援軍
戦争するための兵隊はそろっていますぜ。
新書派がなくなって飢えも治まったら戦争する理由は八割くらいなくなりますね、この世界の場合ですけど。
何回か東からゾンビ来るかなと思ったけど動きがない。どうもブレアもどきの……なんてったっけ?
そうそうカジェルっておっさんが派手に実験に失敗しているらしい。アンデッドに精霊をいれようとしたんだけど死体だから体液が思ったより動かなくて変な、奇形な魔物ができあがるだけで終わってしまうそうで。それとコントロールも利かないらしい。シルフェイスがどれだけコントロールできてるか分かるよね。
ちなみにシルフェイス情報。機密とかの意味が彼女には分からない感じらしい。ボクらは助かるけど。シルフェイス倒すの難しいしね。
ブレアはブレアで新技術を開発しているらしい。たまにシルフェイスがヒレカツサンドイッチとかリンゴパンとか買いにきて話していく。なんという自由人。
まあたぶんシルフェイスは神を超える者でも最強だろうしね。
「組織の名前は変わった」
「え、なんで? なんて?」
「ブレアも神は超えられないと悟ったらしい。今はカジェルが神を超える者と名乗ってる。今のうちの組織名は『ルーフィアに挑む者』」
「すごい迷惑?!」
個人をつけ狙う組織なんて誰が応援するのさ! シルフェイスとか結構いい線行ってるのに諦めちゃった?! まあ神を目指すの無駄なのは分かる。倒せるとか倒せないとかじゃない。存在の概念が違う。
まあ当のシルフェイス本人はお祭りとか買い食いとかにハマってるみたいだけど。お小遣い稼ぎに冒険者登録してドラゴンとか狩ってるらしい。この国の防犯意識どうなってるのかねえ?! え、シルフェイスさんのお陰でとっても平和? 良かったね!!
あ、シルフェイスに一般人は一人も殺させてないわ。女王に攻撃したけどね!
なんかボクに対する不敬罪って極端に緩くない? むしろパン屋を襲撃したら死罪とかありそうなのにボクに攻撃しても捕まらないまであるよ? え、ボクも一応死ぬからね? 守って? まあ攻撃されたくらいで死罪はないかなーとは思ってるけど、法律は法律。悪い法律は変えればいいのだ。そうして世界って整って行くんだよ!
でもボクも守ってえ。嘆くボクにセレナが説明してくれる?
「パン屋があればいいけど、ルーがいないとパン屋もないから仕方ない」
「ボク人気が無いのかなあ?!」
「大人気のトップスターだからこそ近寄りがたい」
「ほんとかなあ?」
「ルーに近づくと男も女も孕まされると噂に」
「誰かの謀略かなあ?! 誰も孕ませてないねえ?!」
「ちなみに私がルーが妻たちを襲って孕ませる薄い本を量産中」
「セレナが広めてた?!」
「ちなみにハスター王子が孕む回が一番ウケた」
「ハスターくん孕めないけど?!」
なんてこった。敵は内側にいるんだねえ。物語でもだいたい身内だと思ってた人が真のラスボスだったりするもんねえ。
「私がルーと戦うのはベッドやお風呂くらいかな?」
「赤い顔で際どい台詞やめてえ?!」
戦いません! おそわないで!
いや、ゾンビが攻めてくるけどね。戦いたくないんだよねえ、純粋にゾンビとかグールは気持ち悪い。見た目も酷いけど臭いし毒だし病気だし。
まあ緩い感じだけど仕事が終わったら書類の決裁はセメレーナ東の支城のひとつでやって、昼間はアイリスが詰めて会計している。テレポート使いがひとり常駐してるから敵が来たら全員集合する。
まあ騎士本隊もここに駐在してるから防戦は大丈夫だけど。セレナがアイデアを出して錬金術師のアーシャちゃんが作り上げた兵器もたくさんある。
ここにある大砲はコヨリカノン一式とかいうらしい。まあコヨリ姫のブレスの十分の一くらい出せたらってコンセプトだそうで、あそこまで強くないんだよね。
でもドラゴンなどからしか取れない大型魔石一個分の燃料で発射できるのでヤバい兵器らしい。錬金術師スキル持ちが頑張って生産してるけど、まだ百門も揃わないし、ここセメレーナには五門しか置いてないよ。でも驚異だよね。
それから近くの領地で越冬してたニターナ本軍五千とソックセンからも七千の兵が合流して援軍にきてくれるらしい。ニターナ軍はアンデッド大丈夫だろうか? 神酒ぶちまけて前線で戦ってもらおうか。
ちなみにアンデッドに殺された人がアンデッドになるにはネクロマンサーが魔法をかけないとダメだから無尽蔵ではないらしい。
とにかく兵隊だけは集まったね。なにせ兵糧要らない、薬はいくらでも出る、この状況なら兵士が十万くらいいても、いわゆる大軍の弱点が相当薄まるというものだ。
現在はセメレーナからも義勇兵がきてるので二万五千くらいの兵士がいるかね。
うちは精兵一万で、ニターナも精兵で八千、一般兵で四千だからかなり精兵ばっかり。セメレーナは義勇兵なのでちょっと強いだけの兵士たちだね。……ドーピングしようかなぁ。まあ、まあね、神の薬だから副作用はないんだよ?
ボクは自分で出せるからいいけど、他の人がドーピングに慣れて薬が切れたらすごいダルくなると思う。力が半減した感じに。戦場だとヤバい。
やっぱりボク専用かな。
錬金術でなまくら武器を量産してもいいけど、生産速度は遅くても鍛冶屋に依頼しないと鍛冶屋さんが拗ねそうだしねぇ。
騎士は本当にお金がかかる。こんな金食い虫な戦争をなんでやるんだろうね。
とにかく防衛しきってからの反撃プログラムも作らないと殴られっぱなしになる。アンデッドはいつまでも休みなく攻めてくるしね。カジェルが研究計画の方向を変えて強いアンデッドとか出始めたら絶対に困るなあ。
ブレアの精霊計画もなんか軌道に乗ってるみたいだし、どこから攻めてくるのかももはや分からない。
カエデ市の中心とかに強い精霊兵とか放り込んで街の人を傷つけたりされたらボクはぶちギレる自信あるよ。
みんな戦意は高いんだけど、正直精鋭の人たち一万人の他は悪魔とか精霊兵とか上位アンデッドとの実戦には耐えられないかもしれないレベルなんだよね。
虐殺なんて許さないから。
戦場が分かれる可能性がある以上は援軍も上手に使いつつ、新しい精鋭部隊やアンデッドなんかに対する専門家部隊を作らないとダメだろうね。
とにかく戦場はこれから広がっていき、日常はまた終わろうとしているんだ。
日常といえばパン屋だね。そういえば生産量多いから配達の人が結構遠くまで行っててそろそろようやく供給が追いついてきた。流通速度はもう限界みたいだよ。
もうパンの増産はしなくて良さそうだけど、新領地取ったらそこにも問屋がいるなあ。テレポートパン作りとかしないとダメになるねえ
ころすきか。
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戦争がなくなってもルーフィアはとうぶんパン屋でしょうけどね。ブラック、ブラあック!




