スタンピード
コント:スタンピード
この町の近くにダンジョンがあるらしい。知らなかった。ちなみにもうすぐスタンピードが起こるそうだ。メルフィーナ子爵様、対策打ってないの?
ちなみになぜかボクたちはメルフィーナ子爵様の茶飲み友達になっている。ハンバーガーとバニラスムージーがお土産だ。大変喜ばれている。
「いや、地方領主が大人数の騎士団とか持ってたら反逆を疑われるからな?」
リンゴはそう言うがお金があれば兵隊を養えるのではないかな?
「ハンバーガー三十個置いていってやろう」
「その程度で大規模な騎士団維持できないからな?」
「リンゴは厳しいなあ」
「普通に無理だからな? ハンバーガー三十個で騎士団維持できないからな?」
「三千万個出したらどうだろう」
「余裕で騎士団維持できそうな提案すんな。あとそれお主が死ぬやつ。だから反逆を疑われるから地方領主が大きな武力持てないのだよ。しかもメルフィーナ子爵は代官でしかないから税金は寄親の伯爵が持っていって本人はお給料暮らしだからな? 安くはないだろうが騎士団なんて持てないから。ここの騎士もペリテー伯爵の騎士でメルフィーナ子爵とは同僚だけど爵位負けてるから仕えてる形だ!」
「長ゼリフ疲れない?」
「疲れる」
そこでメルフィーナ子爵はやっと意見を言う。この人威厳ないな!
「うちは辺境だから寄親の派遣という形である程度私兵団は持てたりする」
「持てよヘボ領主! ああ、代官だった」
「代官に直属の私兵団なんか持てないな。衛兵はいてくれるが」
なんかメルフィーナ子爵悲壮感に溢れてるな?
「治安維持のために持てよ!」
「リンゴはツッコミが厳しいなあ」
「お主がいつの間にかボケ路線に移ったから我がツッコミするしかなくなったんじゃろがい!?」
「つっこまなくていいよ。そう、スルーすれば!」
「スルーしたらどこまでもボケ続けるじゃろがい!! 無軌道に延々とボケ続けるだろうが! しかも二人して!」
「まあそれでな、お主らに兵糧を頼もうかと思う。戦力は冒険者ギルドに任せてあるのでな」
「いや、さんざんツッコんだ上でなんだが地方の代官って本当に大変だな」
「胃に穴が開く代官も多いんだ。下手なことしたら簡単に物理的に首を飛ばされるからな」
「物語に良くいる悪代官は現実には少ないのだな。前公爵のご隠居が旅をしてあちこちの悪代官を懲らしめるような話は実際にはないんだろうな」
「悪代官はなかなかいないと思うが。領主ほど権力も金もないから不正したところでたかが知れているし、王の直轄領の代官は大抵王の身内で不正する意味がないし不正したらそれで首をはねられるし」
愚痴が多いね、まあ代官は大変なんだろうなあ。
「ハンバーガー置いてくね」
「テーブルがハンバーガーで埋まってしまったんだが」
「紅茶も出すよ」
「いや、食えんからなこんなに大量に」
「うちのスライムならペロリだよ?」
「モンスターと一緒にするな?」
「流れるようにボケとツッコミを繰り返すでない。あと机からはみ出したハンバーガーは部下にでもくれてやれ」
「浮気はしないから安心して」
「どこに安心する要素があるんだろうなぁ……」
ボクはもうボケ路線を走るよ。安心だね。なにが安心かは分からないけど。ハンバーガーもっと盛っておこう。
まあそれどころじゃないんだけど。スタンピードってヤバくない?!
