ボクのスキル
こう来ると思わんかった! と思われていそう。皆さんの応援を待ってます!
三人でわちゃわちゃしながら教会についた。早く出てきたつもりだったけど、もうほとんどの同年代の子供は集まっている。このスキル授与の日からボクらも大人の仲間入りだけどね。
とりあえず今のステータスを見ておこう。
名前 ルーフィア 種族 人族 性別 女 年齢 15
レベル 5
HP 35/35
MP 18/22
職業傾向 治癒師
現職 薬草取り
神授スキル なし
一般スキル 薬草鑑定 人望 種族スキル(人族)
称号 聖書原典オタク スキルオタク 本好き 薬草鑑定士
うん、見事になんにもないね。これから神様のスキルはもらえるけど、回復魔法覚えて治癒師になったらお金稼げそう。魔法はスキルによらず覚えられるんだよね。スキルの方が何倍も強いけど。性別は一応女だね。変わったら困るけど。
あ、一般スキルは誰でも取れるんだよ。修行は必要だけど。
人望? なくない? 薬草はステータス鑑定できるようになった。毒キノコを除いて美味しいキノコだけ選べるボクの最強スキルさ! キノコ好きでもないけど。山菜はまあまあ。果物はまだ鑑定できないね。
種族スキルの人族は、能力成長加速、器用、繁殖力中、とかとか。器用とかは個人差あるよね。一般スキルも努力が必要なんだなぁ。
称号は……うん、オタクですまんね。見事にオタクだよ。
魔力は生活魔法で顔を洗ったりスープを温めるのに少し使った。生活魔法は誰でも使える着火とか水出しとかの魔法だ。魔力は十分もすればこれくらいは回復する。
職業スキルもこの年で初めて分かる。神授スキルをもらったらついでに治癒術の本も買わないとね。でもレベル上げとか大変そうだなあ、治癒師。スキルが攻撃系ならいいんだけど。なにをもらえるのかなぁ。
最初にスキルをもらいに並んでるのは昔ボクをいじめてたアレスだ。性格は最低だけどイケメンだ。アイリスに言わせるとドスケベ自惚れ鳥頭らしい。アイリスは口が悪い。
二番目と三番目に並んでるのは取り巻きのバートとザグレート。バートは狐目陰険ヒョロガリモヤシ(アイリス談)でザグレートは猪筋肉ダルマ馬鹿(アイリス談)だ。うん、アイリス言いすぎ。
特に三人に興味はないけどスキルは気になるので見ておこう。あ、目が合った。うげえ。なんか髪をかきあげてアピールしてきてウザい。なぜかちんくしゃな男女のボクにまで色目を使ってくる。確かにキモい。
「キモい、こっち見んな無能ドスケベハゲかけ自惚れ痴漢鳥頭だんご虫」
「アイリス厳しすぎない?!」
「言いたりないくらいよ!」
「茶髪にペリドット色の目の総じて地味カラーのクセにイケメン気取っててキモい」
「セレナもひどいね?! あ、スキルもらえたみたいだよ?」
他人のスキルでもワクワクするね。神様の奇跡だもん。昔からスキル関連の本ばかり読んでたんだよね。あんな予言めいたことを言われたら当然だけど。
神父様が額に手をかざすと天井から光が降ってきた。これがスキル授与の奇跡だ。授かってるのがアレスなのが微妙だけど感動する。
この町、コノンはこの国、ニターナ王国でも小さな町だけど貴族の家もいくつかあるし、周辺の町からも人が集まってて、十人くらいが並んでいる。サクサク進めていかないとお昼を過ぎちゃうからね。
「スキル、聖剣解放! 勇者スキル!」
「よっしゃああああッ!」
ええ~。聖剣解放って勇者スキルじゃん。なんでアレスなの? 確かにスキルは人格では決まらないけど、さすがにないわ。
「鳥頭のクセに当たりスキルとか生意気ね!」
「スキルはみんな平等だってば」
「じゃあ名前だけで使えないスキルなのかしら?」
「その可能性はあるんじゃない? 聖剣が無かったら使えないとか」
「そうね。きっと芋のような聖剣をふるって自信満々でオーガに突っ込んでいって殴り殺される運命なんだわ」
「アイリスひどくない?! しかもなんか具体的! 芋のような聖剣ってなに?!」
「次はバート」
「お主のスキルは自然術! 賢者のスキルである!」
またー。神様もうちょっとスキル与える相手考えようよ~。言っても仕方ないけど~。ザグレートもいいスキルかな?
