてるんだけど? ボクも熱湯無限地獄でだいぶ倒したけど。ちなみにリンゴも岩石落としたり槍の雨で突いたりめちゃくちゃ戦果あげてるのに僕ら二人のボケにまでツッコミいれてる。むちゃくちゃハードワークじゃない?!
「ならボケるでない! 敵を倒せ!」
「チーズバーガーも美味いな」
「新しいハンバーガーを出すでない! そして食うでない!」
「トマトとレタスとベーコンのハンバーガーも出そう」
「BLTというやつだな。美味いな」
「出すなよ食うなよ戦えよつかめちゃくちゃ健啖家だなメルフィーナ子爵!」
ちなみにボクのシンクロで味方の魔物たちも敵のバックボーンを狙って攻めている。
非常食が敵をはね飛ばしミドリちゃんが敵を投石するように投げまくりトマサラちゃんが敵をくびり殺しムバウ婆ちゃんが精霊を使って敵を焼いたり水に沈めたり大活躍している。
特に非常食が日頃のストレスをぶつけてやるとばかりに暴れ狂ってる。なにあれちょーつえー。そんなに嫌なら改名しようよ。
「いや名前のストレスであんなに暴れんだろ。ロバつええな」
「ふむ、味方に魔物がいるのは心強いものだな、ロバは魔物だったかな?」
「普通の動物だよメルフィーナ子爵。確かにあのロバおかしい強さだけどな?」
いやー、しかしスタンピードって際限なく魔物が湧くね。十万とかの規模だよ? 冒険者たちも余力を残して戦ってるけど、まあスタンピードは一日二日で終わるものじゃないらしいからね、ボクがホットドッグをおごってやろう。
ロバがホットドッグ食ってるけど神のスキルだから問題はない。つかこのロバは城壁十メートルあるのに簡単に登ってきたな。
もともと高所にも強い動物だけどレベル上がりすぎじゃない? 非常食に非常食にされそうだよ。名前改名したい。
メルフィーナ子爵に仕えてるペリテー伯爵から派遣された騎士たちも出陣した。強い。普通に槍で魔物をビシバシ殴り飛ばしてる。ビシバシビシバシ。さすがナイトは格が違った。ジュースをおごってやろう。
なんかナイトもボクのパンとお酒でジャンキーになってた。じゃなくてファンになってた。
「は、はんばーがー!」
「びいるー!」
「しーどるー!」
「おいこいつら本当にジャンキーだぞ?!」
「冗談じゃないぜ?」
「本当に冗談じゃ済まないからな?!」
スキルランクがAになってからシンクロ能力も高くなったんだよ。ボクのせいじゃない! ボクに似てしまってちょっと冗談を言いやすくなってるだけさ。
「やはりお主のせいか!」
「あれえ?」
リンゴのツッコミが正論に思えてきた。ドライフルーツパンをおごってやろう。
「美味いな。って誤魔化されんぞ! ナイトたち大丈夫?!」
「一時的にバーサクしてるだけだから大丈夫だよ。ボクはスキルには詳しいんだ!」
「お主の発言全体的に信用ならないんだが?!」
「どんどん敵が倒れているのだから良いのではないか?」
「メルフィーナ子爵自分のとこのナイトだから心配してやって?!」
「あ、非常食が味方跳ねた」
「あのロバもジャンキーになってない?!」
コントロールは不能だね。まあ強いから良いけど。良くないか。まあ一時的だよきっと。
「確信持てないのかよ!?」
「大丈夫だよ。ほら、迎え酒ってあるじゃん」
「それ中毒が進んでダメなやつぅ!」
「リンゴもツッコミが中毒になってるよ」
「はっ?! ヤバい治して?」
「もはや手遅れ」
「諦めんな! きっとなんとかなる!」
ツッコミ中毒はやめられないんだよねえ。まあそれはそれとして。
「ゴリラもロバも強いなあ」
「そういえば普通の動物とか言ってたがスキルもあるし普通の動物っていない気がしてきたな」
まあ非常食も今やユニーク種族だから普通の動物じゃないよね。ミドリちゃんも明らかに普通の動物じゃないし。ひょっとして普通の動物なんてファンタジー生物なのかも知れないよ?
「魔物がファンタジー生物だろ! いや現実にいるからファンタジー生物じゃないや?!」
とりあえずリンゴがツッコミ疲れて可哀想だったけどこの戦いは一週間ほど続くことになった。
「救いはないの?!」
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