「反応おせえ!?」
「このハンバーガー美味いな」
「食ってる場合かメルフィーナ子爵!?」
「出されたものは食べないと悪いかなって」
「軽すぎるだろ! いっそこの子爵好きになってきた!」
「浮気? ひどい」
「本気になった試しがないが?!」
遊びだったのね、とかボケ続けても話が進まないから切ろう。まあボクが振ったんだけど。あとハンバーガーもっと盛っとこう。兵士にでもあげると良い。
「どんだけ盛るんじゃい!?」
「兵糧はいくらでも出すけどスタンピード本当に抑えられるの?」
「十年前にカエデ村でゴブリンスタンピードがあったろう」
「当事者だよ」
「それは済まなかった、が分かったろう。派遣するほど騎士も衛兵もいないのだ。不正とか怠けていたとかではない、兵がいない」
「現実って残酷なんだねえ。ハンバーガーさらに盛っておこう」
「ハンバーガーで前が見えない」
開拓村が魔物に襲われるのはよくある話でしかないからね。大熊に滅ぼされた村の話とかドラゴンに焼かれた村の話とか毎年のように聞くし。スタンピードで潰れた町の話もよくある話。
そう、よくある話なんだ。だいたいこんな田舎にドラゴンを倒せる兵がいるわけない。領主に応援を打診しても帰ってくる時には町は滅びるだろう。
……しばらくダンジョンには帰れないかな。
「全力で味方する気だな」
「ボクは人嫌いなんだ。生き残ってせいぜいしょっぱくて苦しい人生を歩むが良いさ」
「嫌いすぎでないか?!」
だから命だけは助けるんだよ。幸せを感じたならそれはそれで良いけど。生き残ったらハンバーガーパーティーくらいしてやるさ。さらにハンバーガーを盛るさ。
「むしろ愛が深すぎではないか? ハンバーガーで室内埋める気か?」
「メルフィーナ子爵にはこれが愛に見えるのか」
「ボクの愛の深さはとどまるところを知らない! ハンバーガーもとどまるところを知らない!」
「すごい不安になったが?!」
リンゴはボケすぎだよー。ボクがじんるいをあいさないりゆうがないさー。
「お主それ全力で不安にさせにきてるだろすごいなお主は愛を語る言葉でここまで不安になったの初めてだわ!? あとハンバーガーさすがに多すぎる!!」
「ノンブレスでツッコミとは、やるな! ハンバーガー追加!」
「頼むから不安になるボケはやめてくれ!? 埋まっちゃう?!」
ボクがボケるとやっぱり反則になっちゃうな。人生がボケそのものだもの。スキルがパンと水ってそこからボケる必要ないんじゃないかな?
「神の与えたスキルをボケ扱いするな! スキルへの愛はどこにいった!」
「ボクは気づいたんだ。スキルを愛するなんて不毛だなって」
「事実だがお主がいうな!?」
「まあスキル大好きなのは変わらないんだろうな。永遠の愛を誓うわ」
「それはそれで重すぎるからな?!」
「それでそろそろスタンピードの話に戻って良いだろうか。ハンバーガー邪魔だから部下に持っていかせていいだろうか」
「どうでも良いコントしてごめんなさい!! ハンバーガーも邪魔だからどけて良いよ?!」
「もう、リンゴは仕方ないなあ」
「仕方ないのはお主! なおボケ続けようとするでない?!」
「衛兵、ハンバーガー支給されたぞ」
「ハッ! うわあ、みんな喜びますよ!」
「持って下がれ。一人じゃ無理だから十人くらいで」
~ハンバーガーがはけるまでお待ちください~
「まあスタンピード対策は冒険者頼みなのだが、最近この町の冒険者は増えているのだよ。お主たちのパンの力はそれほどだと言うことだな。ちなみにお茶とかスムージーとかハンバーガーを持ってきてくれるからいつでも代官屋敷に来て良いからな」
「まともな話をしてきたと思ったら欲望駄々漏れではないか!」
「まともな精神ならそうなるよね~」
「ルーフィアの語るまともがまともなはずがない!」
「ひどくない?!」
「ハンバーガー美味い」
「食ってんじゃねえメルフィーナ子爵!?」
「スタンピードの話を」
「ボケ散らかして済みません!!」
「もう、仕方がない子だなリンゴは」
「仕方ないのはお主! お主が一番にボケておるからな?! それでスタンピード対策は?!」
「軌道修正しちゃうの? もっとボケようよ」
「なんでそっちが正しいみたいに言っちゃったの?!」
「それでスタンピードの話なのだが」
「まともな話がボケに聞こえる?!」
結局スタンピード対策として取れる策は冒険者に頼ることだけだった。ボクたちは兵糧を補給することだけ約束をした。リンゴのせいでなかなかお話が進まなかったよ。
「だいたいお主のせいだからな?!」
「ハンバーガーうまい」
「帰らせてもらうわ!」
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