策略なんか効きません
昔の戦略家とかどれくらい話を盛られてるんだろうか、と考えるのも楽しくないですか? 実際に評価を改められた人とかいますよね。
政治にしろ戦略というのは相手を貶めるようなプロパガンダによる攻撃っていうのが少なからず見えるよね。情報戦っていうの? 必ずあるはずなんだ。
ボクが実はゴリラだとかミドリちゃんがお母さんとか不名誉な噂を流すんだ。おい、なんでお前ら信じた?!
「ミドリちゃんはカエデ市南出身……あり得る」
「ボクのお母さん飢え死にしたけど?」
「ミドリちゃん、惜しい人を」
「セレナのギャグがなんか悪質?」
どうもセレナ最近疲れてるよね。分かってるよ本気じゃないの。てかスゴいエナドリ飲むね?
「本当にどいつもこいつも私に仕事を押し付ける……」
「大変だ! 精神を病んでる! ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」
「う、ルーフィアとの子供が生まれる……」
「作ってないし生まれないよ?!」
なんか最近「カエデ女王国をパニックに落とすようなプロパガンダ選手権」みたいなことをやってる組織があるらしい!
全員信じてないけど!
「あれ、いいガス抜きよ」
「将来的に絶対ヤバいと思う!」
「まあひどくなるようならやめさせるかな。ルーフィア以外には受け止められないし」
知ってるが、セレナ。すごい嬉々として投稿しまくってたろ。
敵のプロパガンダがうちに流れ出すたびに根本で喧嘩騒ぎになって終わるケースは多い。そういう戦略はあるよ、と瓦版で知らせたらまあ、この国の識字率の高いこと高いこと。嘘の噂を流す敵を自分たちで排除しようとする。危険だから止めてね?
識字率の高い国は税金の用途を知らしめると王政でもみんな黙るんだよね。でもトップが借金背負ってる国や組織に安心して勤めるのは難しいよね。まあいたずらに税金が高いのはもっとダメだけど。
公共投資っていつか打ちきりになりそうで怖いよね。セレナによると国規模の借金はむしろ資産になるらしいんだけど。国が潰れたらその借金は敵国が持つか消えてしまうからね。そうならないように常にお金を貸してもらえるのだ。
ボクの推測だけどオレンジお姉さんとか技術が進化するだけの世界は嫌いだと思う。停滞していても潰れず円滑に流れていたら安心して見ていられるだろうしね。
楽しい世界を見せてあげたいなあ。あの人超孤独だし。
そうそう、策略の話ね。ブレアとかはそういうの苦手なのかやらないね。学者なのに力押しなんだよねえ。その力の発展が驚異だけど。セレナでさえ「その発想はなかった」っていつも驚いてるレベル。
思ったんだけどセレナのスキルが錬金術師だったらもっとスゴいことしてそうだよねえ。錬金術師じゃないのに革命的な発明するからセレナはスゴいんだけど。
閑話休題、それでさ、噂を流そうとするのはニターナの新聞社が一番多い。テルナ様が情報規制するか悩んでセレナに相談したくらい。セレナによるとゴシップ?なので反対の情報を流すといいと言ってた。情報化に手を入れるには識字率が低いけどロンさんたちを使って噂を広める方向みたいだ。諜報員だねえ。
あ、帝国もなんか流してるけどもう二つも領地を取られてる帝国の有利な情報なんてみんな白けて聞いてるよ。逆にまったく驚異じゃないよ。
で、ニターナ筋の情報でよく出るのが、カエデ女王ルーフィアの侵攻戦略。はい、ボクも分かってるから、ルーフィアが戦略なんか練るかって! 分かってるから言わない! お口縫うよ?!
でもニターナ人に伝わるわけないからね。ボクがおバカさんなんて。
むしろ後の世の人が聞いたら賢王とか言われそうなスゴい策略家扱いされている。
例えばダンジョンを作り魔物を使役し軍を立てることでコストを抑えた、とか、人心掌握のため食料供給に逸早く目を付けたとか、ニターナの財政掌握のためにエリクサーを垂れ流しているとか、軍部に取り入るために戦果を分けているとか、その説によるとボクはわざとソックセンをニターナに譲ったとか、元々ニターナ領のソックセンを焼き尽くして返すことでニターナの財政を絞り上げているだとか、どんだけ天才なんだよ! 一切考えとらんわ!!
セレナによると(いつもセレナだよりだよ!)侵攻が早すぎてそういった説に説得力が生まれてしまっているらしい。
ただの武力~! 腕力だけなの~!
ボクは帝国と渡り合いながら魔王を取り込みニターナも経済的に絞り上げてる大策略家……って誰だよそれ!
すごいなボク、なんも考えてないのに大賢者とか大局観が掴めているとか神算鬼謀とか言われてるらしいよ!
それでさ、カエデ国内ではみんなその噂を新たなコントとして楽しんでいるらしい! ニターナ人とは話を合わせて「パン屋は世を忍ぶ仮の姿」とかいうよく分からない設定をつけられてるよ!!
ボクはただのパン屋だあー!!
どうしよう、説得力ないしツッコめばツッコむほどコント化する!
情報をコントろーるしてる、ってやかましいわ!
「特にペリテー侯爵とロンさんが面白おかしく情報をねじ曲げている」
「ペリテー侯爵一回殴ってこよう! 開戦だあ!!」
「絶対にネタにされるだけ」
「うわああ、ありありと想像できてしまううう!! ボクは身内でも反抗すれば粛清する独裁者にされるうううう!! むしろボクに権限なんかひとつもないけどおおお!!」
ヤバい、情報だけでツッコミ死にしてしまう!
「くくく、ハスターよ。ルーも我らの一党に加わりたいようだ……」
「リンゴちゃん……、もう僕らだけ血管がキレる恐怖に怯えなくていいんだね……」
「なんか闇の深いパーティーに狙われてる?! ていうか最近ボク以外あんまりツッコミしてない?!」
二人は血管が切れないようにセーブしているらしい。頑張ってツッコんでえ!!
……イヤらしい意味ちゃうわ!! あ、またツッコミしたあ?! しかもセルフだから逃げられない?!
「それで帝国との開戦が迫っているのだが、南方の動きも怪しくなっている」
「メルフィーナ伯爵なんでこのタイミングで入ってきましたかあ?!」
「ハンバーガー買って帰ろうと思ったんだが情報戦の話が面白そうだったから混ぜてもらおうと……」
「真面目か! 真面目だったわこの人!」
「魔王国との街道が悪いタイミングで繋がってしまってな」
「クラリスさんが真面目な話なのに嬉々とした表情を隠さず入ってきたあ!! 腹芸下手か魔王!!」
「僕も腹芸下手かも」
「なんで入ってきますかねえハスターくんよ」
「なかま……はずれ……?」
「一切してないがあ!!」
もうボクには策略とかありませんしききませえん!! 帰らせてもらうわ! 二時だし! まあ終わらないんだけど。
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コントしてるときが一番落ち着くんです。




