僕らの魔王様
すみません。自損事故しまして三ヶ月ほど入院したんですけど、まだまだ回復してません。お待たせしております。
さすがに我が出なければ駄目だろう。ここまで混戦となっているのにセレナやアイリスやテルナですら勝ちの目を掴めていないのだから。だがな、私の第三形態は人死にが出るからな? ……仕方あるまいか。覚悟を決めていたら生き残れるかもな。やるしかないな、重い腰を上げよう。
知るがよい。魔王とはなんであるかを。
第三形態:涅槃:世界の卵。
見よ、抱け、我は死、我は滅亡。我は神にさえ許された破滅の権化、そして生と誕生を司るもの、創造の力を持つもの。
大魔王である!
我がヤツより小さいから侮っているのかな? 星を食らいたいのであろう? 小さき望みであるな。では。
「光速踏み潰し」
質量のある物質は光速になれないが、超音速でも人間の神経では捉えられない。鈍い巨人ならなおさらだ。ばごん、と敵の体を半壊させる。この技は実質ほぼ光なので亜光速近く出せるのだが、質量がほぼゼロでもさすがに世界が滅びるからな。超強力な稲妻のようなもので、本気を出せないのだよ、大魔王は。
我を誰だと思っている。世界を滅ぼす大魔王である。下郎が、跪け。
そう言ったら済むなら話が早いんだがなあ。
……味方がみんな跪いてるけどそれは置いておこう。あれはコメディでやってるんだろうし。可愛い仲間たちだ。我が一番老人だけど気にしないでいてくれるしな。じょしこーせーとかセレナがいつも言ってるけどなんだろうね?
さて、我としても溢れる魔力は止められないからな。光速起動。第三形態の私を捉えられるものなど存在しないからな。物理的に無敵なのだが、いつまでも持つわけではないからな。ちなみに体を光に変えているだけだったりするが。え、普通は無理? まあな。
満水し光。んんん、世界を光で満ち溢れさせる技なのだが。
いやな、この技でも倒せないのか。根っこを地球に入れてるからそこから焼かないと駄目か。うんん、我ならできるのだが、表の体を潰す人が必要だな。アイリス……は、駄目だな。私の魔力に中ってしまってる。我の本気はここが駄目なのだ。大魔王は実はタイマンしかできないのだ。強すぎるゆえに。その代わり大魔王からは逃げられなかったりするけどな。イベントで逃げる手はあるとかセレナが言ってたけど。
仕方ない。根っこを焼いていくか。誰か適当に本体を壊してくれたらいいんだが。
食らえ、宙飛びし夢の光蹴。魔王第三形態は世界を壊せる。まあちっさい惑星一個だがな。宇宙において生命のなんとちっぽけなことか。強くなればなるほど分かる。私たちの感じている世界など惑星一個か行っても銀河ひとつだ。本当にちっぽけな存在なのだ、我らは。
オレンジの姉様は私たちと遊びたいらしいが、実質あの人は全宇宙を支配してるんだよね。どれだけ大きい存在なのか分からない。精霊と戯れてるとこしか見てないけど。
まあ、私たちはあの人に力をもらってるのは間違いないんだ。誰だよ神を否定してるの。自分の実力不足を赤の他人に訴えるとかどんな無能だ。
とは言え、まあ、我もこやつを倒しきれるかは分からんな。我の方が強いとは思うが、システムというのか?
世界を破壊する仕組みを持っているこやつは、純粋な力では倒しきれん。まあだからこそ世界は面白いのだ。
まあ純粋な力なら負けないってことなんだがな。セレナやアイリスや熾天使ティファナやデーモンロードローランドさえ気絶しかかるくらい魔力を吹き出してるのだが、精霊を喰らうものとは伊達ではないようだ。
ブレアも頑張ったな。
「光術:殲滅の光。まだまだ喰らいたいようだな。喰らうがよい。光術:世界が落ちてくる」
ちょっとちっぽけですまんな。魔王などこんなもの、と言うことか。さすがにな、自分や仲間を殺せないだろう?
だから我はこの程度だし、この程度でいいんだ。
世界を滅ぼそうとしてるやつには及ばないが、まあ及ばなくて良かろう。
女神が設計した世界に、ミスはありえないのだから。破壊してやろうなんて馬鹿の考えることだ。
我もそろそろ本気を出せと、世界が言っているのだろうか。……。
ルーフィアパン店の問屋仕事より楽だとかは思っていない。ごめん、嘘ついた。あれホントヤバイから休ませて? 魔王倒しにかかるパン屋とかすごくない? 別にほめてはない。まあそれは脇に置いておこう。
しかしこれはどうやって破壊するか。たぶん我の攻撃は通っている。原理的にあの核は光にはダメージを受けているはずだ。
……なんとなくわかったが、あれの本体はここにはないんだろう。探すより力で圧しきって破壊した方がいい気がする。おそらく連動してわずかに本体にダメージが入ってるはずだ。おそらく通信手段が光なんじゃないか?
それなら……。
私はこの身を光に変え、まず根を焼くことにした。地面深くに光の槍となり飛び込む。……我のスキルも大概な反則ではあるな。
◇ルーフィア視点
……みんながやられていってしまう。クラリスさんまで地面に埋まって?しまった。
もうこれ以上は見たくない。嫌だ。
ボクがやつを倒さなければ。
クラリスさん、ボクらの魔王様はこんなものでは死なない気がする。じゃああれは地面から攻撃しようとしている?
……なら、手伝わないと。でも生半可な方法では壊せないはずだ。どうしたらいいんだろう。
……そういえばボクらは神様の候補なんだっけ。ボクは傲慢だ。もっと思いっきり傲慢になったら、ひょっとしたらアイツを倒せる邪神になれたりするんだろうか。
ボクは傲慢だ。
誰にも死ぬことを許せない。
ボクは傲慢だ。
みんなが飢えることを許せない。
ボクは傲慢だ。人から奪うものを許せない。
ボクは傲慢だ。ボクは傲慢だ。ボクは傲慢だ。
ライムが危険にさらされるのは許せない。
セレナが、アイリスが、リンゴが、クラリスさんが、みんなが、人の生きる世界が、仲間が、家族が、国民が、みんなが傷つくことが許せない。
ボクは傲慢だ。
…………ピシリ。
この世界のみんなが、豊かであればいい。平和であればいい。安全であればいい。もっと自分が強くてそれらを実現できたなら。
…………ピシリ。
たぶん神様はそれを望まない。この世界はもともと、至って平等だ。不平等を生むのは人間だ。
でもそれはほんのわずかな人間の責任のように思うんだ。
ボクは傲慢だ。助かりたかったら、助けたかったら
…………ビシリ……。
ボクよ、力を示せ。
…………かしゃん。
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まだ治ってませんのでもう少し待ってくださーい。




