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神様は見ている

 神様のようだと思ってもらえることを、祈ります。


 いや、ガチではまったなこれ。



 この世界を作ったのは私ではない。夢を追い求める人々の心が、この世界の魔力に反応して、世界は、構築された。まあ狭い世界でしかないが、それを世界の大きさに広げるのが私の役目だ。


 私はカリン。え、誰だって? 泣いていいか?


 通称は、オレンジお姉さん。なんでみんな「ああっ」て言った? ガチ泣きするぞ?


 飢えに苦しむような世界を作ったと私を責めるものもいよう。それは許される。この世界は地獄の一つなのでな。責められぬような清廉なものもいると思うだろうが、それはこの世界での話だ。罪は償ってもらわねばならぬ。


 清く淀みもなく罪もない魂など、存在せぬ。


 さて、では、地獄と考えてみよ。この世界はなんと優しいことか。


 各々を煉獄に導くは我のせいか? そう、己れらの望みが導いたことである。よって、世界はならされる。


 人の意地汚さ、強欲、暴食、色欲、嫉妬、怠惰、怒り、傲慢によって、戦いは起こる。それを我は否定せぬ。


 それらは愛の形でもあるからだ。


 ただ、それゆえに他者を痛めつける者を我は許しはせぬ。


 しかしな、おかしな話かもしれぬが、そやつらはいずれ苦しむのだ。永劫の地獄の釜に放り込んでやらずともな。まあ幾人かは放り込む。


 人はわりと、心を持っているのだ、皆。


 なので我は見守るだけなのだ。我は人形で遊びたいわけではないのだ。命あり、輝き、その美しいものたちを見ていたいのだ。ただ、それだけ。


 ルーフィアたちが苦しみ、恐れ、楽しみ、躍り、食らい、鬩ぎ合い、憤り、立ち上がる、そんなこの世界を見て、眺めて、そこで生きているものの強さに共感してくれるなら、我の心もなだむというもの。


 神というのも難儀なもので、宇宙全てを管理しているどころか数多の宇宙を管理しているものでな、心痛を少しばかり知って欲しいのだ。


 それゆえに世界は繰り返される。まあ楽しんでくれてもいいのよ。己れ次第である。クソザコな魂が神を否定しようが無意味だ。お前らが悪い。ひどい時は恋愛が成就しないから神は死んだとかぬかすやつがいるからな。知るか!!


 まあブレアとかは私に挑むと言って、飢えを失くそうとしていたのでな、可愛いやつだと思っていた。力を求めることを否やとは言わぬ。


 ブレアはあれでもわりと愛は深かったのでな。人体実験を繰り返すやつを、現代の倫理観では受け止められぬのは分かるのだが、この戦乱の世界であれば、致し方なかろうな。


 それでも許せぬとルーフィアたちが立ったのだ。


 結局は運命は、ならされた。


 ルーフィアは強い子だ。我が子よ。可愛いな。強く、果てしなく強く。頑張ったな。


 私の与えたスキルは元より彼女のためのもの。罪深く、しかし慈悲深いルーフィアに、必然として与えられたものだ。この辺りの計算は天使に任せているんだがな。スキルの天使、あいつ仕事してないな。よし、殴っておく。ここは我が神であるのでな。


 スキルごとに天使はいるが、勇者スキルや聖女スキルは天使たちも振り回されるケースが多いな。アイリスとか、あいつ本当に頭おかしいからな? 本来スキルは天使を通さないと発動しないのに最初から天使を通さず使ってたから。本気で頭おかしい。


 セレナのやつはやっぱり変人なのだ。転生者なのは間違いないが、罪深き魂ゆえにこの世界に落としたのだが……。こいつやっぱり肉のことしか考えてないし。いや、ようやくルーフィアに恋したけど、やっぱり喰らうものの魂のままだ。どうしようこいつ。全然改心する見込みないけど?


 リンゴとかはな、仕方ないのだ。元から正義や悪だと考えられない獣の魂だからな。だが、獣は純粋で美しい。否定するものがあろうか。


 クラリスは我が望み、世界を救うために遣わしたのだが、仕事をしたな。良しとしよう。


 当然やつも罪人ではあるが、世界を救わんと戦い続ける清廉な魂ではあるのだ。よって幸福は与えられている。


 ……いや、ルーフィア、お前色欲? 違うよな。なんでそんなに女の子を落とすのだ?


 神にも計算が行き届かないことがある、そんなシーンがあるから我は世界を見ているのだがな。アイリス頭おかしすぎて毎日のように腹筋が切れそうになる。さすがは我が聖女よ。やめて、もうやめて、あのさ「だから女神はクーリングオフされまくって怒り狂ってるのよ」とか、そんなの知らないからね?


 たくさんの戦争、たくさん命が失われた。そうね、こんな世界を作った神を恨むのも当然ね。でもね、争いの起こらない世界など、人形を並べた世界でしかない。そこに個はないわ。そんな世界がいいならはじめから死になさい。馬鹿ね。


 与えられていることに、なぜ気付かないの?


 肉を与え、血を与え、息を与え、感情を与え、生を与えた。全てを初めから与えられてるからその栄誉が、幸福が分からないのだろうか。


 ただ、空を見上げられるだけのことがどれほど幸運か。目も無いものもいるというのに。


 世界はいずれ潰される。静かに。そしてそれに逆らえるほど人が強くなる可能性もある。その時はコンピューターが世界を動かしているだろうが。よって魂は精錬されるだけのモノになるのだが、それが天界ニルバーナというものなのだろうな。


 さてさて、遥か未来のことなど語っていても仕方あるまい。今を生きるものたちを、私たちは眺めていよう。


 まこと、神とは因果なもの。地平の彼方にて、お前たちを見守ってやろう!





「世界がよく見える。これが神様になるってことなんだろうね」


「なぜ、殺さない?」


「は? 神になったのに分からないの? そんな楽をさせるものか。君にもブラック労働してもらう。ブラックの神様でしょ?」


「えっ」


「神様になったから分かるんだけどさ、世界を豊穣で満たして幸福に溢れる土地にできないことはないじゃん?」


「……そうだな。しかしそうすることが」


「そう、人生を潰してしまうんだ。努力が形にならない世界になっちゃう。生きていることの意味が失われてしまう」


「……結局、俺は道化師なんだな」


「残念ながらね、ボクもだよ」


 ただ、幸福か不幸かは別問題だけど。


 幸福に、なろうね。






 少しでも面白いな、続きを読みたいなって思ったら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願いします!


 評価はできれば☆☆☆☆☆→★★★★★でお願いします!_(:3」 ∠)_


 ブラックの神様! 最初から狙ってました!(嘘)



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