表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

159/167

セレナ:セレナとアイリスとリンゴと

 みんなで戦います。一人ずつだけど。



 リンゴも来ているのね。じゃあ問題ないじゃない。私たちが順番に、戦場を意識しない大魔力で敵を潰せばいいのよ。そういう話でしょう?


 アイリスと、リンゴも本気を出すでしょう?


 二人はすんなり頷いた。


「守りは気にする必要ないわ。あの程度なら私が押し退けてやるから! 誰がエリクサーの代わりにしかならない脳筋で結界しか能がない無能で半端者の聖女よ!!」


「「誰も言ってない!」」


 やっぱりアイリスは頭がおかしいわね。可愛いけど。天才過ぎるし安心しているわ。


 ここは準備が必要ね。ルーはライムにくっついて離れない。そんなに大事だったんだね。冒険の最初のパートナー。テイムしている証拠を得るまでその当時力もお金もなかったルーは怖かったんだろうな。


 今や見る影もないけれど、ルーだって最初は弱かった。とても怖かったはずだ。女の子ひとり旅、魔物の恐怖もあったろうに。だけど彼女は乗り越えた。不思議ね。あの子は弱くても、世界に愛されていたんだわ。


 スキルの底が深いのは分かるんだけど。なんで? なんであの子だけここまで来れたんだろう? 本物の女神様のように。


 どちらかと言えばおじさん的なムーブメントも多いけどね。キスしてくるし。するけど。なんていうか、子供が唐突にお母さんにキスするみたいな感覚ではあるわ。


「セレナ、戦術はどうするのかしら? やっぱり全員で突っ込んで大爆発するの? 誰が脳筋一本槍突撃型聖女よ!」


「誰も言ってない。全員で行くとさすがに威力が大きすぎて星が耐えられない。合わせ技みたいなものをやりたいけど正直あれが止まらないのもヤバイ。三人で足止めを順番にやりつつ、なにか大技を狙う。宇宙に飛ばすレベルのを」


「フムフム、さすがはセレナなのだ」


 というか、こういう無敵系の、不死身系の倒し方って意外とたくさんあるわよね。死にたくなるまで拷問するとか永遠に型にハメるとか宇宙に飛ばすとか次元の割れ目に突き落とすとか、次元の割れ目に落ちた主人公って悪堕ちしがちよね。大抵帰ってくるし。主人公不在は辛いわね。…………。


 他にも永遠に封印する系とかチリにするとか、そもそもの不死身システムをぶっ壊すとか、この辺りは物理じゃどうしようもないかしらね。


 この敵はどういう敵かしら? 暫定、精霊を喰らう者。精霊を食べ続けて強くなってる。本来捕食者の、暴食のライムが食べ負けた。それだけで異常なんだよね。まああのまま食べあうとライムが勝ったとは思うのだけど、ルーフィアの心を試したくはない。痛ませたくない。私たちはルーのためにいるのだから。


 命、賭けなきゃ駄目かねえ? なんかそこまでのやつに思えないんだけど、……違う。殺気がないから計れていないだけだ。ブレアの設計が生ぬるいものじゃない。天才の仕事なんだ。油断したらやられる。


 うちの最強戦力はルーフィアだけど、最大の弱点もルーフィアだ。仲間一人倒れたら、彼女は暴走する。それだけは避けなきゃ駄目だ。


 攻略法を、なんとか編み出す。そのための各個攻撃。全力を出すんじゃない、威力偵察だ。


 幸いにもブレアとライムの突撃で、「プログラミングが通る」「物理が入る」「とてつもない回復能力」「精霊を吸い込みだんだん強くなる」、この辺りのことが見えてきた。他には「どこかに直線的に進んでいる」「亀の歩み」「見た目は巨大なアルマジロ(軟体)」「液状なのに形を保ってる巨人」「呼吸は外皮からでもできる」「痛みを感じる」「世界を滅ぼせる」「死ぬ」等々、くらいかしら?


 見れば見るほど見えてくる。ここばかりは高速思考に感謝ね。普段は余計なことを考えて十時間くらいたったと思ったら一時間もたってなかったりかなり苦痛なスキルよ。まあ「スキルは平等」「この世界特有の万物保存則が存在する」「物理的には元の世界に極めて似ている」「質量を持った物質は光速を突破することはできない」「魔力は光速を超えない」「魔法があり、その根元は、魔力という、空間に類似した物質」…………!!


 イケる? そうか、そうなれば。やっぱり最後はルーが決めるのね。でも……。


 世界、壊れないかなあ。あはは。


 まあ、殻を削っていくなら私から行くわね。……って思ったら。


「ここは私が聖女パワーでひたすらマッチョなアタックをぶちこむしかないわね! 誰が変態聖女だけどそこが好みとか言ってるのよ! お断りだわ!」


「アイリスに求愛する物好きはいないのだ! ここは我が秘められた力を解放して第四の変身をやりとげるのだ!」


「変身したら勝ちパターンばっかりだから目にタコができるわよ! なんで相手の変身待つのよ!! 皆戦闘狂か! 変身できるなら最初からしとけ!」


「それは言ってはいけないヤツなのだああああ!!」


「戦闘描写に絶望感は大事だけど味方に絶望した」


「なんかセレナがネタに混ざると絶望するのだあああっ!!」


「いじめ?」


 コント、終末の三人娘。いや、終わったら駄目だから。ルー? ずっとライムにスリスリしてる。……見てるだけだと可愛いんだけどなあ……。絶望感がある。


 本当に、ルーの精神は限界に来ていたのよ。見れば分かるでしょ? 今まで守れていたから、自分が一番に行く、そんな風に自分を追い詰めていたのよ。他の誰にも傷つかれたくないから前に進む。そして領地が、国が膨らんできた。どんどん、どんどん、どんどん、捨てられないものが、失いたくないものだけが、増えていく。


 ルーが強いから皆甘えてるのよ。ルーなら皆を守ってくれる。


 ……残念だけど、それは信頼ではないわ。依存よ。寄生だわ。いじめね。


 世界の荷物を一人が背負えるかよ。だから、ルー。戦わないで。今は休んで。休んでほしい。




 いや、さすがにね、ブレアの最高傑作。言うだけあるわ。弱体化調整しなきゃ駄目だったレベルの。世界滅ぼせるつもりだったのはこいつが草案に最初から有ったから?……ブレア、なんかミスしてる気がする。詰めが甘いのよね、あいつ。


 どうする。予定通りに順番で、私、アイリス、リンゴ、クラリスさん、この辺りか?


 相手の動きが単調であるから逆に読めない。そか。


 そか、今回ブレアが詰めを誤ってるなら、なんか敵方も詰めを誤られてるところがあるわね?


 さて、じゃあ予定通り、私から順番にヤツをやるわよ。クソゲーの押し付け合いって、こういうことね。






 少しでも面白いな、続きを読みたいなって思ったら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願いします!


 評価はできれば☆☆☆☆☆→★★★★★でお願いします!_(:3」 ∠)_


 大規模攻撃も味方に当たるのが困りますね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