「スキル、聖盾! 聖騎士のスキルだ!」
「女神様調子悪いのかしら。きっと朝起きてすぐタンスの角に足の小指をぶつけて痛みで屈んだ拍子に角で頭を打って反動で後ろに転がったらテーブルに後頭部をぶつけたんだわ!」
「女神様すごい災難だね?!」
「女神様はきっとサイコロでスキル決めてる」
「女神様はサイコロ振らないとおもうよ?! 偉い魔導師様も言ってたよ?!」
でも本当にランダムに決まってるんだなぁ。スキルに貴賤はないって言うけど名前は貴賤があるよねえ。
あ、アレスたちどや顔だ。キモ。
「次は私ね。神スキルゲットしてあいつらに神罰下せないかしら。タンスの角に小指をぶつけ続ける呪いでもいいわ」
「動機が不純だよ?! しかもショボいよ?! 女神様そのスキル使われた?!」
「スキル、聖術! 聖女のスキルである!」
「うへえガッカリ」
「かなり当たりのスキルだと思うよ?!」
「せめて消えない炭で顔に落書きできるスキルならよかったのに」
「ショボいよ?!」
「次、私」
「セレナ、頑張ってね!」
「頑張ってもスキルは変わらない」
「そうだけどね!?」
「スキル、炎術!」
ほえ、炎術? 炎魔法なら普通にあるから専門のなにかすごい効果があるとは聞いたことある。水術使いのお風呂屋さんとか聖水売りとかもあるし。戦闘も強いし銭湯もできる、なんて。ボクがそう思っているとアレスたちが笑いだした。
「ショボッ! 炎術なんてバートの自然術の劣化版じゃねーか、無能だな!」
「ただの炎なんて魔法で出せるっつーの!」
「く、クズスキルなんだな、な。しんぱいしなくてもオレがヨメにもらってやるんだな、な?」
「……」
うーん、たぶんそんなスキルはないと思う。それならスキルが平等って嘘になるし。オレンジのお姉さんはそんなこと言ってなかったし聖書の原典にもそう書いてある。あとザグレートんちのヨメなんか誰がなるか。セレナもアイリスも。
「セレナ、それって実はすごいスキルだったりする? 使い方ってスキルをもらったら分かるはずだよね?」
「ええ、これ、すごい」
「やっぱり!」
「炎術:心炎」
セレナがいきなりボクに術を使う。すると途端に心が熱くなり体も軽くなった。炎の術なのに回復にも使えるの? すごいスキルだ!
「普通に炎の魔術も威力が何倍にもなるらしい」
「魔女の格好してるから女神様が気を使ったのかな?」
「お気に入り」
「良かったわねセレナ!」
いまだに笑ってる男どもは無視してボクとアイリスはセレナをほめまくった。ちなみにスキルは女神様がくれるものなので馬鹿にすると……ほら、神父様が怒ってにらみつけてる。バカたちは気づいてない。
さて、無視無視スルーしてボクの番だよ。特殊なスキルってどんなのかな?
「君が最後かね?」
「えーと、そうみたいですね。よろしくお願いします!」
「では、こちらに」
神父様の前にいくと、みんなと同じように額に手をかざされる。さて、どんなスキルをもらえるのかな?
「スキル、え? これは……」
「え、え、なんですか?」
変な切り方をされると怖いんですけど? オレンジお姉さんの言ったとおり変なスキルなの?
「スキル、パンと水!」
「はい?」
思わず失礼な返し方しちゃったよ。それってスキルなの? ボクのスキルはパンと水?!
それを聞いて男たちは不遇スキルだと笑い出す。アイリスとセレナも目を丸くしているよ。
でもボクの頭の中にはこのスキルの使い方が入ってくる。これ、すごいスキルだよ?
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