ビートを上げろ!!
一つ、決着です。
さてさてさあ、もちろん雑魚はこれで片付いたけどボス格が全然出てきてないよねえ?
「どうしよう、ルーフィアがオラついてる」
「かあさまの胸で挟むのだ! きっと落ち着くのだ!」
「いや、怖すぎて落ち着けないけどお?!」
大魔王の胸に挟まれて落ち着くメンタルなんか無いわ!!
あ、クラリスさんがしょぼんとしてる。仕方ないから抱いてやる。喜ばれた。
敵陣にはエリメータさんとグリースさんが出てきましたしね。グレースさん? 敵だから名前覚えてないわ。
「一応、初期設定ではグリースさんなのだ」
「メタ発言はやめてあげて!! 撲殺した上に踏み潰すみたいなメタ発言はやめてあげて!!」
リンゴも死体蹴りとかするのね。
「オレそんなに敵に見られてないのかあ……」
「まあセレナとアイリスを襲ったんだから殺すけど?」
忘れてないよ、安心してね。……殺す。……まあセレナにボコボコにされた可哀想な人なんだけどさ。セレナって本当におかしいよね。あんな天才なのにスキルまでワガママなんだもの。……北は大丈夫かなあ。デーモン出てきてそう。
それにしても、なんで?
この二人が出てきてるのにブレアの圧というか魔力を感じない?
「これが最終決戦だよお、ルーフィア」
「私たちも強くなったからね」
「そうなんだろうね、圧をビシバシ感じる」
たぶん何段階も精霊を注入されているんだろう。もはや人間の気配じゃない。……でもさあ。
「クラリスさんに勝てるかって言ったら微妙じゃん?」
「あー」
「それな。なんだよあの大魔王反則だろうが」
クラリスさんはボクも怖いからもう入れないけどね。リンゴでも反則だからね。でもうーん、この二人にボクだけで勝つのは無理っぽいなあ。
「ちなみにクラリスさんは北に行かせる。もうこっちあんたたちだけだよね?」
「なんでバレてる?!」
「シルフェイス?」
「いや、普通に勘なんだけど、ブレアの圧が感じられないんだよね。南方に入ってからずっと感じない。喋るのは聞いたのに」
「ふん……。因縁か。当たってるぜルーフィアよお」
「まあセレナと私らが抜群に相性悪いのもあるんだけど、北には行けないからあんたの足止めだよ」
どうもこの二人は炎属性に振れすぎているらしい。まあセレナに勝つのは無理だろうね。だから南に残ったと。甘いけど。
……でもブレアが北に行ったのは謎だ。なんで戻ったの? 最終局面だと思ったのに。
「ちょーっと凶悪な技術をカジェルに盗まれた、それだけだぜえ」
「……ふうん。ねえ、その技術ってクラリスさんの第三形態に耐えれるの?」
「……」
「……」
「そこは気合いでえ!!」
「なんともならないわ!! でも貴女だけでも止めるから!!」
北に行かれたくないのか。……でもここでこの二人とラストバトルか……。なんか寂寥感あるな。
この二人を倒したらクロカミとブレア、あとは帝国か。……休みたあい!! まあ勝てるかは分からないけどリンゴが後詰めしてくれるからね。
あれ? なんかもう一人いたような気がする。テレポート使いが。……名前覚えとらん。
「グレネとシルフェイスは脱落よ! 幸せに暮らさせてあげて! ブレアが対価を用意してるって! オリハルコン1トンとか言ってたわよ!!」
「……エリーシアさんは優しいねえ……別にあの二人くらいならこっそりうちで生活してても気にならないわ」
「……あんたも優しいわね! ……でも今から、全力を賭けた、殺しあいよ!!」
分かってる。悪には悪の理由がある。理由の無い悪なんて獣と変わらない、そんなものに胸を痛めたりしない。
「ねえ、聞かせて、なんで悪になったの?」
「つまらないことを聞かないで! 女ならそういうことがあることは想像できるでしょう! 炎の神、殴れエエエエ!!」
「男にもあるけどなあ!! 殴られるだけの人生だったぜえええええ!! マグマよ、涌きあがれええええ!!!」
虐待か。……親共が糞すぎる。そのせいで世界を巻き込むような悪人を作り出すとかどういう了見だ。……終わらせてやらなきゃ、この二人!! ものすごい熱量、正直ヤバいけれど!!
心臓のビートを上げろ!!!
悪には悪の理由があるんだろうさ、だけどだから許せるかって言ったらそんなわけないからな!!
「壊せ、殺せ、恨みを晴らせ、その前に、ボクが止める。お前たちに悪の終わりを、正義をおごってやろう!!」
「おごられてたまるかあああああっ!!!」
「終われねえええええええ!!」
「うるっせえええええええええっ!!」
スキル:パンと水:超高圧:水蒸気爆発!!!
ただ熱源に水掛けるだけだああああああああああッ!! 起こるのは超爆発だけどなああああああッ!!
「ぐわああああああああああああああっ?!」
「いやああああああああああああッ!!」
「ボクのスキルが、最強だあああああああああああああッ!!」
ボクの圧倒的力を、おごってやろう!!
吹き飛んだはずの二人は、ゆらりと起き上がったけどな……。硬えな、精霊将、マジで。
「なんでよお!! なんでなのよお!! 私らだって苦しんでる。頑張ってる、努力してるのにい!!」
「なんでちっともハードルが下がってこねえ!! オレらだってレベル上げしてるしブレアだって研究に苦労してやがるんだぜ!!」
「簡単だよ」
毎日真面目に働いてるからだよ!! ただ、あの、ブラック企業はご遠慮願います。
じゃなかった。
豊かにご飯食べさせたい、平和に生きたい。たくさんの人に平穏を与えたい。ただ、その祈りの力だ。綺麗事でもなあ、正しい時は正しいよ!!
「お別れだな。……あんたらのことをもう少し知りたかった気もするが、敵だからな」
「あめえんだよお、ルーフィアあ、敵だからよおおお……」
「……ここで、終わりにしてえええ!!」
「悲しいぜ」
スキル:パンと水:王水の海。全ては押し流され、溶けて、消えて、無くなる。
……来世は友達になろうぜ。
「ぶれあ、も、ゆたかさを、もとめていたわ」
「あくのはな、っていってた、な」
……何かがちょっと狂ったら、ボクもブレアみたいになったんだろうな。大切な仲間を、こんな風に死なせるような人間に。
分かってるよブレア。君の悪のために、この二人を捨て駒にして時間を稼いだこと。君は君の正義を貫くために、北に向かったんだね。
セレナとアイリスが、危ない!!
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あとに残ってるのじいさん三人だぁ……。ブレアとかカジェルとかベレベ。かろうじてアンナとかいるけど。あれも中身は……。




