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テルナ:求道者

 テルナ様もヒロイン臭がしてきましたね。



 東から巨大な魔力を持った化け物がやって来る。その報を受けて我らが連合軍陣営は進軍を止めた。どうにも巨大な力を持ってして破壊を繰り返しているらしく、前線に隠しておいた兵程度では手に負えないようだ。


 例のブレアが盗まれた技術が、カジェルが間抜けにもさらに盗まれた技術が使われたらしい。クラリスさえ難しい顔をしている。大きさが桁外れだ。百メートルを超えているらしい。


 はっきり言ってクラリスは地上最強の生物だ。それがめったに見ることのない顔をしているだけでも冷や汗が頬を伝う。


 求道者と言うのだろうか。ひたすらに神に挑まんと知恵を絞り、力を蓄えてきたブレアの本気の最終兵器。用途が戦争でなければ尊敬に値する。それが遠慮情け容赦なく振るわれたのだ。皇帝が関わっているのは容易に想像が付くが。


 ブレアたちは、やつらはカエデでもニターナでもテロリストの扱いではあるが、まともな科学者なら雇っても良かった。


 そもそもブレアは帝国出身ではあるがうちで科学者をしていたのだ。スキルは錬金術。なんでもできるスキルだが、例によってなんでもできるスキルは成長が遅い。中にはアイリスのような化け物はいるが、ブレアはそれほどではなかったはずだ。


 だがさすがに老人となった今ではそのスキルも老境に達しているのであろう。凄まじいまでの生産能力を見せた。この一連のスタンピード、戦争は、奴のスキルがそこまで成長したことを示している。


 たぶん同程度まで進化してるルーフィアはちょっとおかしい。どれだけ仕事してるんだ。私が変わってやれたら良いんだがな。


 とにかく、我らもブレアに加勢することにした。


 不思議だ。一番の宿敵であるはずのブレアと共闘するなど。だが事が世界の危機となれば協力するのはやぶさかではない。


 セレナもアイリスもルーフィアもクラリスもリンゴも私も、たぶん求道者なのだろう。世界の平和を、餓えなき世界を求めて、ただ進軍するのだ。


 緒戦はこちらからの一方的な魔法攻撃から始まった。しかし敵対象、周辺の精霊たちを吸い取っていく様から、仮に「精霊を喰らう者」と名付けられたそれは、魔法を吸収してるようであった。……魔法無効などあり得るのか?


 セレナによると物理量として存在している限り魔法無効や物理無効はあり得ないらしい。事実彼女の祖先は炎を吸収する魔人を炎の弾で蹴散らしたことがある。伝承として残っているのだ。


 無効、というのは物理的な遮断を意味するが、現実問題として物理的に存在するものがそれを遮断するのは不可能なのだ。己を否定することになるからな。


 つまりは圧倒的な火力不足である。なのでこれは、我々が力押しで負けているということに他ならぬ。


 厄介だな!!


「溶岩や隕石は一定のダメージが入っているが即座に回復されている、か。周辺の魔力や精霊まで喰らってむしろ巨大化していっている、と」


 巨人ブレアが前に立っていなかったらうちの兵もヤバいだろう。全軍をまとめて撤退に入った。もはや軍隊でどうにかなるレベルを超えている。セレナとアイリスの瞳は輝いているし、クラリスも控えている。リンゴとルーフィアもやって来る。


 恥ずかしい話だが、個人の力に頼るしかない。


 求道者が求めた先がこれなのだ。簡単に片付いて良いものでもないのだろうが。厄介だな!!


 我が軍は引かせて、補給や後援に当てることとした。ルーフィアからもらった物資はまだ莫大といっていい量がある。


 ブレアの方も周辺魔力を吸い取っている。エリクサーの残りをぶっかけてやれ。巨大化したブレアがさらに膨らむ。


 二つの巨人は魔法戦から始めているようだ。熱線を吐く二体の巨人。周囲は大災害の状態だ。地面が焼け、爆発し、めくれあがり、土埃で視界が塞がれる。どうなっている?


 風の四天王、ウィリーが土埃を押さえつけて視界が再び広がる。四天王を使うとか私が魔王のようだな。


 巨人たちは接近しての殴り合いを始めている。質量が大きいだけはあって、一撃一撃で肉が削れ、血が吹き飛ぶ。今度は血煙で視界が塞がる勢いだ。大迫力の戦いが繰り返されている。我らは手をこまねいているだけなのがもどかしい。


「がああああっ!!」


「ぐおおあああああああっ!!」


 もはやこちらから手を出せるレベルではない。軍は完全に引かせた。最前列にいるのは私とセレナとアイリスとクラリスだけだ。いや、カエデから救援が来た。


 勇者であるメルフィーナとエリメータだ。二人の付き添いでなぜかハスターとスージーも来た。二人とも相変わらず可愛いな。だっこしてやろう!


「義母上、そんな場合じゃなくないですか?」


「可愛いものを愛でるのに状況など関係ない!」


「ひどい女王がいる?!」


 いや、戦争で荒れて疲れきった心を癒させてくれ。どうせあやつには通常戦力では役に立たんからな。メテオが効かないんでは手に負えない。


 兵たちは食事の準備を始めてしまってるしな。セレナたちが唯一の希望だからたっぷり食って休んでいてもらおう。ブレアが勝っても負けても、弱ってる方を駆逐してもらわねばならん。弱るのか?


 戦況は拮抗しているが、向こうの巨人はどんどん力を上げている。参るな。天災級と言っても過言ではない。正直人間が対処できる限界は超えているだろう。台風や地震には我らは勝てぬ。


 しかし、なにを持ち寄ればあんな化け物が生まれるんだ? 帝都はどうなっているのか、至急連絡役を走らせたが、ろくなことにはなっていないんだろうな。


 山も森も精霊も喰らって、敵の巨人はさらに大きく、強くなっていく。


 ブレアが戦っている以上、倒せるはずなのだが。しかし、どんどん大きくなり、どんどん世界を喰らっている。セレナとアイリスもいよいよ攻撃を加えんと力を溜め始めた。勝負だな。


 スキル、軍神。二人の聖女も二人の勇者もブレアも、我が指揮の元に入れてやろう。見るがいい、神の名を持つスキルの、その効果を!


 どうやらこれが最終決戦のようだし、思い切り出し惜しみなく力を振るってやろう。ルーフィアたちの明るい未来を、私が負けてやろう!






 少しでも面白いな、続きを読みたいなって思ったら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願いします!


 評価はできれば☆☆☆☆☆→★★★★★でお願いします!_(:3」 ∠)_


 最終決戦はぼちぼち投稿します。



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