マーク魔王国の窮地
ルーフィアは強いですよ。
一方その頃っていうか。南も動いていた。……正直、なんだ、ブレアの臭いが全くしない? シルフェイスにあんな移籍の話しなんか聞いたからかな?
ボクたちは全然戦ってないけどマーク魔王国の各地では魔族精霊化兵たちが暴れまわってるらしい。
聞くところによると相当に強力な怪物が二体いるのだとか。
「心配? クラリスさん」
「……いや、国は捨てた身だからなあ」
魔王様は特に心配してないらしい。まあボクより遥かに強い人なのでいざとなれば出向くんだろうな。
南への派兵は真剣に考えてる。リンゴの威力偵察|(?)の結果だと魔王ですら呆れるような強さだったわけで、ボクとか大魔王が出るしかないんだよね。
そもそもコヨリ姫のブレス耐えるとかなんだよって話。そんな敵の群れにボクが突っ込むのもおかしくない?!
でもまあ味方が傷付くくらいならボクが行く。この方針は変わってないからね。
マーク魔王国の窮地を救いに行く……わけだけど、ボクらこっち方面の地形全然知らないんだよね。魔王様もだいたいここがこう、くらいしか分からない。問題があったら殺す人だしね。そんな乱暴な人じゃないはずなんだけど。ただの問屋のマスターだからねえ。
「うーん、でも襲ってきたらやっちゃうよね?」
「当然。正当防衛」
セレナはそう言うけど、絶対セレナの方がボクより人殺し嫌いだよ。……なんでみんなこんなに心に無理を強いているんだろう。
オレンジお姉さんならたぶん、間違ってるのはいろんな人間で個人の責任を追求するべき、と。言うはずだ。
世界の設計が間違っている、そんなことを言うほどボクは無能じゃない。
今は戦うしかないだけなんだ。
少しずつボクらの軍隊一万を進めていくよ。精鋭は二万あるけど全部投入なんてしないし、予備役の人は二十万くらいいるけど投入するわけ無いよね。仕事があるんだから。
……かなり文句言われるけど。なんなの、戦いたがるって。命かけないで?
うちの民は愛国過ぎるよ。女王様に任せときなさい。
マーク魔王国の範囲が広すぎるのはあるんだけど、ブレアも決着つけに来てるんでそんなに範囲を広げてはいない。まっすぐボクに向かって来てるんだ。まあルーフィアに挑むチームらしいしね。迷惑だなあ。
まあ今日も北と南を睨みながらパンを作る人生さ。なんだそれ。
とにかくさあ、ボク別に死にたくないとか騒ぐタイプじゃないんだよ。お母さんとおばあちゃんのとこに行けるなら別にかまわない。でも簡単に死ぬ気もないけどね。
愛しい妻たちのために生きないとね! ハスターくんとか! 妻じゃねえ! お前そこに収まろうとするなそれでいいんかい! いいらしい。やめなさい。男の子お!
まあ妻たちのために頑張るよ。だから妻じゃない。リンゴが無意味な抵抗をするでないとか言ってるけど間違いなく妻じゃない。キスはするが。
「……レイパー?」
「ボクってそんな職業の人?!」
「レイプされたことはなかった」
「おんなのこお! ボク女の子おっ!」
性犯罪なんかしたことないからね? 女の子のじゃれあいだからね? あれ、犯罪かもー?
「「躊躇なく唇を奪われましたが」」
南のレグイーナンさんと北のハフェーネさんがなぜか顔を見合わせてうなずいた。いつ知り合ったの?
「「妻ですから?」」
「妻にした覚えがないよお! ボクもう妻候補何人か分かんないよお!」
「五百万人は超えた」
「セレナのそれ国民の数でしょお?!」
「「「国民みんな妻でしょ?」」」
なんでみんな首をかしげるんだあ! そんな人間いるものか! え、男の人もみんな妻なの?!
「騎士たちは『女王の妻』を名乗らせてる」
「ただちにやめてえ!」
「「「無理言うな」」」
拒絶される意味が分からんわ!!
さて、ひとしきりコントしたので南を見るか。……リンゴが暴れたからか普通の魔族は現れなくなったなあ。怖すぎるわ、さすがは魔王だ。
え、まじで騎士たちボクの妻を名乗ってるの? 直ちにやめさせて?
南はずっと小競り合いを繰り返してるんだけどそろそろ本気で当たることになりそうだ。季節も真夏になったしね。
倒す。チマチマと倒していく。雑魚ばっかりだからボクでも倒せるよ! でも出てくるよねえ! 知ってるよ、コッダーとかいうどっかの王子だった化け物とバートとかいうバカ! 来るんだろう!!
……シルフェイス情報。あの子ほんと情報管理教えなさいよ? 駄々漏れよ?
みちみちと地面がえぐれている。なんじゃあれ。リンゴの土津波ほどじゃないけど、スライムが津波みたいに押し寄せてくる。あれか、コッダーとやら。……もう完全に化け物じゃん。うわー。ブレアも容赦ないねえ。人間の形してないじゃん。
敵だから倒すだけだけど、そういやテルナ様の長男なんだよなあ。そう考えると気が重い。殺すけど。
さて、どうやって倒しますかねえ。
「どぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼほおぉ!!」
「……あれもう人間じゃないよね。……仕方ないよなあ、本気だしますか」
ほとんど災厄でしかないけど、津波みたいなボディーのスライムだ。百メートルくらいあるんじゃないの? ライムもあれくらいのサイズだけどね。本気出したらだけど。重くはないんだよね。不思議と。ライムも魔物だねえ。
仲間たちは下がらせたよ。本気出したらヤバいからね、ボク。
シルフェイス情報によれば、コッダー王子様、一応は兄弟だし、スージーちゃんやハスターくんにはちょっと見せられない。……一瞬で倒すためになら焼いたって許されるよね。
「スキル:パンと水:液体窒素」
ごめん、嘘ついた。凍らせるね。まあ燃やす手もあるんだけど、もう一匹いるんでしょ。バート。
大量に魔力を奪われたけれど液体窒素はコッダーの体を氷土のように凍らせていく。うーん、ボクレベル上がりすぎだわこれ。リンゴが青い顔してるもん。
ボクのスキルって無敵なんだ。まあスキルは平等なんだけど、ちょっとボクのレベルが八百とかになっててもう考えるのを止めてるレベルだからね。……ちなみにクラリスさんは千四百超えてるからね、考えたらダメな奴。かてない。
まあでもボクもやれるってことさ。コッダーだっけ、……さようなら。
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またやすみまあす!




